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私が私である素晴らしさ

イラストレーターです、と名乗り始めて15年ほどになる。実際に仕事をしてみて感じたのは、イラストというものに「万人に好まれるもの」などなく「好みがある」ということ。これはイラストに限らず、どんな創作物にもアイドルなどの好みにも言えるだろう。

どんなに素晴らしいものをつくっても、どんなに多くの人に称賛されても、すべての人に愛される事は不可能だと思った方がいい。それでもその不可能を求めて苦悩するのが人というものなのだ。

全ての人に愛されなくても、自分は自分、それでいいはずなのに、どうして人と比べて悩んでしまうんだろう。

すごい人の前で委縮してしまう自分

若い頃、大手ゼネコンで派遣社員としてCADオペをやっていた。

配属された設計部には、正社員以外に様々な働き方をしている人たちがいた。私のような派遣社員以外にも、支店採用の準社員や設計事務所からの常駐社員、契約社員などなど。100人ほどが働くフロアにおいて、約半数の正社員は頂点に立つ特権階級のようなものだ。

派遣でCADオペの私は、社員の設計担当の女の子たちと、毎日食堂で一緒にランチしていた。たまにモヤッとする気持ちになるのを押し殺して日々を過ごす。友達みたいに接しながら、さり気なく、なんとなく下に見られながら毎日をやり過ごすことに慣れて行った。

その頃の私には仕事での野望もなかったし、一生仕事を続けようと考えてもいなかったから、どうにかやり過ごせたんだと思う。事務職でなくCADオペという仕事だったことにも救われた。いつの間にか高く積もってた自己顕示欲を、満足させてくれる程度にはクリエイティブだったから。

私自身、ずっと絵は描き続けていたし、中学生くらいの頃から小説のようなものも書き綴っていた。それでも、建築士の資格を持ち、市内の大きなビルを設計しているような人たちの前で、自分の創作について語る勇気などあるはずもない。

自分なんて大したことない、と思い込んで、相手と同じ土俵に上らないことで、自分の大きすぎる自己顕示欲を必死になだめていた。本当はもっと自分のこと、クリエイティブに対しての意見を語りたかったのに。


自分の感性は自分にしかないモノ

30代になって自分のWebsiteをつくって初めて、素敵な感性ですね、と知らない人からコメントが付くようになった。ここでようやく、私の巨大な自己顕示欲はニョキっと表に顔を出し始めたのだ。

そこからプロのイラストレーターとして仕事するようになるまでだって、簡単ではなかったし、しんどくてやめようと何度思ったことだろう。ほめられることと同じくらい、いやそれ以上に相手にされないこともたくさんあった。

そんなとき、他のイラストレーターの作品を見て「こんな風に描けたら」と思う反面、それでもやっぱり、私は自分の作品が好き、だと思い直した。

衒いなく白状してしまえば、私は私の作品や、私を形作る感性が好き、なのだ。

絵も文章もうまいかどうか自分ではわからない。それでも、私にしか作れないものがあるはずなのだ。私は私のつくるものが好きだから、だからつくりたいんだ。

私は私の感性を信じたいんだ。


続けるために必要なこと

仕事として続けていくためには、そういう強い想いがないと、しんどいかもしれない。自分の作品のダメな部分もわかってて、アップデートしながらも、最終的には自分の作品が好き、と思うことは大切だ。

それでもつい自分を否定してしまうこともあって、そんなもやもやした想いが、この山田スイッチさんの投稿を読んで、急速に救われた。

そうだ、私以外は私じゃない、これってすごいことじゃないか!

後日談:

今の仕事についてから、かつての設計部での同僚たちとは、まったく付き合いが無くなった。

けれど、派遣で働く前に一緒にバイトしていた仲間で、当時は美大生だった友人が、今はデザイン会社の社長になっていて「あんたが絵描くなんて全然知らなかった!」と言いながら「一緒に仕事したい」と何かと声をかけてくれる。

自分なんて大したことない、とくすぶったままだったら、自分の本当にやりたいことも、自分自身も誰にも知られないまま、埋もれていただろう。

自分だけは自分の感じること、自分自身を信じてあげたいと思うのだ。


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陽菜ひよ子 / イラストレーター&漫画家&まちづくりジャーナリスト

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陽菜ひよ子 / イラストレーター&漫画家&まちづくりジャーナリスト
著書「ナゴヤ愛 」(秀和システム)他2冊既刊。中日新聞広報誌・朝日新聞Webメディアにて取材+コラム連載中。代表的なイラストのお仕事はNHK Eテレ「すイエんサー」。その他お仕事実績多数。インタビューとひよことプリンとネコが好き。http://www.hiyoko.tv/