『学びとは何か』5/8回
「学ぶ」を「学ぼう」!
そう思い立った私にとってどストライクなタイトルの本書を8回に分けてアウトプットしています。
今回は5回目(第5章)!一緒に学びましょう!
前回は↓です。
前回までのざっくりおさらい
「熟達する」とは、特別なことではなく誰にでもできることである。(みんな母語に熟達している)
学ぶことは熟達に向かう過程であり、熟達することで
「本質を見抜く力」「応用力」「識別力」「審美眼」を得る。
今回は、学びと脳の関係について見ていきます。
実際の身体(脳)にどんな変化が起こるのか?それはどんな仕組みなのか?これも大事な学びですね。
❺熟達による脳の変化
①スキルの制御処理と自動処理
<スキルの制御処理>
処理速度が遅い。また、同時に処理できる容量が限られる。
しかしその分、情報の処理が柔軟に修正できる。
<スキルの自動処理>
脳の処理ネットワークが自動化し、制御システムがそのスキル向けにチューニングされている。ただし、固定化された処理になってしまう。
スキルを得るということは、自動処理になることです。
②制御処理×自動処理のバランス
制御処理だけだと遅い、かといって完全に自動処理にしてしまうと固定化されて変化が必要なときに対応できない。
ということで、本当に熟達したパフォーマンスを発揮するには、制御処理と自動処理の双方のシステムをつくっていき、2つのシステムの両方をほどよいバランスを保ちながら働かせることが重要なのです。
「じゃあ、その<ほどよい>バランスってどんなバランス?」
と思ってしまいますが、それを試行錯誤で見つけることが学びであり熟達することなんだと思います。
③熟達と脳の領域
なにかをするとき、慣れないうちは脳の多くの領域が働いています。
これが、熟達していくと、脳の働きが自動化し使われる脳の領域は小さくなるのです。効率化しているわけですね。
④脳の変化
③の脳の働く領域が変わるという話とは別で、脳自体にも変化が起こります。
熟達の過程で、
・スキルに必要な特定の刺激に反応する細胞群が増え→
・神経ネットワークが再構成→
・神経細胞が活発に活動する部位が変わっていく
のです。
一流のプロになると特定の領域の脳が大きくなるものなのです!脳そのものに変化があるとはすごい!
そう考えると、生まれ持ってスキルに特化した脳になっているわけはなくて、効率よく努力して脳をつくっていくことが大事、ということが理解できると思います。
⑤熟達のためには行動!
自分が実際に身体を動かして習得しなければ、何万回観察しても熟達者と同じような脳の働きにはならないことが確認されています。
以前、『戦略読書』の紹介の中で、「百聞は一見に如かず」の続きについて書きました。
百聞不如一見
百見不如一考
百考不如一行
→100万回聞いても1回の試行錯誤に及ばない!
「脳」から見ても同じことが言えるという事実があるわけです。
人は、他者を観察して、他者から多くを学びます。
しかしそのとき、他者の行為を分析し、解釈し、心の中でその動きをなぞり、それを実際に自分の身体を使って繰り返すことが、なくてはならないのです。
⑥「直観」は「古い脳」!
「古い脳」とは、爬虫類など、進化上の古い動物でももっている脳で、
繰り返された経験からの無意識な学習や習慣的な行動の記憶にとくに深く関わっていると考えられています。
瞬間的な判断をするとき、つまり「直観」がモノをいうときはこの「古い脳」が働くのです。
これは、熟達者の直観と臨機応変な判断は、長年の習慣的な経験の繰り返しから生まれることを意味する。
⑦「脳」から見た「生きた知識」
単なる記憶ではなく使える「生きた知識」とは、事実の断片的な記憶の集積ではなく、それをどう使うかという手続きまでもが一緒になった知識である、ということが脳の研究からわかったのです。
▼次回は
「生きた知識」はどうやって獲得するか?を掘り下げます。
つづく
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