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錯覚に対する解毒剤

錯覚とは、感覚器に異常がないのに、実際とは異なる知覚を得てしまう現象である
現代のビジネスのほとんどは、錯覚によって成立している

保険は統計という錯覚によって生み出された不安を煽り、ポルシェは日常生活では決して到達することができない限界性能という錯覚によって生み出した憧れをニンジンとしてぶら下げる
実在する唯一の価値は食べものだけだが、その食べものでさえ、ご都合主義の論文が編み出す錯覚の栄養価や、インスタグラムでの見栄えなどで、本来の価値を覆い隠される
本来なら、身体に害のない安全な食べものをみんなで作ってみんなで食べれば、それでいい
病気も余計な仕事も減り、みんなハッピー
それなのに朝から電車で会社に向かい、会計上にしか存在しない架空の金のやり取りの計算をさせられる

だが、これは仕方ない
1971年、ブレトンウッズ体制が崩壊し、米ドルがゴールドの杭引きから自由になったのを境に、紙幣はいくらでも刷れるものになってしまった
世の中に本来ならば要らないはずのお金が出回ることが何をもたらすのかといえば、要らない仕事が増えるのだ
金によって人は働かされる
誰かが金を求めて働いた成果物を買うために、別の誰かが働く
そうやって誰もかれもが働かなければならなくなった
だが、必要な仕事は限られている
食べ物さえあればいい
だから、本来、要らないはずの仕事が生まれた
要らないはずの仕事が、別のいらないはずの仕事を生み、ネズミのように増えていった

それだけなら、まだ許せる
肝心なのは、それによって必要な仕事がなくなっていった
肝心なのは、体に無害な食べ物を食べること
それさえできていれば、人は困らない
だが、食べ物を作ることも効率化の対象とされ、時間をかけることが許されない
一つの田んぼで一つしか作れないのでは、置いていかれる
みんな一つしか作らないのなら、それでもよかった
だが、周囲は化学肥料や科学農薬を使って、本来一つしか作れないところから2つ作り出す
それは物価が2倍になるということだ
無害なものは何も使わず一つしか作らないと、収入は半分になってしまう

そうやって作られる食べ物に、加工に加工を重ね「製品」が作られる
元々どうやって作られたのか
それを作るためにどんな有害なものを使ったのかは追跡できない
そんな「製品」を、実験によってこんな健康効果があることがわかった、と宣伝する
だが、その実験を金を払って依頼しているのは、その製品を作っている会社である
そして、その「実験」の効果を、「宣伝」として使っていいのか判断する国の基準は、事実上ない
日本では「機能性表示食品」なるものが2015年に編み出されたが、その効果を謳うための実験は、届出制である
つまり、言ったもの勝ち
その実験の検証は、国が行なっているわけではない
日本では、業者が勝手に「体にいい」と言っているだけのものが、多額の広告費を掛けて売られているわけだ

そんな、何が入っているかわからないサプリを、必要のない仕事を続けるために、体にいいと思い込んで飲んでいる
必要のない仕事をするために必要のないサプリを飲み、必要のないサプリを買うために必要のない仕事をする
それで体を壊し病院に行き、必要のない治療を受け、有害な薬をもらう
その一連の行為に係る金に対して、保険が使えたのでよかった、と安心する
しかし、最初からちゃんとした食べ物を食べていたら、サプリも病院も保険も必要なかった
要らないものの連鎖のために、人の体が、人の人生が使われている
要らないものの連鎖によって、金が回っている

では、どうすればいいのか?
味噌汁を飲め
それで全ては解決する

味噌汁の起源は鎌倉時代に遡る
中国から帰ってきた禅僧が発明し、それを飲んだ鎌倉武士は超人的な力を発揮したという

だが、その味噌汁はダシから取らねばならない
味噌は、自然発酵させたものでなければならない
作るのも、作られる過程にも時間がかかる
だが、そこに時間をかければ、そこに時間をかけなかったことでかかる余計な時間を全て省ける

不換紙幣の登場で、この世界は錯覚に支配された
錯覚の豊かさと錯覚の不安を煽られ、要らない仕事をさせられる
錯覚の解毒剤は、味噌汁だ
錯覚に対する解毒剤を持たないものは、石ころを抱いて眠る羽目になる


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