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病気を治す感情コントロール術を読んで

*この記事は樺沢紫苑先生の催された「病気を治す感情コントロール術・感想キャンペーン」に応募し、優秀賞を頂いたものを一部、加筆・修正したものです。


 2021年9月

 暑かった夏も終わりを告げ、ようやく秋らしくなってきましたね。今年はコロナの影響も色々とありましたが、私自身はよい夏を過ごせたと思っております。

 さて、今回の感想キャンペーンは「病気を治す」ための本についての感想という事ですが、私は病気を治した経験を持って「病気を治す感情コントロール術」を読ませて頂きました。そこで私が感じたのは全くこの本に記された通りの事をして病気を治したという事です。

 私の過去の経験をもとにそれらについてのお話をしようと思います。

 約20年前、私はある機関の滞納金を徴収する部門で、滞納者への支払いの催促や財産の差し押さえ等をおこなう業務の担当をしておりました。

 風当たりの強い業界だったので電話や訪問で罵声や脅迫を受けるのは日常茶飯事。

 さらに職場内においては目の前で部下に私の悪口をいう同僚のモラハラや、些細なミスで怒鳴る上司のパワハラ等が続き、ついに私はうつ病を発症してしまい仕事に行けなくなりました。

 自宅にいる間、妻は私を支えようと献身的に接してくれましたが、子供も小さかったので育児と私の看病のストレスに耐えきれず、妻までうつになってしまったのです。

 それから休職と復職を繰り返しましたが、再度の入院を機に失業し、心身ともに衰弱していた妻ともお互いのため、離婚する事になりました。

 その後収入が途絶え、支払いをしていたローンも返せなくなり自己破産手前の債務整理の法的手続きも取る事となり、家庭と仕事と財産を失った私は毎日死ぬ事ばかりを考えるように。

 のちに妻から聞かされた話で私が離婚して家に帰らなくなった後も、当時3歳だった子供は私がいつも帰宅していた時間になると、玄関に出て私の帰りを待ち続けていた事を知り、どうしてこんな事になってしまったのかと号泣しながら境遇を呪いました。

 それからの私は生きる気力もなく何もする事が出来ず、入退院を繰り返しながらなんとか生きている日々。

 そうして5年の月日が流れようとしていたある日、精神科の仲間から「樺沢紫苑という人の動画を観てみるといいよ」と勧められました。その時は興味もなくそっけない返事をして、その後、家に帰るともう忘れていました。

 しかしある日、ふと思い出して「ああ、そういえば動画がどうとか言っていたな」と「樺沢紫苑」と検索して、薄暗い部屋の中でスマホの光に顔を照らされながら、初めて樺沢紫苑という人の動画を見たのです。

 それまではずっと過去を呪う「戦闘モード」の生活を送っていましたが、しばらくすると私の心に変化が生まれました。  

 病気に対してもっと色々な知識を身につけようと病気に関する本を読むようになり、そして、「どうしてこうなったのか」とずっと後ろを向いていたベクトルが「これからどうしていけばいいのか」という前向きのベクトル「平和モード」の生活に切り替わったのです。

 それまで夜通しオンラインゲームをプレイするような昼夜逆転生活を送っていたものを、生活スタイルを整えて規則正しい時間に睡眠をとるように。

 そして日中活動できるようになると、朝はできるだけ太陽の光を浴びるように外に出て病院のデイケアに通うようになり、色んな仲間と話す機会も持てるようになりました。  

 私はずっと引きこもりと過食の日々を送っていたので体重が100㎏を超えていたのですが、食事等も含め生活全般を改めた事でうつ病を患う前の70㎏ぐらいまでの体重の減量に成功し、週5日・1日4時間の作業所の仕事に通う事ができるまで体調が回復したのです。

 ここに至るまで社会的にリタイアしてから実に約6年もの月日が流れていました。

 最初の5年間の否認のステージではかつての仕事や同僚、上司などへの憎しみや恨みでそれらの悪口ばかり言っていました。そして、主治医や看護師の事もあまり信用していませんでした。

 それが「動画」という受け入れやすい情報をきっかけに病気に対する知識に興味を持ち様々な情報を得るようになり、それらを基に主治医や看護師に質問をするようになったのです。そして、過去の悪口もあまり言わなくなりました。

 「時間+情報+信頼」で、「安心」への道が加速したのです。

 受容のステージに入った後はみるみる病状が回復していきました。それはまず外見に変化が現れました。

 それまでゾンビのような状態だったのが、生気を取り戻していき体格も人相も変化したため、過去の入院当時に病棟で私の担当をしていた看護師と退院して約1年後に偶然廊下ですれ違って挨拶した際に、誰だか気づかれなかったほど。

 それからさらに約4年たった今、現在は週5日・1日6時間の勤務ができるようにまでなりました。服薬はしており調子を崩して仕事を休む日もありますが、現在はおおむね健康な生活を過ごせております。

 私はどうしても直接一言お礼を伝えたかった人物がいました。それは動画で情報を発信され、病気に対する知識を私に与えてくれた樺沢紫苑先生です。その想いは思いがけぬ形で実現しました。

 先生の著書である「アウトプット大全」の講演会に参加した際に、樺沢紫苑先生とお話できる機会があり、その際に「先生の動画に救われました!」と直接お礼を伝える事ができたのです。

 その時に握手を交わして撮らせていただいた写真は、サインと一緒に額縁に入れて部屋に飾ってあります。

 今、感謝のステージにいる私は病気になったおかげで生きる事をより深く考えて行動する事ができるようになったと思っています。

 病気にならなければアウトプットに興味を持つこともなく、このような感想キャンペーンに自分の作文を応募しようなんて以前の私には発想もできなかった事でしょう。

 医学的に言うと私の病気は治癒していません。しかし今は病に捉われず毎日を楽しむことを考え、この先よりよく生きる道を探しながら生活をしています。それはもう「病気が治った」と言っても良いのではないでしょうか。

 私の病気に至った経緯と回復の経験についてここまで書きましたが、病気を治す感情コントロール術に書かれている内容が実現可能な事がおわかりいただけたかと思います。

 どんなに最悪な状況でも病気は必ず治ります。でも焦る必要はありません。私はここまでくるのに約10年かかりました。

 正直、年齢も若くなくなりましたが人生はまだまだこれからが楽しくなると思っているので、これまでにかかった年数に悲観はしていません。

 そして、私の経験を誰かに伝える事で勇気を与えることができれば嬉しいと思っております。

 最後に、私をとりまく全てのものに感謝を述べたいです。ここまで私を支えてくれた方々のおかげでここまで回復する事ができました。

 本当にありがとうございました。


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