読書感想文の攻略法 ①本の選び方
いきなりですが、今朝の私のツイートから。
心を揺さぶられるような一冊に出会った時、人はその感動を忘れないようにメモしたり、人に話したりしたくなるものです。それが感想文。
つまり「何を読んで感想文を書こうかな〜」ではなく、何冊か読んでみてビビッときた本について書く、が正解だと思うのです。面白かった!という衝動のままに書いた方が、読み手(学校の先生)にも刺さります。
読書感想文は子どもの敵?
今朝本屋に寄った時、息子(小6)と同じ年くらいの男児たちが売り場を眺めながらボヤいていました。
「読みたい本、ねえよなー」
「課題図書もなんか難しそうだしな」
少年の手には学校から配布された課題図書のプリント。表情とテンションから、少年たちがあまり本好きではない事と、読書感想文という夏休みの強敵に苦戦している様子がうかがえます。
無駄にたくさん読みたくないのでしょう。
何を読めば失敗しないかについて議論していました。
「Y子はハリーポッターにしたらしい」
「ハリポタ面白いのかな?話が長すぎるよな」
「先生が言ってた "モモ" ってやつにしてみる?」
「いやー、あれも本が分厚かったよ」
違うんだよ少年たち。
本の厚みは関係ないぞ、と声をかけたくなりました。
本の内容が自分にフィットすれば、Y子ちゃんじゃなくても厚い本が読めるし、そうでなければ薄い本でも読むのはツラい。一文字も読んだことがない本の内容について、本屋で議論しても意味がないのです。当たりかハズレか、あけてみなければ分からないんだから。本もクジと一緒。
本との出会いは 「数打ちゃ当たる」
良書との出会いも人間同士の出会いと似ています。
人生を変える運命の一冊、なんて言葉がありますが(本屋さんのポップにありそう)そこを引き当てるまでには、いくつも無駄足を踏んで経験値をあげる必要があります。
出会いと別れを何度も繰り返し、やっと引き当てられる激レアこそが「人生を変えるような出会い」。どんな本が自分に刺さるのか、あちこち手を出してみなければ分かりません。
本に関しては、ちょっとつまみ食いして気に入らなければポイでも良いんです。(プレイボーイですね)最初は奥手でも、数打ちゃ当たる。
どの本を手にとれば良いのか
では、無数にある本の中からどうやって自分に合う本を探せば良いのか。
毎年発表される 読書感想文コンクール の課題図書も確かに参考になります。「モモ」や「窓際のトットちゃん」のような永遠のベストセラーとは違って、今の子に刺さる本 が紹介されているからです。
例えば、今年の課題図書には「兄の名は、ジェシカ」という作品が選ばれています。4歳上の兄が「自分はトランスジェンダー」だと言い出して、家族やLGBTの若者の思いがバタバタと錯綜するコミカルな物語です。
中学生の課題図書にも、若くして母親の介護に携わる「ヤングケアラー」の少女の話が入っていました。(with you ウィズユー という本です)どちらもひと昔前なら選ばれなかった作品だと思います。
ただし、課題図書や学校の推薦図書はあくまでも参考。
本当は何を題材にしてもいいんです。おもしろいと思ったなら、子どもがビジネス本や料理の本について書いたって良い。頑張って読む本ではなく、頑張らなくてもスルスル読めちゃう本を題材にしたらいいと思います。
最初はジャンルで選ぼう
以前、小麦こむぎ子さん という方のツイートで見た方法ですが、子どもの本選びは、まず以下の4ジャンルから好きなモノを選ぶと良いそうです。
① 乗り物や機械の本
車や電車など、乗り物のことや機械の仕組みについて。
② ものがたりの本
わくわくする冒険の話や、不思議な世界のお話など。
③ 有名な人の本(伝記)
素晴らしい発見をした人や、立派な事をした人のお話。
④ 動物や自然の本
動物の暮らしや、草や花の事を調べてみよう。
ジャンルが決まれば、本屋さんや図書館でどの棚に向かえば良いのかは分かります。そこから更に、伝記ならどんな人の本が読みたいのか、物語ならファンタジーかミステリーか‥…と掘り下げていきます。
裏表紙と1ページ目をチェックしよう
私が書店で本を選ぶとき、以下の二カ所をチェックします。
「裏表紙のあらすじ」と「1ページ目の本文」です。
▼これは「窓際のトットちゃん」のあらすじと1ページ目。
▼これは「モモ」のあらすじと1ページ目。
この二カ所を確認すると、その本が自分のレベルに合っているかどうかが分かります。文字の大きさ、フリガナの有無、あらすじを読んでワクワクするかどうか…、子ども向けの言葉にするなら「ハマれるかどうか」が予想できます。
あらすじを読んで惹かれない本は、たいてい全部読み終えても「うーん…」だし、1ページ目がスルスル読めない文章は、読み進めても違和感が残って途中で断念しやすい。
恋人を選ぶ時に、自分との相性を探る感じに似ています。
最初のデートでビビッときた人とは長続きしやすいように。
感想文もひっくるめて忘れられない一冊に
心を動かされる本に出会い真剣に感想が書けたら、それだけで読書感想文は自分の財産になります。最後にそんなエピソードをひとつ。
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アラフォーの私ですが、自分が中学生の頃に書いた読書感想文をまだ覚えています。山田詠美の 放課後の音符(キイノート)という本でした。
ちょっと "はすっぱ" な女の子が出てくる恋愛小説で、
彼女はソックスの中にキラキラ光るアンクレットを隠していて、
それを知っている私には彼女が教室の中で特別輝いて見えた。
みたいな表現が、もう何というか‥…
オシャレで甘酸っぱくて眩しくて。
15の私にはさぞかし素敵に思えたんでしょう。大人が使うアクセサリーや香水のように、その本を大切にしていたのを覚えています。
そして、中3の読書感想文コンクールで私は市の優秀賞を取りました。
山田詠美調の文体で「自分の意見を持つことは、男の子とベッドに入ることより難しい」とかそんな事を書いてしまったので。(思春期特有の痛さ、イタタタ…笑)特別文集に掲載された時は正直まいったなと思いましたが。
でも、"ちょっと卑猥な作文で表彰された子" として周りから冷やかされた事も含めて、今となっては良い思い出です。
本との出会い、人生に与えた影響、自分が書いた感想文。これは思い出す時、全てワンセットです。真剣に感想文を書くと、その本もひっくるめて自分の思い出になるよと、子どもたちには伝えておきたいです。
はるまま(2021.8.6)
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