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希望を持つ少年の明暗を分けるものは何か


映画「ピエロがお前を嘲笑う」(2014・独)を見た。

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ドイツ映画はテクノ!らしい。よく「テクノな音楽最高!」という感想を見かけるけど、物語に引き込まれ過ぎて音楽なんて覚えてない(ダメじゃん)。

まさかの展開に引き込まれる重厚なドイツ映画

まさかの展開。どんでん返しに次ぐどんでん返し。構成が重厚な点がドイツっぽい(あくまでも勝手なイメージ)。

前日にスーパーヒーローにあこがれて実際になる映画「キックアス」を見たばかりなので、冒頭の主人公・ベンヤミンの「透明人間みたいな自分を変えたくて、スーパーヒーローになりたかった」という言葉に既視感を覚えた。

ひょんなことでハッカーグループCLAY(=clown laughs at you《ピエロはお前を笑う》)を組むことになる3人組もいい味出してる。

ベンヤミンをCLAYの仲間に入れたマックスは、お調子者だけどカリスマ性のある野心家。

全身刺青のシュテファンは、陽気でマックス以上にお調子者だけど、いざというときにはさっさと逃げ出そうとする薄情者。

最初なかなかベンヤミンを仲間として認めようとしないパウルは、仲間だと認めたら最後まで「仲間を見捨てたりしない」と言ってくれるいい奴。

そんなキャラもはっきりと描かれている。


「スーパーヒーローにあこがれる少年」の明暗を分けるのは何か?

2日連続で「スーパーヒーローにあこがれる少年」の登場する映画(「キック・アス」と本作)を見て感じたこと。

「キック・アス」は本物のヒーローになり、「ピエロ」はダークサイドに堕ちていく。その違いは何だろう?

これは「愛する人の有無」が大きいのではないか。

「キック・アス」の主人公は、母親はいないけど気にかけてくれる父親がいて、いい友人もいる。学園一の美少女だってゲットする。

「ピエロ」の主人公は孤独だ。アルツハイマーの祖母と暮らし、友人もいない。唯一できた仲間がダークサイドの人間だったのだ。

ほかの映画も見た結果、そんなことを感じた。


ある作品に似てるオチ、それでも高評価の理由

あんまりネタバレになるとアレなんで書けないけど、本作のどんでん返しはハリウッド映画のあるカルト作品にちょい似てる。そう思ったらやっぱ影響を受けているらしい。

とはいえ、たぶんフツーに見たらこのラストのオチは読めない。

ラストまで見たところで、ふいにこの邦題の意味がわかる。「笑う」ではなく「嘲笑う」。この邦題のセンスの良さだけで50点くらい上げたい。

映画も80点はつけられるので、私的には130点くらいの映画。もう一度テクノ音楽を味わいながらじっくり細部まで見たい。


期待高まるハリウッドリメイク


2015年にハリウッドリメイクが決定したらしい。まだかなー。ラストがわかってても楽しめるといいのだけど。

ヨーロッパの映画は映像がオシャレだ。フランス映画はもちろん、ドイツ映画もあなどれない。

ダークウェブを表す地下鉄のシーンや、ピエロの扮装で4人が歩いていくシーンなど、センス良く絵になる映像が満載のこの映画。ハリウッドでそれをどこまで再現できるか?いや別物にするのか?

スタイリッシュさと豪華さは両立しないことが多い。

ハイブランドのファッションやゴージャスな装飾品で埋め尽くしたからといって、センスのいい画になるとは限らないからだ。

低予算映画が時にスタイリッシュにまとまりやすいのは、クールさとはシンプルさに直結するからだろう。予算掛け過ぎて大げさになると、シンプルさはなくなるよねぇ。


2021/5/24追記。

たくさんの方に読んでいただいたようで、ありがとうございます!

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陽菜ひよ子 / インタビューライター&イラストレーター
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