マガジンのカバー画像

頭の中のストーリー

69
物語、小説、散文、自由詩
運営しているクリエイター

#散文

一人で好きでいた方が...

「マスター!もう一杯ください!」 「え〜、大丈夫?結構酔ってるんじゃない?」 「酔いたく…

ねぇ

「ねぇ」 「なに?」 「結婚式、もし呼んだら来てくれる?」 「いやいやいや…おかしいでし…

121

1日限りの永遠を。

ようやく空が白けてきた。 外の気温はわからない。 寒いので暖かい格好でと言われたけれど、…

怒るナナちゃん、怒らないわたし。

サヤカが結婚するらしい。 「ねぇ、サヤカから結婚式のお知らせ、来た?」 ナナちゃんから電…

バルコニーのベンチで、これからも。

買い物袋を下げ、最寄り駅の商店街を歩く。 レタスと卵は家とは逆の改札を出たところにあるス…

149

揺れるスパークリングワインと僕

昨日はどこか心持ちが悪かった。 いや、きっともう数日前からずっと悪かったんだと思う。 「…

月もまた、見ている。

また人間が、白いものをこねている。 なぜだかわからないが、ある時期になると、あの辺りに見える人間は白いものをこねだし、それを丸めて積み上げ、そしていつもより私を見る。 白いものを作らずに、何かを飲んだりしながらぼーっとこちらを眺める者もいれば、白いものがまんまるじゃなかったり、上に乗せた何かと一緒に食べている者もいる。 もっと前は音を奏でる者や何かを書き記す者などもいたが、最近はそんなに多く見かけない。 何人かの人間が集まっているところは、宴を催しているようでもある。

「...わたしはちゃんと、好きだよ。」

わたしには、憧れの人がいる。 わたしにはできないことができて、他のどんな人よりも、何百倍…

131

さよならを待つ引き出し

よく晴れた休みの日。 なにげなく開けた引き出し。 ふと思い立って中のものを全部出して、 わ…

128

嫌いな夏の、特別な日。

夏なんて嫌いだ。 暑いし、休みで誰にも会えない。 今年の夏は特に嫌い。 僕は、ばあちゃんの…

169

ポプリとポトス

やっかいなものをもらった。 「なんか元気ないなって思ったから〜、これあげる!」 そう言っ…

ドラマティック・アイロニー

これを恋と呼ぶのなら あれは紛れもなく愛だった。 これを出会いと呼ぶのなら あれは紛れもな…

とある温泉施設に書かれた新しい注意書き

彼女は猛烈に怒っていた。 ここは、とある日帰り温泉施設。 施設といっても、簡単な受付とち…

103

恋でしかない恋は、愛にはならない

わたしは彼に好かれていた。 周りのみんなも、彼がわたしのことを気に入っているのは周知の事実で、それをからかいのネタのように扱っていたし、彼も隠す気がなかったのかそれを否定しなかった。 成績も良く優秀で、先生や他の学年の生徒からも一目置かれていた彼。 好かれているのは正直まんざらでもなかったけれど、明らかな好意は感じるものの、特にそれをどうしたいというアプローチを彼から受けることはなかったので、わたしはその気持ちへ回答をするタイミングを与えられたことがなかった。 自分が彼を