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天職とは、どこまでも粘ることができるということ

私、陽菜ひよ子は、今はイラストを中心に、文章や漫画などを書いている。
過去にはプログラマやCADオペレーター、営業事務や経理事務
イベントコンパニオンや司会、受付、なんちゃってデザインなど
いろんな職種を経験してきた。

現在は写真家で、今度出す本でも写真を担当しているオットの宮田は
知り合ったときシステムエンジニア(SE)だった。

今度出版する本はコレです。

新刊「ナゴヤ愛 地元民も知らないスゴイ魅力」(秀和システム)
陽菜ひよ子 (文・漫画・イラスト) 宮田雄平 (写真) 定価1,500円(税別)

何故、私たちは粘ることができないのか

SEはプログラマの上級職のようなものなので
初めて二人で会ったときに、会話のとっかかりとして
「SE(プログラマ)あるある」的な話をしたのを覚えている。

そのとき、二人して口をそろえて言ったのが
「どうにも自分は、詰めが甘い」
ということだった。

あと一歩粘ればうまく行くのに
その一歩がどうしても粘れない。

「どうして頑張れないんでしょうね」
「どうしたら粘り強くなれるんでしょうね」
とお互い笑いあって、親近感を持った。


話は変わるが、宮田の親族はなかなかにきらびやかだ。
プロデューサーやデザイナー、アートディレクターや
フードコーディネーターなどのカッコイイカタカナ職業が
ズラリと並ぶ。しかも全員が一流の仕事をしている。

彼は当時、こう言っていた。

「自分もモノづくりが嫌いなわけではないけれど
周りのレベルを見てしまうと、このレベルじゃないと通用しないのか
と思ってあきらめてしまった」

「でも自分は、SEも充分クリエイティブだと思っているし
お客さんに喜んでもらえるのは、すごくうれしい」

SEとカメラマンとでどっちの職業が上か下かなんてことを
ここで言いたいわけではない。
職業に上下なんて無い。ただ本人に合ってるかどうか、というだけだ。


ある意味、粘着質であるということ


そんな宮田が、病を機に会社を辞めて通った写真学校時代に
先生にこう言われたそうだ。
「宮田くんは、写真に対して、ある意味粘着質だ」

私から見ていても、撮りたいものを撮り続けるということに対して
彼は本当にしつっこい。

けれど本当に不思議で
人がどんなに群がって撮っていても
自分が興味なければ、1枚もシャッターを切らないし、近寄りもしない。

いつも首から重たいカメラを提げて
常に電源をオンにして、スタンばっているにもかかわらず、だ。

いわゆる「映える」写真や被写体には、彼はほとんど興味がない。

そんな彼が、これはと思うものは、絶対に撮り逃さない。
普段私を待たせることを本当に嫌うくせに
撮りたいものを見つけたら、私に声もかけずに撮り続ける。

振り返ると、遥か後方でシャッターを切り続ける彼がいる。

「どうしたら粘り強くなれるんだろう」

あの頃の彼の問いに答えるなら
「粘りたくなるようなことをするしかない」
だろう。

そしてその最終アンサーは「カメラマンになれ」なのかもしれない。


好きなことと天職


一方、彼と「詰めが甘い」話をしていた時に
私が心の中で思い浮かべていたのは、プログラマ時代の自分ではなく
イラストレーターとしての自分だった。

自分のイラスト、悪くはないのかもしれないけれど
どうしても何かが足りないように感じる。

もう少し粘れば、その足りないものを埋められそうなのに
どうしても粘ることができない。

告白すると、それは今回の本でも同じだった。

文章に関しては、イラストに比べるとまだ歴が浅く
慎重になっている部分はあるだろうけれど
何度も何度も推敲を重ねて

一番書きたいことをより強く伝えるにはどう書くべきか?
書きたい対象の魅力をより伝えるにはどう書くべきか?

何度も何度も自分に問い直し
「てにをは」だけでなく、文章の構成まで何度も何度も熟考した。

最後の入稿ギリギリまで粘ることができた。

以前にある編集さんから「陽菜さんの文章には直すところがない」
と言われたと書いたことがあるが
今回の担当編集さんからも、まったく同じように言われた。

だから修正は入らないのに、自ら気になる場所を見つけては
何度も何度も書きなおしたのだ。

でもイラストは、修正が入らないと、ほとんど直さない。
よほどデッサン的におかしいとか、色を間違えたとか
明らかなミスがない限りは、わりとすぐに満足してしまう。

(といいながら、完成したものを見ると「何かが足りない」って
感じるんだけどね(笑))

これってどういうこと?

絵を描くことと、文章を書くこと
どちらが好きかと聞かれても答えられない。愚問だ。
実は縫物も同じくらい好きだったりもする。
一時は本気で帽子作家を目指したこともあるほど。

それでもイラストレーターを続けてきたのは
自分に一番向いていて
自分が表現しやすい手段は、イラストなのだと思っていたからだ。
もしくは漫画なのだと。

本当にそうなのだろうか?


もしも悩んでいるなら


「才能とは、努力できること」
という名言が示すように
自分の納得がいくまで粘れることも、才能のひとつなのではないか。

まだ今は
この本や、私自身の書いたモノに対する評価も定まっていないので
言い切ることはできないけれど
もしかしたら自分は、文章を書く方が向いているのではないか。
などとついつい考えてしまうこともある。

そんなの、無理に自分で決めなくていいことかもしれないけどね。


でも、もしも

「この仕事に対して、どうしても粘ることができない、踏ん張れない」

と悩んでいるなら

それはその仕事に、あまり向いてないってことなのかもしれない。

もしかしたら、単純にそういう「あっさりした性格」である
可能性も無きにしも非ずだけど。
何か別の仕事で、どこまでも粘れることが見つかる可能性も
ゼロではないと思うのだ。


原画売れました


話は飛びますが
この記事に載せていた原画を1枚、ご購入いただきました。

原画が売れるというのも、うれしいものですね。
しかし、このサイトは諸事情により、9月末にはクローズの予定です。
お買い上げのご希望あれば、お急ぎくださいませ。

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陽菜ひよ子 / インタビューライター&イラストレーター
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