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グッチが問う、「ファッションの常識」

今、グッチの公式インスタグラムで、ある一枚の写真が話題を巻き起こしています。

青山店のリニューアルパーティに参加した渡辺直美さんのショットに、世界中から賛否両論が殺到しているのです。

いいねの数は60万に迫る勢いで、公式がアップした写真の中でもトップの数字に。

 
一方、ご本人は自身のインスタグラムで

青山店リニューアルパーティーにお邪魔しました🙋‍♀️🌈
どんな体型でもファッションを楽しめる素敵な時代になりました🙌と思ったら @gucci 公式のインスタで私の写真が世界で大炎上😂クソデブ祭り😂痩せたモデルを出せ祭り😂フォロー外します祭り😂いい感じで盛り上がってます😂(興味ある方見てみて🤣)
みんな私の魅力にびっくりした様子😘?まだ2%しか出してないのに痺れちゃったのね🤗まだまだこれからよ😂❤️🌈
GUCCIさんありがとうございます💖(渡辺直美公式インスタグラムより)

とコメント。余裕のある返しはさすがですね。

 
正直、10年前には考えられないことではあると思います。

 
ファッションブランドが起用するのは、まさにスーパーモデルのような体型の人ばかり。スレンダーな人が着こなすことでブランドの良さが最大限活かされると信じていたし、ユーザーもまたそれが当然の常識だと思っていました。

 
展示会でも最小サイズしかサンプルを作らず、異を唱えたバイヤーには取引停止をちらつかせたというブランドの話も聞いたことがあります。それくらいサイズ信仰が強かったということです。

 
ただ、ここ数年「プラスサイズモデル」の出現、フランスで痩せすぎモデル禁止法が成立するなど、常識とされた部分に変化が見られていました。

ただ、これはあくまで「多様性への配慮」「極端なものは排除」という程度のものであって、ハイブランドが積極的に推進していこうという類のものではなかった。

 
そんな中、今ノリにノっているグッチが渡辺さんを大々的にピックアップしたから、日本だけでなく世界中を巻き込む話題になっているんです。

 
記憶違いでなければ、一時、芸人のゆりあんレトリイバァさんもグッチを着用していました。私物かスタイリストの所有物でなければ衣装協力だと思いますが、衣装協力の場合、ブランド側からかなり厳しい審査が入ります。僕もその厳しさを経験済みです。

 
ゆえに、ひょっとしてその頃からグッチは多様性への理解を示していたのでは、と今回の騒動を見て感じたのです。

 
現在グッチのデザイナーを務めるのは、アレッサンドロ・ミケーレ。

グッチの「重厚で歴史を感じる」イメージをぶち壊して、トレンドを牽引する力強い華やかさ、ファッションの楽しさを感じさせるデザインに大きく舵を切ったことは大きな賭けであり、古参のユーザーからは「非常識」とされましたが、市場はそれを受け入れました。

そして、これまでグッチを無視していた若年層にリーチすることにも成功し、まさに「ひとり勝ち」の様相を呈しているのです。

 
今回の件は「炎上」と表現されていますが、グッチも渡辺直美さんも炎上マーケティングをするつもりなど毛頭ないしょう。

 
でも、ファッションは誰でも好きなように楽しめばいいんだよ、という「提起」をした。それも、自信を持って。渡辺さんはそのアイコンとなっているのです。ファッションには常識も非常識もないんだよ、と言うかのように。

 
世の中は、誰かが先導しないと「うねり」が起こらない。
今回の一件はいつか振り返った時、ファッションの大きなスイッチになったと評価されるかも知れないな、と感じます。

 
商売的にも購買層が広がることが見込めるからという分析もありますが、今回はそういう野暮な話はやめておきましょう。そんなことよりも大事なメッセージがあるはず。

 
ファッションは、自信を持って着ることで完成します。
おそるおそる着ていたり卑下しながら着ていたら魅力が十分に発揮されない。

 
ファッションは自由に、自信を持って着ればいいんです!

 
渡辺さんが身をもって、それを示してくれました。

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