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環境デザインという仕事。デザインストラテジストという役割。

はじめまして。ヒラサワフトシと申します。
まずは、僕の自己紹介から。

僕は、イタリアの工科系の大学院を出た後に、
商環境系のデザイン会社(アトリエ事務所)に就職(20代) →
企画設計会社に転職(20代) →
独立 (30代)→
空間デザイン会社を設立(30代。現任) →
家業の不動産開発会社の役員(40代。現任) →
プロダクションとイベント空間制作チームをLLPで設立(40代。現任) →
建築設計事務所をM&A(40代)し、役員に。現任。

と通常の空間系のデザイナーと異なる
(おそらく)ユニークなキャリアを辿ってきました。

現在も継続して4つの異なる会社とLLPで経営に参画しながら、
デザイナー&ストラテジストとして複数のプロジェクトに参加してます。
特に40代に入ってからはデザイナーとして実作を産んでいく事以上に
クロスオーバー(ジャンルを超えた仕事)スタイルで、知見を生かしつつ
依頼者の期待に応えていく事、また未来のために後進を育てていく事に
自分の関心が向かっていったような気がします。

環境デザインという仕事

僕が現在携わっている仕事を一言で表す事がなかなか出来ないのですが、3つの異なる会社で下記を手掛けています。


1:都市空間のデザイン(店舗、商業施設のデザイン)
2:
ブランドメッセージを発信する仮設建築と仮設空間デザイン
3:住空間、住環境デザイン(マンションリノベーション、商品化住宅)
4:上記に関わるデザインインサイトとマネージメント
5:
環境プロジェクトのデザイン開発業務
6:REIT(不動産投資信託)開発物件のデザインとストラテジック

いわゆる建築から空間まで手掛けるのですが、建築や店舗の場合はロケーションの選定から、商業施設の場合はリーシング選定から、開発行為の早い段階からプロジェクトに参画します。また、ブランドプロモーションに関わるようなショールームや展示会ブースのような空間デザインの場合は、ブランドプロモーションの企画段階から参画し、デザインパートの提案を行う形をとります。

こういうスタイルになってくると、もはや自分の職業(肩書)の説明が難しく、デザイナーとしての肩書だけでは括れなくなってきました。そこで、海外にも目を向け、調べた文献の中で見つけてきたのが ”環境デザイナー” だったわけです。

従来、環境デザイナーの定義は橋梁やランドスケープなど一部の都市計画も包括する事が多いようですが、都市空間も立派なアーバンデザイン。という事で、自分の仕事の中で特に狭義のデザイン(意匠)を行う場合は環境デザイナーと説明することにしました。上記の表で言うと1〜3までが、環境デザイナーとしての仕事になります。

デザインストラテジストという役割

デザインストラテジスト"design-strategist"は、2018年辺りからアメリカや欧州で、特にUXやID系のデザイン戦略の中で生まれた職能であり、ビジネスモデルやブランド方針に対して、適切なデザインを戦略的に構築していくストラテジック・デザインから派生した職能です。

通常、建築や空間のようなデザインの場合、クリエイティブの統括者は”クリエイティブディレクター”と肩書をつける事が多いと思いますが、僕が担当する環境デザインの場合、単に狭義のデザインだけでなく、マーケットデーターやブランドポジションを考慮しつつ、バジェットを組む前に、”あるべき姿” をデザインとして考察、スタディから可視化し、経営層にわかりやすい言葉を添えて助言する必要があります。これは、クリエイティブの視点と同時に”ビジネスの視点”が不可欠で、与えられる情報に対して俯瞰的に見る必要があります。これを一言で説明する役割として、デザインストラテジストと言う役割を自分の肩書に加えることにしました。前述の表で言うと

4:上記に関わるデザインインサイトとマネージメント
5:環境プロジェクトのデザイン開発業務
6:REIT(不動産投資信託)開発物件のデザインとストラテジック

が該当する部分です。デザインストラテジストの役割を、Goodpatch ベルリンオフィスのデザインストラテジスト"Samuel Huber"は、下記のように話しています。

私はよくデザインストラテジストを翻訳者と表現しています。デザインストラテジストはビジネス用語をデザイン用語へ、デザイン用語をビジネス用語へ変換します。両方の言語を話すためには、多様なバックグラウンドを持ち、様々な角度から物事を捉える視点やマインドセットを持ち合わせた人材でなくてはなりません。

また、デザインストラテジストはコンセプトだけを描くのではなく、より本質を追求するためにアイデアを形にします。従来のストラテジストはデスクワークでのリサーチを行い、そこから可能性を導きだしていましたが、デザインストラテジストにはリサーチをするだけでなく、人の話に共感して、得られたインサイトから答えを導きだすためのアイデアを創出する力が求められているんです。

この翻訳者という解釈も言い得て妙というか、同じ捉え方なんだと思います。また、デザインストラテジストが一番必要とされる場面は、方向性が見えていないプロジェクトの初期段階です。全てが決まっていない、交通整理されていない所から、あるべき姿を求めて、事業帰結するデザインを求めていく事が最も大切な仕事になります。

今の時代は肩書が一言で説明できない職能の人がとても増えている。

彼らのようなUXやID関連のデザインでも同じなのでしょうけど、今の時代は肩書が一言で説明できない職能の人がとても増えているように感じます。それは、必要とされている職能が「多様化」もしくはその逆で「一元化」されてきているからだと思われます。

環境デザインにおけるデザインストラテジストは、ベースに建築や空間デザインのスキルと素養が前提にありますが、その上で建築の商慣習や取引、商業施設における大店法やリーシングの仕組などの専門性、Maasのような物流の変革や世界の都市化の流れなど、大局的な視点も不可欠です。

肩書は、個のアイデンティティを端的に表す、重要な印。自分がどうなりたいか? どう立ち振る舞うか? を説明するために必要ですから、まずこの聴き慣れない”環境デザイナー”と”デザインストラテジスト”の仕事と役割を、説明させていただきました。最後に僕が主宰する空間デザイン会社のメンバープロフィールを引用します。

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自分の頭の中の整理とライフスタイルの多様化による環境デザインの未来をnoteに書いていこうと思っています。





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