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BGMにおける「場との調和」:音楽の演奏における主役と脇役。沖縄フルーツランド「トロピカル王国物語」の音楽について

本日は、以前書いたお話の「後日談」になります。
前回の内容、

大学生1年生の時、音楽の発表会で大失敗。
それ以降、人前での演奏が怖くなり、
先生より「人前での演奏を出来る限りやる事」を提案される。
しかし、大学3年生になっても指の震えは止まらず。
そんなある日、
演奏の初仕事「フランス料理店でのエレクトーン演奏」を頂き、
失敗できないという環境に立つ事で、
指の震えが止まり、弱点の克服に繋がったというお話。

フランス料理店での演奏は、
楽譜通り気持ちも込め弾く事ができ、
自分なりに納得しておりました。

何より、緊張すると手が震えるという弱点も克服でき、
先生には、よい報告が出来そうです。

さて、次のレッスン日、
予想外の事が起こります・・・。

開口一番、
その日の演奏を指摘されたのです。

「ひろき君の演奏は『自分の演奏を聞いて!』というものだった」

お店では、
お客様が「主役」
弾き手は「脇役」

つまり、BGMとしての演奏ではなかったという事でした。

なるほど、思い返してみると、
私の感情が入ってしまった音楽は、
お客様の邪魔になっていたかもしれません。

自分のパフォーマンスを発揮する発表会と
BGMなどの裏方に回るべきものとでは、
演奏方法が異なるのです。

BGMとしての演奏は、
クレッシェンドはデクレッシェンドに、
デクレッシェンドはクレッシェンドに、
つまり、「強弱が一定の演奏」が必要だったのです。

この経験は、
場との調和」を理解する大きなものとなりました。

その後、この経験は、あらゆる所で活きてきます。

2012年、
沖縄フルーツランドを
「絵本のテーマパーク(現トロピカル王国物語)」にする計画が始まります。

フルーツ園を絵本の世界にしなければなりません。
その中の一つで重要だったのが、音楽(BGM)です。

物語の曲数を考えると、
著作権等の事もあり、自分で作る事にしました。

最初は、5〜6曲ほど作ればいいと思ったのですが、
園内だけではなく、
後半のPC内での戦いのシーンやエンディングなど含めると、
最終的には30曲以上になりました。

さて、気合を入れて作った曲を実際に園内で流してみます。

驚くほど・・・
「場」に合いません。

音楽が主張しすぎて、チグハグなのです。

その時に、
以前先生から教えて頂いた事を思い出しました。

BGMとしての音楽、

「主役ではなく脇役である事」
「主張しすぎてはいけない事」
「場との調和が必要な事」

思いが強すぎて編曲も気合を入れたのですが、
よりシンプルに組み直してみました。

数日後、

BGMに徹した音楽は、
より園内を絵本の世界へと繋げる強力な要素の一つになりました。

音楽は、
場に合わなければ、「雑音」でしかなく、
場に合えば、「世界観を広げるもの」になります。

2013年、トロピカル王国物語は、無事始まり、
現在も音楽をはじめ、様々なバージョンアップが行われております。

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さて、
ふとした時に当時の楽譜をのぞいてみると、
先生から指摘頂いた印やメモが残っています。

改めて見ると、
そこには大切な意味がある事がわかります。

教えてもらえる立場だった頃から、
会社の代表者になった現在、
進むべき道は、
頭の中で何度も繰り返しイメージし判断していきます。

その判断の基礎となっているのは、
先生達から教わった事です。

音楽の初歩の初歩からアレンジや作曲まで
導いて頂いた先生に感謝です。

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