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「風呂酒日和」第五話 お風呂編:四季の湯 #創作大賞漫画原作部門

【風呂酒日和(フロサケびより)】
どこかで銭湯を見つけると、つい寄り道したくなる。
銭湯から出ると、つい一杯飲みたくなる。
そんな私がふらりと立ち寄った、心と体とお腹を満たす、銭湯と居酒屋をまとめたマガジン。


商店街を歩く。新しい店もあればお肉屋さんやタバコ屋さんなど、昔からあるようなお店も並んでいる。なんとなくウキウキ。
銭湯を目指していると、曲がり角の向こうに趣のある居酒屋さんを発見。むむ、気になるぞ...。ひとまず曲がって銭湯へ。

中に入ると「いらっしゃーい!」と明るい声が聞こえた。
目の前に大きな券売機が2台、左手に受付。声の主は受付に座るおじさんだ。券売機には英語で書かれたボタンもある。外国人のお客さんも多いのだろうか。Bathing Ticket。なるほど。Bathという単語は知っていたがBathingという表現もあるらしい。

券を購入し、おじさんに渡す。
坊主頭で体格のよいいかつい感じのおじさんだが、とても明るくて人当たりがいい。タオルは借りられますか?と聞くと「レンタルはやめちゃったんだよね〜買取になっちゃうけど色々あるよ。これは150円」と、手ぬぐいとリンスインシャンプー、ボディソープがセットになったものを出してくれた。
そちらを購入しさっそく脱衣室へ。


脱衣室は真ん中に腰掛けが置いてあり、壁に沿ってロッカーが並ぶ。
ノーマルサイズのロッカーが縦に2つ、ちょっと物が置ける棚を挟んで下段は上のロッカー2つ分の大きさがある縦長タイプ。荷物が多かったので大きいロッカーを使わせていただく。

浴室、なんだか面白い作りだ。
手前の洗い場は真ん中に1つ島があって、後は左右にL字だったりコの字だったり、スペースを最大限有効活用して作ったという感じのレイアウト。そして奥に浴槽、サウナもある。


体を洗って、さてどこから入ろうか。
浴槽は2つ。1つは透明で色々なところにボコボコゾーンがある。もう1つは、青紫のような色の日替わり湯で本日はラベンダー&カミツレとのこと。カミツレとは一体...。

まずはメインと思われる透明な方から入ってみることに。
すごい...なんだか強そうな名前がいっぱい書いてある。ミクロンバイブラ(気泡風呂)、ハイパワージェット(超強力風呂)、超音波マッサージ座風呂...。

ミクロンバイブラ気泡風呂に入ってみよう。
うん、ここが一番ニュートラルなボコボコゾーンという感じ。足を伸ばしてゆっくり浸かる。温度も熱すぎず温すぎず今日の私に最高の適温。
続いて超音波マッサージ座風呂へ。
ここはスイッチを押すタイプ。腰掛けるような形で座るとピンポイントで水圧が飛んできた。超音波感はあまりわからないが気持ちいい。

そして最後にハイパワージェット。こちらもスイッチタイプだ。
先ほど超音波マッサージに座りながら見ていたが、なかなか激しそうだった。正面を向いているとお腹に衝撃を食らう気がして後ろ向きでそっとスイッチを押してみる。ドドドド!
大きな音と共にその名に恥じぬハイパワーな水流が押し寄せる。
おぁぁぁ。まずい、いる場所がちょっと悪かった。激しすぎてお尻が割れそう...!いやお尻はもうすでに割れているのだが。


ひとしきりハイパワーを浴び、一度浴槽を出る。
髪を洗って今度は変わり湯へ。おばあちゃんの隣にそっとお邪魔する。
近くで見てもとっても青い。「カミツレ」が青いのかな。ん?この香り、知ってる気がする。
なんだろう...なんか、高円寺にある古着屋さんとか雑貨屋さんみたいな匂いがする。ラベンダーとカミツレとやらが相まってお香のようないい香り。落ち着く〜。

サウナ前の壁にはフックがついている。
ここに自分の荷物を引っ掛けておくのだろう。あぁなるほど、うまいことタイルとタイルの間の目地にビスを入れている。そうだよね、タイルに刺したら割れちゃうもんね。


ぼんやりと変わり湯に浸かっていると、どこからか「ワオン」と声がした。
ん?おばあちゃん、今鳴きました?または何かのカードでもかざした?
「ワワワン」
やっぱり聞こえる。
はっ、もしかして、ここから...?
変わり湯とサウナの間にあった関係者以外立入禁止の扉。どうやら向こうには、関係者のワン様がいらっしゃるらしい。それか外をお散歩している一般のワン様かなぁ。

満足して浴室を離脱。
体を拭いて洗面所のドライヤーへ。あら20円で6分だなんて。太っ腹。


いつもよりしっかり髪を乾かしてロビーに出る。
大きな長椅子に座りちょっと休憩。ロビーも広々、窓際にはマッサージチェアが並んでいる。スタイリッシュで今風!という感じではないが、リラックスできる空間だ。受付にはShikinoyuと描かれたオリジナルTシャツも飾られている。販売しているのだろうか。ちょっと欲しいかも...。

帰りに受付にいたのはお姉さん。おじさんと同じように愛想のいい声で見送られ、私は気持ちよく四季の湯を後にした。

【世田谷温泉 四季の湯】
住所: 〒156-0054 東京都世田谷区桜丘2-18-26
電話: 03-3427-6312
アクセス: 小田急線「千歳船橋」駅下車、徒歩3分
定休日:月曜日



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