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人疲れしない「非交流型シェアハウス」

「交流、人との繋がり、シェアリングエコノミーなど、モノや体験を一人でするのではなく、何でもシェアをする時代」

シェアという概念は、特に孤独感と安定しない金銭面の不安を抱えがちのフリーランスにとって、寂しさ解消とコストダウンを実現できる有効な手段となる。

一方で「繋がる」サービスが主流になってくる先に待っているのは、慢性的な「人疲れ」ではないだろうか。

何でもシェアをしてオフラインで交流して、SNSのアプリを開けばオンラインで刺激的な情報が飛び込んできて、コメント返信に時間を使う。

1日中情報のシャワーを浴びて帰宅しても、シェアハウスに帰れば同居人が待っている。

シェアハウスがあることで、一生付き合っていく恵まれた人間関係を生むこともあるが、家の中まで人間関係で繋がることは、そのぶん摩擦も生じやすくなる。

人と一緒にいることでエネルギーをチャージできる人もいれば、一人の時間が必要な人もいる。シェアハウスを求める人が、必ずしも前者のタイプであるわけではない。

フリーランス、ノマド、旅するように暮らす、住む場所を問わないスタイルなど、それに付随するシェアハウスや宿泊サービスが生まれてきた。

しかし、「適度な交流に留めて一人の時間が必要な人」に向けたシェアハウスや宿泊サービスはまだまだ少ない。
個室ではなくドミトリーのみなど、「人疲れ」対策に力を入れていないことが多い。

「人疲れ」するのにシェアハウスに滞在する人の心理

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私は昔から様々な「暮らしの形態」を経験してきた。実家、一人暮らし、ホテル暮らし、ルームシェア(留学)、同棲、シェアハウス、個室のAirbnb住まい(海外)などを試してみて、自分ははっきりと「人疲れ」するタイプだとわかったし、自分の時間が持てないのは耐えられない。

それでも昨年にフリーランスとなってからは、国内では基本的にシェアハウス暮らしを選択した。自分は「人疲れ」すると知っていながら選んだ理由は2つ。

①金銭的な理由

シェアハウスは自ら部屋を契約して暮らすよりも、家賃や水道ガス光熱費に掛かる費用は割安だ。

私の場合は独立したてであったため、なるべく固定費を削減して最低限稼ぐ生活費を下げ、事業を拡大していく戦略だった。

食事も同居人たちで自炊をしていたため、食費の節約もできた。ここは各シェアハウスのルールによるだろう。

②契約変更の融通が効き、引っ越しの手間が少ないから

日本の住居の契約は複雑で、設定された最低日数は暮らさないと違約金が発生したり、そもそも部屋を借りれなかったりする。さらに、フリーランスは日本ではまだまだ信用が少ないため、部屋を借りにくい。

家具家電付きの家も少ないため、自分で購入するか引っ越し費用を出してモノを運ぶかで、いずれも費用がかさむ。

私の場合は知り合いが運営していたこともあるが、契約は緩く、キャリーバッグ1つですぐに生活できる状態であった。

独立したてで、いつ家を出るのかも決まっていなかったため、特定の日数の契約をしないで良い点も選ぶ基準となる。

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(毎週末、近所の朝市で新鮮な魚料理を楽しんだ)

私が暮らしたシェアハウスでは、「人疲れ」する私に対して同居人たちは公平に接してくれたし、運が良く楽しい暮らしとなったことは間違いない。

ただ、交流以外の上記のような目的を持ってシェアハウス暮らしを選択する人もいる。

「人疲れ」の対策をしていないシェアハウスは、事前の説明を充分にしなければミスマッチが増えて評価も落とすことになるだろう。

非交流型シェアハウスとは

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いま住んでいる沖縄では、最初にシェアハウス暮らしを選択した。(最近、引っ越してしまった)

「このシェアハウスは特に交流とかないので。歓迎会とかもあるタイプではないです。ご自由にお過ごしください。」

部屋を契約した当日にオーナーから言われたひとこと。暮らしてみると、まさにオーナーに言われた通りだった。

キッチン、バストイレ、玄関などは共用だが、各部屋は個室。生活する上で、最低限の交流や会話(キッチン使います?ぐらい)はされるが、そのほかで人と繋がる必要もない。

このお互いの名前も知らないけど、同じシェアハウスで暮らしている形態を、私は「非交流型シェアハウス」と名付けた。


契約の手軽さやコストダウンなど、シェアハウス共通のメリットはあるが、そのほかに感じたメリットは2つ。

①お互いの生活を尊重できる

同じ共有スペースを使って、隣の部屋に住んでいる名前も知らない人、という絶妙な関係では、お互いの生活に気を遣える。

仲が良すぎると、一緒に暮らす上では人間関係も拗れる可能性があるからだ。

交流メインのシェアハウスでは、同居人の友達が毎日やってきてお酒を飲んで大騒ぎ、といった状況もよくある。
騒音やプライベートへの介入を避けられないシェアハウスもあるだろう。

お互いの生活を尊重できるのは、他人と知り合いの中間のような非交流型シェアハウスの住民の関係性だからかもしれない。

②自分の時間を保てる

じっくり考えたいこと、集中したいことに取り組む時間を確保しやすい。人と話して得られることもあるが、それを噛み砕いて整理する時間も必要。

冒頭のように1日中何かしらの情報を浴び続ける現代人でも、じっくりと自分と向き合う時間を乱されることが少ない。

キッチンで料理をしながら、考えたいこともあるかもしれない。

「人疲れ」しない暮らし方の実現

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これからの時代、「非交流型シェアハウス」の選択肢が増えると、私のように救われる人も出てくる。

既存のシェアハウスの魅力もあるし、その暮らし方に救われる人もいる。しかし、何でもシェアする時代だからこそ、仕組みに賛同しつつ違う選択肢を取りたい人の選択肢が少ないように感じた。

実際に、他の条件は良くても、シェアハウスの人間関係に上手くいかずに、その場所を去らざるを得なかった人もいる。

多くのシェアハウスが開業されているが、シェアハウスを求める理由が、交流以外でも良い。

「人疲れ」しやすい人が、安心してシェアハウスに住めれば、様々な土地でもっと自由に活躍できる人が増えるのではないだろうか。

「非交流型」でシェアする仕組み、増えてくれると暮らしやすい社会になりそう。

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