恋しても結婚しても消えなかった性別への違和感の理由
トランスジェンダーやヘテロセクシャルなど、性について定義する言葉ってわかりにくく、誤解されがちですよね。
また、自分はノンケのはずなのに、たまにモヤッとすることがあって、もしかして自分はジェンダー的に問題を抱えているのではないか?と思ったことは誰しもあるのではないでしょうか?
私自身もそのあたりのことをよくわかっていなかったんですが、週末ひさ子さんのこの記事を読んで、中に登場する自己分析を通じて、やっと少し理解できるようになりました。
自分のセクシュアリティを知る
この記事はひさ子さんが、大好きなご主人の子どもを産みたいのに、子どもを産むことに耐えがたい「違和感」「精神的苦痛」があることを悩むことからはじまります。
そこで、自分のセクシュアリティを分析することになるのですが、この分析、なかなか興味深いです。
質問に答えるだけで「こころの性(ジェンダー)」「恋愛対象(ロマンティック)」「恋愛傾向」「性傾向」「表現したい性(アイデンティティ)」がわかります。
ジェンダーとセクシュアリティ
そもそも、ジェンダーとセクシャリティを混同して捉える人が多いのかな、と思います。私も含め。
ここ、ちょっと整理してみます。
ジェンダーとは、日本語では「性自認」と訳され、自分自身で認知する性のこと。トランスジェンダーとは「生まれ持った性別と自分の性認知」にずれがある状態を指します。
たとえば、女性として生まれたけれど、スカートをはきたくないとか、女らしい自分の身体に違和感があるという事がトランスジェンダーであり、性愛(セクシャル)とは異なります。
セクシャルとは「性対象」のこと。自分自身の性別の認識は関係なく、どの性の人を愛したり欲情するか、ということ。
たとえば、ゲイやレズ(ホモセクシャル)でも女装や男装をするとは限らないし、トランスジェンダーで女装や男装をしてる人でも異性を愛する人(ヘテロセクシャル)はいますよね。
よく混同されがちなように、トランスジェンダーだからといってホモセクシャル(同性愛者)であるとは限らないのです。
表にしてまとめるとこんな感じ。
この表、半陰陽(インターセクシュアル)を加えたものも作ったのですが、消しました。
半陰陽とは性別があいまいな人の総称。かつては両性具有と呼ばれていましたが、両方の性器を持つとは限らないため、今は半陰陽と呼ぶのが一般的だそうです。
半陰陽の場合、遺伝子的な性別と見た目の性別が異なることも多いため、さらに複雑。男と女だけでは正確ではないと思って加えましたが、半陰陽のトランスジェンダーに関する定義は難しいため、私の手には負えないと思い、削除。
複雑な性自認と性対象
知人に複雑な性自認・性対象を持つ人たちがいます。
Rさんに初めて会ったとき、ちょっと大柄な女性だと思ったのですが、彼女の本来の性別は男性。トランスジェンダーであり、会社でも女性として過ごしています。
見た目はまるきり女性であるRさんの恋愛対象は、意外にも女性。過去には女性と結婚していたこともあります。奥さんに「普通の男性がいい」と言われて別れたことが、今もトラウマになってるとRさんから聞いたことがあります。
もうひとりはTさん。オシャレなTさんはパンツファッションの似合う女性。特別中性的ではない彼女が、同性愛者だと知ったときは驚きました。
彼女にはお人形のようにカワイイ女性の恋人がいるのですが、その彼女には性欲がない(アセクシャルと呼ぶそうですね)ことで悩んでいました。
RさんとTさんを表にするとこんな感じ。
ここに登場する人たちは、見た目は全員女性。
でも性愛はバラバラ。それゆえにうまく行かないこともある。
(上の表とイラストのRさん、Tさんの立ち位置が逆ですみません)
ところで、上の表では、性対象も恋愛対象もひっくるめて「セクシャル」としていますが、Tさんの恋人のように、恋愛対象はホモセクシャルなのに、性的対象はいない(アセクシャル)人もいるのですね。
冒頭に登場した分析では、恋愛対象として「ロマンティック」という言葉を使用していました。それで行くと、Tさんの恋人は「ホモロマンティック」で「アセクシャル」ということになりますね。
私にもあった違和感
さて、冒頭のひさ子さんの記事を読んで、私も自分の中に違和感があることに気がつきました。
私の場合、自分が女性であることも認められるし、性対象は男性なので、ジェンダー(性自認)もセクシャリティ(性対象)もマジョリティです。
でも、自分が女性として、男性から性的対象で見られることに、なぜか強い抵抗感があるのです。パートナー以外は「気持ち悪い」と感じるし、パートナーが相手でも若干の違和感があります。
これは単に自分自身の女性としての自信のなさの表れなのか?とも考えたのですが、ひさ子さんが紹介しているこの分析を行って、意外なことがわかりました。
この分析結果を見ても、私はジェンダー的に一致し、性愛的にはヘテロで、基本的にはノンケと呼ばれる人です。しかし、最後の「アイデンティティ」だけは、ジェンダーバイナリーがないのです。
◎あなたのこころの性
体の性とこころが一致している『シスジェンダー』
《解説》
体の性とこころの性が一致している。それがシスジェンダーです。
実は何気なく感じている男性や女性といったあなたのアイデンティティにも名前がついているんです。 果たしてあなたは本当に「男性のからだで、男性の心」または「女性のからだで、女性の心」なのでしょうか?
