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都道府県別出生率と初婚年齢から浮き彫りになった都市と地方のカテゴリー

先日、2023年度の全国の合計特殊出生率が発表され、過去最低の1.20を記録したことが発表された。中でも、東京は0.99と1を下回り、少子化の傾向を色濃く反映した結果となりました。

一方で、出生率は都道府県および地域もで異なり、1位の沖縄が1.6、最下位で1を割った東京で0.9と、0.61と決して小さいとは言えない差が生じています。

下図は、2021年度の国立社会保障・人口問題研究所「人口統計資料集」、厚生労働省「人口動態統計」からマップ化した、都道府県別出生率です。

図1 都道府県別出生率(2021年度)

上述のデータと変わらず、都市と地方で出生率の「高」「低」で大まかなグループに分類できそうな傾向が見てとれます。昨年度の合計特殊出生率のデータを見ると、最下位の東京都が極めて低い値を示すほかは、北海道・東北地方の値も低い傾向にありました。このデータは、2021年度のデータの傾向を踏襲していますが、全体的には出生率が低いのが首都圏・大阪圏を中心とした「都市」、高いのが「地方」という傾向が比較的表れていることも確かに見られます。

都市部と地方で差があるデータは、出生率に限ったことではありません。下図は、都道府県別女性の平均初婚年齢を表したデータ。これも、都市部と地方というざっくりとしたグルーピングが可能といえそうです。こちらのデータも、国立社会保障・人口問題研究所 人口統計資料集2021度データからマップ化したものですが、都市部、特に首都圏で平均初婚年齢が高く、地方で低いことが顕著に表れています。

図2 都道府県別女性初婚年齢(2021年度)

最後に「都市」と「地方」をカテゴリ化してみるのが、厚生労働省 令和5年度地域別最低賃金改定状況による2023年度10月時点での「都道府県別最低賃金」です。このデータほど、「都市」と「地方」の差を県庁に表したものはないといえるでしょう。最も最低賃金の高い東京都で1113円、最も低い岩手県では893円と、時給で220円もの差があることに驚く方も少なくないと思います。

図3 都道府県別最低賃金(2023年度10月時点)

一般的に、日本に限らず、「都市」と「地方」をカテゴリ化した形で語られるのは、「都市」が従来の価値観にとらわれない独立的な風潮で、「地方」が古き良き家庭感とコミュニティの重視といったところだとすると、早婚・晩婚傾向や多子家庭の多寡はその従来的な都市と地方のカテゴリに当てはめた結果ともいえます。賃金水準の違いからも見える都市の経済水準にも照らすと、物質的な豊かさと精神的な豊かさとカテゴリ化しようと思えばそうともいえるのでしょうか。一方で、価値観が多様化する時代に、「結婚」や「収入」「子供をもつこと」とはまた違った軸での豊かさを追い求める傾向もあります。そうなってきたときに、「都市」と「地方」の従来のカテゴリでは結びつかないような新たな尺度で日本を見てみることもできるのかもしれない・・と思いました。

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