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もし君臣あい疑い、つぶさに肝膈(かんかく)を尽くす能わずんば、実に国を治むるの大害たるなり。 (貞観政要 政体篇)

(意味)

 君主と臣下がお互い疑心を持ち合っていて、心に思っていることをお互いに言い合うことができないようになっていたら、国を統治する上で大変有害である。

部下は上司に疑いの眼を持っている

 全ての人が当てはまるわけではありませんが、その人の経験を通して、特に自分の上司を、まずは疑ってかかることが多いと思っておいたほうがよさそうです。

 様々事情はあるのでしょうが、これまで上司が掲げてきた約束や、スローガンなどで守られなかったことも少なからず経験してきています。上司としても、組織の目標達成や組織能力を向上するため、職場改善のために多少ストレッチに目標を掲げ、達成しなかったようなことがあったのかもしれません。未達成を振り返っていれば、まだ良い方ですが、言っただけのような状態になっていたりします。

 そういう状態が続くと、「ああ、また言ってるよ」「建前でしょ」と、思ってしまいます。これは自己防衛本能として仕方のないことです。
 上司が胸襟を開いて、「なんでも相談してくれ。」「意見は取り入れる」という言葉を発しただけでは、まだ上述の状態なのです。
 部下の一つ一つの提言に対して、真摯に取り組むこと、ズレがあったり、明らかに間違っているのならちゃんと話をして納得してもらう。そういうプロセスが重要です。

踊る大捜査線の「室井さんと青島」


 ドラマの話ではありますが、一つの理想像が、ドラマ「踊る大捜査線」の室井さんと、青島の関係です。室井管理官は警察の出世コースを邁進するエリート。青島警部補は所轄(湾岸署)の現場最前線で活躍しています。
 一見接点のない二人ですが、様々な事件解決の中で交流し、やがてお互いの信頼感を醸成していきます。
 踊る大捜査線 the movie 2 〜 レインボーブリッジを封鎖せよ!(2003)〜では、事件の総監督を室井さんが途中交代し、現場からのあらゆる情報を出すように求めます。階級を問わず、誰でも意見するように、と声をかけることで、現場でしかわからないような情報が集まり、これがやがて事件解決につながります。
 更に室井は、現場の判断で動け、と指示を出します。

 警察というガチガチのヒエラルキー組織の問題を提起した作品ですが、室井さんと青島はお互い厚い信頼関係で結ばれています。室井さんの現場重視の態度が人を動かしています。

上司から歩み寄るべき

 これは立場上上位職から歩み寄るしかないのです。鶏か卵か、ではありません。上司が先に部下を信頼し、それから信頼されるようになるのです。

(参考)

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