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「7-minute Miracle」と意義目標>成果目標>行動目標

こんばんは、
廣木雄一郎です。

私たちが、1人でできることは限られています。この世に存在するすべての人が、他者と協力することで「自分1人ではできない何か」に取り組みます。登校班ごとに学校に行く小学生から部活、高齢者まで老若男女誰しもが生きていくうえで関わるものが「チーム」です。

「共通の目的がない集団」は「チーム」ではなく「グループ」です。チームをチームたらしめる必要条件は「共通の目的・目標」です。

目標設定は大きく3つに分けることができます。
A、意義目標(最終的に実現したい抽象的な状態や影響を示したもの)
B、成果目標(チームとして手にいれるべき具体的な成果)
C、行動目標(チームメンバーが具体的に取り組むべき行動の方向性を示したもの)

かつての日本企業は行動目標に基づく「振り返り評価」が主流でした。しかし、行動目標に基づく評価だけではパフォーマンスが上がりにくくなってきて、1990年代以降の日本で普及したのが成果目標に基づく、MBO(manegement by objectivesの略)です。チームごとの成果目標を各メンバーにブレイクダウンします。成果目標はできる限り定量的に設定され、評価は期末時点の成果目標の達成度合いによって決まります。

そして、ここ最近普及しているのが、意義目標に基づく「OKR(objectives and key resultsの略)」です。半導体企業のインテルのかつてのCEO、アンディ・グローブが生み出したが生み出したと言われるOKRは、シリコンバレーのインターネット企業や日本の一部のインターネット企業が導入しています。OKRにおいて、Key Results=創出すべき成果と共に、その先にある Objectives = 実現すべき目的や意義まで含めて目標設定します。

ビジネス環境の変化が激しい現代では、各チームが意義や目的に立ち返り、時に成果目標の観点や水準を見直さなければいけないのです。

今の時代は、チームが何のために存在し、どんな影響を与えていくべきなのかという意義目標をすべてのメンバーが意識し、自発的に行動し、成果をあげるチームづくりが求められています。

意義目標の重要性を語る上で、米ハーバードビジネススクールで「7-minute Miracle」というタイトルでケーススタディとして取り上げられる、日本企業のチーム変革事例があります。「JR東日本テクノハートTESSEI」の新幹線清掃員のチーム変革です。

「7-minute Miracle」とは、新幹線が到着してから清掃員が乗車し、掃除を始めてから終えるまでの時間のことです。たった7分の間に彼ら彼女たちが取り組むパフォーマンスが素晴らしく、世界中から注目を集めました。

新幹線清掃チームにはきちんとした目標設定がありませんでした。人によって清掃のクオリティはまちまち、新幹線が出発するときのお辞儀はバラバラでした。また、スタッフの中には、親戚や家族などの親しい人からも掃除の仕事を悪く言われ、自らの仕事に誇りを持てず、どんな仕事をしているのかを知られないための努力をする人もいたそうです。清掃をしていると、乗客が自分の子供に向けて「ちゃんと勉強しないと、将来あんな仕事しかできなくなる」と注意していたというエピソードもあったそうです。

そこで、意義目標に「新幹線劇場のキャストとして、お客様に感謝感激を与えよう」を成果目標に「7分でお客様に温かな思い出を持ち帰っていただく」を行動目標に「さわやか・あんしん・あったか」を設定。

すると、それまで清掃を作業的にこなしていたメンバーたちの振る舞いが一変し、7分間で約1,000席の清掃を22名のチームが完璧に仕上げるようになりました。新幹線を黙礼で迎える姿、ホームで乗車を待つ人々に1列になって礼をする姿、そして、出発する新幹線を頭を下げて見送る姿は、見ている人に感動を与えるようになりました。

また、新幹線劇場を盛り上げるための様々なアイデアをメンバーたちが自主的に主体的に提案するようになりました。意義目標や成果目標を設定することで、メンバーたちの創造性を解放し、主体性を持って取り組むチームに変貌を遂げた事例です。

意義目標や成果目標を設定することで、メンバーの創造性を解放し、主体性を持って取り組むチームに成長していき、パフォーマンスは最大化されます。私自身も、常に意義目標を明確に持ち、成果目標と行動目標に落とし込みながら、成果をつくるチームを作っていきます。

廣木雄一郎

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参考文献:「THE TEAM 5つの法則/リンクアンドモチベーション麻野耕司」
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