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タダの先にタダ以上のものはない

ものつくりをしていると、厄介なのが「タダでお願い」って言ってくる人です。仲の良い友人ならまだしも、知り合ったばかりの人に限って言ってくるのも「あるある」です。

タダでなんてやりたくないけど、つい引き受けてしまう。そういった人は多いでしょう。

・いい人だと思われたくて
・人間関係を悪くしたくなくて
・断ることが苦手
・最初はタダでも次にお客さんになってくれるかも

こんな理由から、つい引き受けたものの、モヤモヤしたまま納品することも多いのではないでしょうか。

タダで、と言ってくる人に理解してもらうのは無理


私自身には現在は「タダで」って言ってくる人はいないのですが、この記事を読んで、自分自身の昔のことを、いろいろ思い出しました。

かさこさんには二度ほどお会いしたことがあります。
印象としては、すごくご自分をわかっていて、ブランディングに成功している人。ご自分のお仕事の収益化をうまく図っている人、という感じ。
そんなかさこさんでも、こんな時代があったとは。ちょっと親近感。


私も今はクズじゃないので、タダでと言われたら断ります。そんなに親しくもないのに「友達価格で」と言われても断ります。(本当に親しい友人のお祝いだったら喜んで描くけどね)

でもそうすると「クリエイターの癖にお金に汚い」と思う人っているんですね。まぁ勝手に思わせておけばいいんですけど。

特に絵や写真だと「ササッと描くだけ」「シャッター押すだけ」「データ送ってくれればタダ」って思われがちなんでしょうね。

そう思うんだったら自分で描いたり撮ったりすればよろし。自分にできないことを人に頼むのに「タダ」って、なめとんのか。(暴言失礼)

実際には絵には画材がいるし、カメラはシャッターが切れる限度が決まっていて、シャッター切るごとに消耗するんです。データ扱うためにはスペックの高いパソコンだって必要なんですよ。すべてタダじゃないんです。

でもそんなことを言っても、わからん人には絶対わからんのですよ。ケチーッて言われて終わりです。

オットで写真家の宮田は、いい人だとよく言われますが、そのせいかこう言われたことがあります。

「宮田さんはいい人だからお金のことなんて言わないよね」

いや、その「いい人」って、あなたにとって「都合のいい人」でしょ?

そういう人は常に「都合のいい人」を求めているので、人の話なんて聞く耳持たないんです。話してもムダ。

相手を変えることはできないので、じゃあ自分がどうするかって話。


対価を払わずに得たモノを人は大事にしない


話はちょっと飛びますが、一流を知るためには「身銭を切って」一流を知る必要がある、という話はご存じでしょうか。

銀座などに一流店を出す人は、自ら一流店に足を運んで「味」や「雰囲気」や「サービス」を学ぶということ。その場合、人にごちそうしてもらってはダメで、身銭を切らないと、本当には身につかないという話です。

この話「身銭を切る」ってのが肝だなって思います。

私自身は残念ながら一流のお店には縁はありませんが、イラストレーターという仕事上、展覧会にはよく足を運びます。

チケットをいただくことも多く、ありがたくいただきますが、でもやっぱり、自分でお金を払って行く方が「真剣に見る」んです。

自分の中に入ってくるモノが全然違います、身銭を切るかどうかで。

あとよく言われるのが、親に行かせてもらった学生時代はサボってばかりだったけど、社会人になってから自分で授業料払って学ぶとめちゃくちゃ身に入る、とか。

恋愛でも、男性は簡単に落ちなかった女性ほど大事にすると言いますよね。

人は、身銭を切ったものや苦労して手に入れたものは大事にします。

逆にタダで手に入れたものは大事にしませんし、その価値を認めません。

「次はクライアントになってくれるかも」と期待してタダで作品を提供しても、絵や写真なんてタダが当たり前と思っている人の価値観が変わることはないでしょう。

実際には活躍しているクリエイターなのに、大したことないと高をくくって来て、悔しい想いをするだけです。結局、人間関係も壊れます。


タダでと言ってくる人への対処法


さて、お待ちかねの対処法です。

クリエイターと言ってもいろんな種類があるし、to Cで商売している人には使えない方法ですが、私の場合は「一般のお客さんからの仕事は受けない」と決めています。出版社や代理店などのメディア以外からは仕事を受けないと表明すると楽です。

あと、角が立たない言い方として
「ごめんなさい、ちゃんとお金払ってくれてるお客さんに申し訳ないので、タダでは受けないことにしてるんです」
と言うのもおすすめです。これだと to C も使えますね。


私の経験上、ちゃんとしたメディアの人から「タダで」って言われたことはありません。そもそもの感覚が違います。

高い安いはあっても、ちゃんとメディアで仕事をしている人は、前提として「絵や写真に対価を払うことは当然」という感覚を持っています。

その前提があるかどうかって違います。

メディアの人から「イラストお願いしたいんですけど」って言われてタダってことは、まずないですが、あり得るのが一般の人。

その違いは大きいです。

タダの先は永遠にタダ。明るい未来なんてないのです。



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