みんなで地球を助けよう⑧：燃料電池車はトヨタの孤軍奮闘も目標未達⁉
水素は、化石燃料に代わる主力燃料として非常に有望だと思います。
今回も、水素と酸素を反応させて電気を作りだす「燃料電池」について考えていきましょう。
2016年12月に示された水素基本戦略において、大きな期待を寄せていたのは、都市ガスを改質して、水素を作り出すエネファームでした。
一方、トヨタが世界に先行して、孤軍奮闘していたのが、燃料電池車（FCV）でした。
戦略発表時点で2,000台だったFCV登録車を4年後の2020年に20倍の4万台にするとの目標が閣議決定された水素戦略でした。
たかだか４万台にすることくらい簡単そうでした。
✅ところが完全に目標未達！
日本ではトヨタとホンダが燃料電池車の販売をおこなっています。
しかし、一般社団法人日本自動車販売協会連合会の統計によれば、2017年の販売台数が849台、2018年606台、2019年690台、2020年761台でした。
４年間の合計で2,906台、2016年時点の2,000台と足して4,906台、水素基本戦略で政府が打ちだした4万台の目標の達成度は、約12%でした。
民間企業の部長さんが目標を立てて達成度が12%だったら、どんな評価を受けるのでしょうか？どんな責任をとらされるのでしょう？
どうして、こんな結果になったのでしょうか？
✅普及させたいなら水素ステーションは必須でしょ？
鶏が先か卵が先の議論ではないですが、燃料電池車を普及させるためには水素ステーションというインフラ整備が先行する必要があります。
その点でのインフラ整備では、圧倒的にEVに軍配です。
電気自動車（EV）の急速充電設備の方が先にどんどん整備が進みました。
水素ステーションの稼働ステーション数の方は、2020年11月25日付日本水素ステーションネットワーク合同会社のニュースリリース段階で、稼働135箇所に対して、EVの高速充電機器設置箇所は7,700箇所でした。
これでは、目標の4万台が遠いのも分かります。
全国のガソリンスタンド約３万箇所と比べて、燃料電池車を安心して乗ることができるインフラだとはとても思えません。
たとえ価格が同じでも安心して遠出ができるステーション数のない燃料電池車を購入しようという動機は働きません。
✅トヨタの孤軍奮闘では？
インフラ整備を政府に促すためには、販売台数が伸びないとどうにもならないため、トヨタは、燃料電池技術特許の無償供与を2015年に発表してFCVの仲間づくりに動きました。
これを受けて現代自動車は、FCVに参入。
韓国は、国が全面的に後押しして2020年1月~9月の販売台数が4､917台で世界シェアの73.8%を記録しました。
この台数は、４年間のトヨタ・本田の販売台数を大幅に上回る数字です。
日本政府が、トヨタやホンダが世界に先駆けてチャレンジしてきたFCVを支援せずにグズグズしているのならと、現代自動車が、FCVとEVを引っ提げて日本市場へ再参入してきました。
燃料電池車の普及のカギは、水素ステーションの拡充やクリーン電力による水電気分解による水素製造の拡充、水素のサプライチェーンの構築というインフラ整備に掛かっています。
それに需要創造を公用車にFCVを指定する等の支援が必要ですが、やってくるのは韓国や中国政府です。
EVは、充電すれば走れるのでモビリティにおいては、EVの普及が先に来ても仕方ありません。
しかし、急速充電でも30分待たなくてはならない遠距離走行に不向きです。
利便性では、水素の充填形式のFCVに将来性を感じるのは、じーじだけなのでしょうか？
お金のない日本政府が、補助金政策だけで大盤振る舞いをしたところで、FCVの普及は進まないと思うのです。
だからこそ、制度設計の腕の見せ所です。構造改革の方向性を示す税やサービス料で水素を応援すべきです。
【水素のこういった研究をもっと支援してあげれば？？？】
日本の国土に太陽光パネルを敷きつめるといっても、砂漠に太陽光パネルを敷き詰めた国に比べてとても競争力があるとは思えません。
風力発電に有利な国土でもなく、外国勢にコスト競争力で勝てません。
ならば水素をクリーンな電力で水を電気分解して製造することにチャレンジすべきではないのでしょうか？
そのためには、原子力で水素を製造する道を模索すべきではないのでしょうか？
米・英・加が、先行しているSMR（小型原子炉）の研究も含めて、日本政府は、国民にしっかりと原子力政策を説明すべき時がきているとおっちゃんは思います。
後まで読んでいただき、ありがとうございました。
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