◎あなたの恋愛対象
異性に恋する『ヘテロロマンティック』
《解説》
異性に恋をする。それがヘテロロマンティックです。
「え、異性を好きになることにも名前ついてるの?」って思った人も少なくないはず。 実はあるイギリスの調査では「異性しか好きにならない!」って考えている人は全体の20%ほどしかいないんだとか。
ゲイやレズビアン、バイロマンティック(両方の性別を好きになる)の中には、もともとヘテロロマンティックだった!って人もいるんです。 もしかしたら明日には、違う性別の人を好きになっているかもしれません。そんな心の移り変わりを楽しんでみてくださいね。
異性しか好きにならない人が20%しかいない!って驚きますね!
次の「傾向」だけは性別とは無関係な分析です。実際には別々の分析でしたが、内容がかぶっていたので、ひとつにまとめて載せておきます。
◎あなたの恋愛傾向・性傾向
強い信頼関係で恋に落ちる『デミロマンティック』
強い信頼関係が愛になる『デミセクシュアル』
《解説》
強い信頼関係で恋に落ちる(愛になる)。
それがデミロマンティック(デミセクシャル)です。
「強い絆ってどういうこと?」って思う人も少なくないはず。
初対面でビビッときて恋に落ちる、いわゆる「惚れっぽい人」や、初対面でもからだのつながりを持つことに抵抗感がない人っていますよね。
デミロマンティック(デミセクシャル)は、普段は恋愛感情や性的欲求があまりなく、誰かのことを深く深く知った時に初めて「あ、この人のこと好きかも!」となり、性的欲求を覚えるセクシュアリティなんです。
もしかしたら「まわりの恋バナについていけない…」「もっと恋愛しろよ!と言われてつらい」と思っている人も少なくないかもしれません。 でも焦ることなんてないです。人によって気持ちが動くペースは全然違います。
じっくり、ゆっくり変化するあなたの心の動きを楽しむことができたらステキです。
上の「デミなんちゃら」も、下の分析結果を読んで、すごく納得できたのでした。
◎あなたの表現したい性
男性でも女性でもないアイデンティティ『ノンバイナリー』
《解説》
男性でも女性でもない。そんなアイデンティティが強く言葉や服装に現れてくるのがこのセクシュアリティです。
「あれ、でもこころの性はシスジェンダーって出たぞ…?」と思った人も少なくないはず。 実はこれってこころの性と一致しないことがたくさんあるんです。
例えばこころの性は男性でも、中性的な服装が好きだったり、どんな性別であっても、セクシュアリティの枠に囚われず、いいと思った言葉を使ってみたり。最近はノンバイナリー向け、いわゆるユニセックスなファッションも増えてきているのでこれを機に新しいものにチャレンジしてみるのはいかがでしょう…?
「ノンバイナリー」というのは、「男女のいずれか一方に限定しない性別の立場を取る人」。男性とか女性という事に違和感までは感じないけれども、そういったことに囚われたくない、といったところでしょうか。
冒頭の週末ひさ子さんの記事では、ひさ子さんは「Xジェンダー」であることがわかったそうですが、この「ノンバイナリー」は「Xジェンダー」とかなり近い定義です。
違いは、Xジェンダーは自分自身の性をどう捉えるかという「性自認」の定義であることに対して、ノンバイナリーは、性自認には関係なく、性別に囚われない自分を表現しようという「性表現」の定義であること。
Xジェンダーは、シスジェンダーとトランスジェンダーの間にあるイメージですかね。
ノンバイナリーには、自分の性については肯定しているシスジェンダーの人もいれば、違和感があるからこそ性を意識したくないトランスジェンダーよりの人もいると思います。
表にするとこんなイメージ。
これでわかったんです。なぜ自分が女性として見られることが苦痛であるかが。
私は性自認的にはシスジェンダーで、異性しか愛せないヘテロセクシャルだけど、周りから必要以上に女性的に見られたくない=ノンバイナリー、ということなのですね。
そして、男とか女に囚われず「人間として信頼できる相手を好きになる=デミロマンティック」であることも、すごく腑に落ちたのでした。
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