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一冊で多くの異世界を旅する:「遠い野ばらの村」読書感想

 誕生日に友人が贈ってくれた「遠いのばらの村」という童話の短編集を読みました。この本には九つの不思議な物語が収録されていて、どのお話も主人公が異世界と現実を行き来するか、主人公のもとで動物が話す物語が描かれています。楽しい世界である一方で、時には怖い、切ない、あるいは悲しい場面もあるのが特徴的だと思え、面白かったです。

 友人が特にすすめてくれたのは、「初雪の降る日」という話でした。
 小さな女の子が道に石けりの輪を見つけて遊んでいるうちに、雪を降らせる白ウサギたちによって異世界にさらわれてしまいそうになります。おばあちゃんとの会話を思い出し、最終的には機転を利かせて現実世界に帰ることに成功する物語です。
 このお話はこの童話集の中でも特にテンポの良い文章で、一気に読めました。童話ではあるものの、死を予感させられ、サスペンスを満喫できるお話でした。

 全体として、「遠い野ばらの村」という短編集は多くの不思議な異世界を一冊で体験させてくれる魅力的な本でした。特に「初雪の降る日」は、設定とキャラクターが子供向けではありますが、独特な世界と緊張感から死の予感もあります。サスペンス性を持っていて、文章もリズム感があり、一気に読むことができました。
 この短編集を読んで、多くの感情と想像力が刺激され、とても楽しめました。


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