世界観の2つの役割 中級者向け 物語らしい世界観の作り方「反作用」「処罰」「結婚もしくは即位」クリエイターの為の批評コラム

前回はこちら。

第2部は「物語らしい世界観の作り方」にするつもりだったのですがいきなり盛大に躓いたらしく、スタンスの変更を迫られています。魅力的なキャラクターを作るのと同じで魅力的な世界観を作る為には「物語らしさを生む要素を世界観に埋め込む」必要がある、というスタンスではない、どちらかと言えば魅力的なキャラクターや面白いストーリーにディテールを与える事を世界観の役割として捉え直し、世界観を作るとは具体化の為のプロセス、つまり「世界観によって物語らしさを造成する(なんなら盛り上げる)」方向で考えた方が良さそうです。

外せないテーマやモチーフ、キービジュアル等を決め、面白いストーリーを作る為に必要な条件を整えつつ(これは第1部の内容を踏まえれば可能なはずです)、各物語構造ユニットを世界観でどう造成していくのかについて書き進めていきましょう。


「反作用」。「欠落」「葛藤」等を経て敵に立ち向かう事を「決断」するシークエンス。そのキャラクターらしい心情表現というものがあるなら、「らしい仕草」ややり方があるでしょう。当然世界観によっても表現の仕方は変わるはずで、それらしく、出来れば盛り上がるやり方を考えましょう。

「処罰」。その世界には何らかの「罪」があるのでしょう。でなければこの構造ユニットが機能しないので、その世界観での倫理なり掟なりを作りましょう。

「結婚もしくは即位」。「新秩序」とも書きましたが、物語の落とし所ですね。描かれた期間で何が変わり、どう終わり、始まるのか。その世界で1つの時代・時期に区切りを入れる出来事は何なのか。物語の行き着く先ですね。


……書いていて全く面白くならないんですけど、これはやっぱりジャンルの話をしないと駄目なんでしょうか? それとも物語構造ユニットはそもそもあらゆる世界観から抽出され抽象化されているものだから世界観作りの為に引っ張り出すのが最初から間違ってたんでしょうか? 一応「処罰」や「欠落」等は物語らしくする上でその世界観になくてはならないものではあるのですが……

あぁ。

物語構造ユニットを機能させる為に世界観を扱う手つきにはちょっとしたコツがある、という程度の結論で終わりそうだからつまらないんですね。勿論これも世界観作りの一側面ではありますが、世界観にはもっと別のダイナミックな役割がある。それがテーマやモチーフ、物語のコンセプト、軸になるものを存分に活かせる環境を整える事。冒険屋が冒険できる世界を、ニンジャが出て殺す世界を、ハンターが躍動する世界を、スタンド使いが出会う世界を、どこにでもいる普通の女の子が何かとんでもない事に巻き込まれて恋に勉強に大忙しになる世界を、冴えない僕が彼女と出会い世界の運命を左右する決断を迫られる世界を、どうにかこうにか成り立たせる事です。

これをきちんと扱うには、抽象的な話ではなく具体的な細部や明確な形について書かなくてはならないだけでなく、そのように書いてしまえば終わってしまう(それ以上書く事はない)、という点を受け入れなければならないようですね。ただ作品のテーマ、モチーフ、コンセプト、軸はひとそれぞれで本当にバラバラでだからこそ作品群は多様なものとなっているのですから、個性や特異性を抽象化して語るのも無理で、と言って個別論に終始するのもまたどうにもよくない、となると……。

テーマ、モチーフ、コンセプト、軸の発生条件辺りから考え直した方がいいんでしょうか。でないと世界観のダイナミックな役割について具体的に面白く書けそうにないと。一方で構造ユニットを成立させる世界観の造成のコツはシステマティックに書けそうですね、「罪」と「罰」が必要とかその世界に「欠落」が必要とか、ってこの程度の事はもう書かれているのもありますが。

まぁそういう「物語を下支えする役割」と「軸を最大限に活かす環境を整える役割」の2つが見えてきたのは今回の収穫としていいんじゃないでしょうか。「世界観」の一言の中に2つのアプローチが存在し、「その世界観を特徴づける軸」「その世界観によって機能する構造ユニット」という概念や発想を持つ事によって複数の側面のある世界観と、物語における他の部分との間の関係がより鮮明に見えてき、作品作りの中で隙を埋めるのに役立つと思います。無論、最終的には構造ユニットを意識せず「物語らしさ」や「ジャンルらしさ」を感覚的・直接的・直感的に構想・構成するのが手っ取り早いのでそこに向かうとして。


ともかく軸や魅力的なキャラクターについて世界観を交えながら書く必要がありそうですが、そこまで準備していなかったので次回に続きます。



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