見出し画像

「 イソヒヨドリ 」










あぁ
また聞こえてくる

君の声が

瞳(め)を閉じ
耳を傾け

全身で感じる
美しい音色だ。

今日も君は一人
いつもの場所で歌っている

来る日も
来る日も飽きもせず

強い風に吹かれても

冷たい雨に打たれても
歌い続けている

なんと
もどかしい命(いきもの)よ

今君はどんな想いで
いるのだろうか

言葉を交わせたなら

君の孤独を私が癒やして
あげられただろうか。

そして
5月のとある日

君は一人ではなく
「二人」になっていた

もう寂しくはないだろう。










エピソード②
「春を告げる鳥」



私が住んでいる街には
毎年イソヒヨドリが3月頃に
春を告げにやって来ます。

とても美しい歌を歌い
「春はもうすぐだよ」

と、周りの人々や生き物たちに
知らせます。

彼等は留鳥で同じ地域に一年中生息し
子育てをします。

オスは頭から胸、背中から腰までが
綺麗な瑠璃色

お腹は濃いオレンジ色をしていて
なんとも美しい色合いをしています。

メスは全体的に灰色で
オスとは違い少々控えめな色を
しています

詩にも書いてあるとおり
私が出会ったイソヒヨドリのオスは
いつも同じ場所で

懸命さを感じるほどに
鳴き続けていました。

雨に打たれながらも
鳴き続け、工事の騒音や車の音に
その声はかき消されてもなお

鳴くことをやめない姿は
とても健気でなんとも言えない
気持ちになりましたが

私にその声は届いていました。

私は遠くからいつも彼の姿を
見ていました

見守ることしかできません
でしたが

彼を見つめていることに

彼も気づいてくれていたら
幸いです。

そして時は過ぎ

いつの間にかパートナーを
見つけ、二人で飛んでいる姿を
見た時は心から本当に嬉し
かったです。

もう一人ではないのだと
安心しました。

長く寒い冬に私たち人間や
他の生き物たちは耐えぬき
春を待ちわびます。

そして待ちに待った春を迎え
歌う、愛くるしいイソヒヨドリ。

その姿、その歌はまるで
春のあたたかさ

喜びを語っているように
思えます。

来年もきっと歌い
語ってくれることでしょう。



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?