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「結」 ー Work ❸ ー Uzumakism

MUSUBINA  KITCHEN」へプレゼントした作品「結」の制作時に使用した画材を紹介する。

▼前回を参照していない方はこちらを一読して欲しい。

「結」 ー Work ❷ ー Uzumakism

さて、今回は「結」の制作に使った画材を紹介しつつ、エジプトの「女神バステト」を描いてみようと思う。キャンバスサイズこそ違うが作業工程はほぼ同じなので参考にして欲しい。

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【宇宙が生まれる場所】
エントロピーの増大の法則からは私の作業台も逃れられない。
我々の住む、この宇宙も混沌(カオス)から始まったと言う。究極の秩序に辿り着いた時、我々は滅びるのか、それとも新たな宇宙をビッグバ…と眠気を誘う文言を書き連ねて散らかった机の状態を誤魔化してみる(誤魔化せていない)。

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【宇宙の中の小さな宇宙】
今回はバステト様をハガキサイズ(100×148mm)の「L!FE POSTCARD」に描いてみた。「結」の制作に使用したF8(380×455mm)のイラストボードより遥かに小さい。この紙は表面に若干のエンボスがあり、プリンターを使用して印刷した場合少しインクが滲んで“味のある”作風になるのがお気に入りだ。ただし、その分細部の表現が潰れてしまう。QRコードやURLアドレスなどを印刷する時は画像やフォントを大きめにする必要がある。


まず「結」の線画を描写するのに使った道具から見て行こう。
下描きには「三菱鉛筆の”B“」を使用した。硬すぎず、柔らかすぎず、消しゴムで消した後も残り難いので”B“を選択した。余り色が濃くなる鉛筆を使うとキャンバスが下描きの段階で黒くなり消しゴムで消す際に大変苦労するので鉛筆選びは重要だ。

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【イメージ①】鉛筆による下描き

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【バステト様】
エジプトの女神バステト。猫の頭部を持つ人間の姿で描かれる事が多い。
音楽の神、天空の神、豊穣の神などなど沢山の神としての側面を持つ。
太陽神ラーの命により人間を罰するために大虐殺を行ったりと、恐ろしい一面もあるようだが、神話と言うのは時間軸も空間もごちゃ混ぜにするので、別人(別神?)の仕業を擦り付けられている可能性もある。
ギリシャ神話の美の女神アフロディーテ(ヴィーナス)と同一視されたりするので私のシンボル「魚座」とも少し繋がりがあるのではないかと思う。
勝手だが素敵な片思いの可能性は捨てきれない。

このサイズだと敢えて下描きをしないのも手だ。微妙な“失敗”が良い味を醸し出す事もある。

そして、ペン入れに使用したのは「セーラー万年筆の“ふで和み ふでペン”」だ。
美人の涼風花先生の写真に目を惹かれて買ったわけではない、買った結果惹かれたのだ。
原因と結果の因果関係を正しく理解する事は大切だ。“失敗”した時に過去を悔やむ前に、何故“失敗”したのかを考えなくてはならない。その為には原因と結…いや、迷子にならない内に話を本筋に戻そう。涼風花先生は美人だし字も綺麗だ。

【イメージ②】筆ペンによるペン入れ 第❶段階

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“中字”で輪郭線のみ描いた状態。
上手い人が線の太さを使い分ければ、ミュシャの絵や浮世絵の様な雰囲気を出せる。
私は絵描きではなくて“むしょく”なのでそんなに上手くはいかない様だ。


この筆ペンは、中字と細字の2種類の太さで書く(描く)事が出来る。
一番外側の輪郭線は“中字”で描いてみた。ヒゲや目、首の装飾品など細部は“細字”を使っている。「結」の制作でも同じように太さを使い分けている。

【イメージ③】筆ペンによるペン入れ 第❷段階

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線の太さを変えたから上手いとか味が出ると決めつける事は出来ない。結局は見る側の好みだからだ。描画線の終点で筆を“抜く”ことで習字の様に“雰囲気”が出る(私の感想)。

細部まで描き終えたら、暫くインクが乾くのを待つ。本でも読みながら待てば、2分前の自分より少し賢くなる。賢くなった自分を感じられた所で消しゴムを使い鉛筆の下描きを消して行く。消しゴムで消すとペン入れした線が薄くなるが、これを欠点と捉えるか味が出たと捉えるかで作者の器の大きさが測れる。私は器が小さいので薄くなった線の上から再度ペン入れをした。


【イメージ④】綺麗に汚れを落として、ブラッシングしたニャ

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賢くなる余裕のない人は、消しゴムで消した際にインクが引き伸ばされて手振れ写真の様な仕上がりになってしまうので注意。
掠れて出来たブラーを活かして動きのある絵にするだけの技量があるなら、頭の悪いままでもそれは才能になるかもしれない。

2度目のペン入れをする場合は注意が必要だ。脱線するとそれを誤魔化す為に工夫をしなくてはならないからだ。誰かさんの長話と同じだ。
私は器は小さいが度胸はあったみたいだ。“失敗”を恐れずに無謀なチャレンジに挑み、見事“成功”した。美人の先生の後押しは強力な助けになる。ペンに“魔法の力”が込められているからだ。

【イメージ⑤】筆ペンによるペン入れ 第❸段階

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ペン入れ完了。
美味しいお魚を食べて満足気に笑うかの如き女神様が浮かび上がった。
猫が好きでバステト神が気になる方は「なんちゃってバステト神」と検索する事をオススメする。きっと幸せになれるだろう。

にゃんとにゃく右目が寂しく見えたので、2度目のペン入れの際にアイラインを足してみた。中空に浮く様な不思議なアイライン。2次元特有の表現をとり入れてみた。(失敗したんじゃないからね!)
首飾りの細部のペン入れは一回だけにした。ペン入れを一回だけで止めた良い言い訳が思い付かない。きっとお腹が空いた事が原因だろう。

腹の虫が治らない(誤用)ので今回はここまで!

次回の “「結」 ー Work ❹ ー Uzumakism” では「STAEDTLER  karat 色鉛筆」を使用して着色する様子をお伝えしたい。お楽しみに!

Work ❹ へ続く  ▶︎▶︎▶︎

◀︎◀︎◀︎  Work ❷ はこちら

「結」の物語    ▶︎▶︎▶︎  Phase 1


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私の伯父「山内秀德」の遺作を投稿しています。是非ご覧ください。

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