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記録することについて - 秘密結社「喫煙所」(10通目)

この記事は、素直さと向き合おうとしているふたりが、答えのないことを問い続けていく文通マガジン『秘密結社「喫煙所」』の第10通目です。お互いの記事を読んで、文通のように言葉を紡いでいきます。

秘密結社「喫煙所」

タオさんへ

「日記」っておもしろい。誰かの日記を読むことも、自分の日記をつけることも、最近はどっちも楽しくなってきた。

日常的な情景描写って、その人なりの観察というか、生きてきた積み重ねが滲み出ていたり、文章から温度感が伝わってきたりするから、好きなんだろうな。

最近の関心ごとは「人間くささ」「人間はしょうもない(から愛しい)」だから、誰かが残した「記録の断片」をとにかく摂取し尽くしたいのかもしれない。なるべく些細で、本人の熱がうっすらと乗っかっている出来事だと、より推せる。ぱっと見でわかりにくい方がなお良い。

ここ数年は毎日の出来事を書いて記録していたけど、日記という文脈よりは、ただ日々の改善を積み重ねるための機械的なものだった。だけど、書くことが楽しくなってきて、他の人の日記を読み始めてからは、普段の記録にも日記的な文章を残すようになったんだよね。

おそらく、「記録を残すこと」に興味が湧いてきた。生花を飾るようになったのも大きかったのかも。日に日に変化していくから、それを残しておきたいって思ったから。

記録の仕方を変えてみて、日常ってほんとに些細なものの積み重ねなんだなって思った。楽しかった時間はすぐに過ぎ去ってしまうし、葛藤はずっと続いているような気がする。だけど、そんなすぎていく時間のなかにも、確かに心地よい瞬間はあって。

「人生は些細なものの連続で、そこに幸せがある」ってまとめると、めっちゃ陳腐な表現になってしまうのだけど、ほんとそんな感じかもなぁ。忘れてしまうから、残すことで自覚的になりたいのかもしれない。

そういえば、ロングシートよりもボックスシートの電車が好きでさ。景色が見やすいからね。電車だと読書できるし、流れていく景色を見ながら、ふーっと息をつける。この間、そんなボーッとする時間を過ごしていたら、「あれ、これで幸せじゃね?」と思った。その前の時間が充実していたからかもしれない。

あとさ、写真も記録だよね。最近は文章のことばっかり考えてるから、写真の存在を忘れてたけど。写真に対して「その瞬間を残す」とあんまり思ったことなかったんだよね。撮りたいから撮っただけで、なんでかってよく観察してなかった。だから、「写真って記録できるんだぜ。すごくない?」って大発見みたいに思ったけど、みんな知ってることだった。でもいいんだ。自分なりに腑に落ちることが大事だと思うから。

写真に義務感を覚えて、自分のペースで撮ろうと思ってあまりカメラを持ち出さなくなったけど、この記録と写真が繋がったから、また細かいものとかを撮り出すようになった。生花とかね。

日記をつけ始めたみたいだけど、記録することについてどう思ってる?
文章や写真に限らず、「記録とは?」って部分を聞いてみたい。あとは思わず残しておきたくなる瞬間とか気になる。多分、人に関わることだろうな!

・・・

エモい自意識がある電柱

エッセイもおもしろい。いつも言ってるけど、岸本佐知子さんは最高だ。最近は、会ったこともないクリエイターのポートフォリオサイトに書かれている、日記や報告などを見るのが趣味になってる。全然知らない人と馴染みのない場所が出てきたりして、少しだけ嬉しくなる。みんなよく観察しているよなぁ。あ、そうだ。10通目までいったね。今後も楽しみだ〜

【今回の問いに対する返事】

【前回の問いと返事】

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