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パワーハラスメントが起きやすい理由のひとつ。世代による観念の違いを理解する優しい視野。


 『無意識がわかれば人生が変わる4』著 前野 隆司・由佐 美加子 

によると、
『ゆとり世代は「がんばらなくていいよ」と言われてきているため「ありのままでいいよと育てられてきており克服型ではなく逃避型の回避行動を取る人が多くなっている。

上の世代は、克服(努力)することが良いことだと評価されてきたため、若い世代に対して「やる気がない。」「いくら言ってもがんばる姿勢を見せない。」と攻撃やダメ出しすることがパワーハラスメントの一因となっている』という話が出てくる。


日々ハラスメント相談を聞いている現場としても、世代による考え方の違いからハラスメントが起きるといったことは実際にあり、加害者・被害者の双方の意見を聞くとそれぞれその言動を行った理由が正当性を持って説明される。


パワーハラスメントの場合、優越的地位にある上司が加害者として登場することが多いのであるが、加害者である上司の言い分として、注意や指導という言葉が出てくることがよくある。しかしながら、被害者側である部下はその注意や指導をパワーハラスメントだと受け取ってしまうことが多々ある。

(なお、パワーハラスメントと判断されるには一定の基準が設けられているので、厚生労働省のHPなどを参考にされたい。)


部下などを注意や指導するとき、注意や指導される側の人生において、注意や指導というものを親や学校でされる機会が少なかったり、注意や指導をされたとしても優しい言葉によるものしか経験していない可能性もあるということや現代の指導される側の感覚として親や先生との上下関係が指導する側である上司が思っている上下関係よりももっと並列的である可能性を頭の片隅には置いておいた方がいいかもしれない。

なお、自分がされてきた注意や指導方法が時代の流れとともに不適切な言動という評価を現代ではされかねない可能性もあり、「私はこう指導されたから。」と歴史を繰り返すような指導方法が問題となるケースもあるので、指導するときは、歴史の繰り返しになっていないか、本当に部下や部署全体を思っての指導や注意であるかなどは胸に手を当てて考えてみるといいと思う。
いくら表情や言葉を取り繕っても、なぜか、内面が伝わってしまうということはあるから、指導や注意を行う側の気持ち面が重要なのではないか、という仮説が私は一番しっくりときており、私はこの気持ちは不思議と伝わっていくという点を今後も記事に書いていくことになると思う。
(同時に、伝えないと伝わらないという面も書いていこうと思います。伝わる、色々語りたい部分であるので、また別記事予定。)

なお、注意や指導を受けた人に伝えたいことは、上司からの注意や指導は意地悪で行ったり、嫌いだからするといったものではないということ。貴方の存在を否定しているわけではなく、業務方法や普段の態度が会社という共同体のルールからそれていることを教えてくれる会社の中で生きるヒントを与えてくれる優しいアドバイスとも受け止められるものであり、注意や指導をされることは決して恥ずかしいものではないという考えを頭のどこかには置いておいてほしい。
言葉で伝えることを苦手とする不器用人もいて、きつい言葉を使用してしまう人がいるのも事実であるため、相手がなぜ自分にその言葉を言うのか背景事情や自分の気持ちを離見の見(前回記事参照)を使用して冷静に分析することで、注意や指導をされたときの、「恥ずかしい、馬鹿にしやがって、偉そうに。」といった感情と一旦距離ができ、自分の状況を冷静に捉えることができるように思う。

パワーハラスメントだと思ったときには、ひと呼吸おいてその指導や注意を一旦受け止めてみたり、周囲に相談をして意見を聞いてみるのもひとつの手であるし、言い方や注意の仕方がきついと感じたら「言い方がきついです。」と素直に伝えてみるのもよいかと思う。

私個人の考えだが、「それはパワハラです。」という反論は、上司が脅されていると感じることもあり、指導することを上司が躊躇し、反論した方の業務に対する成長が遅くなることもあるので、あまりうまくない反論のワードだと思っている。
上司にも気持ちや心があることは、忘れてほしくない。

適切な注意や指導に対して、過剰な反応をして騒ぎたててしまうケースも否定ができないのだが、相談してほしい人に限って、我慢して耐えしまうので、一般的にハラスメントを受けたと感じたら「相談しましょう。」となるわけだし、現代社会のパフォーマンスとして、弱者に対して優しさを見せる文言を使用するしかないといった部分も垣間見え、勇気をもって相談したら期待通りの動きをしてもらえないなとの不満が出ていることは否定できない。

だからといって、相談しない方がいいと言っているわけでなく、やはり他者の反応などを見るにはいい機会なので、相談はしてみてもいいと思う。
※誰に相談するか、そこは慎重になって選んでほしいです。

以前の記事にも紹介したが、それぞれが色めがねをかけて生きている。

「怖い上司」という色めがねをかけてしまうと、その証拠探しを脳が収集し始めるので、怖い上司がその怖さの証拠となる言動を行っている姿が目に付くようになるし、「やる気のない部下」という色めがねも同様。

たまには、かけている色眼鏡を外して新たな目で相手を観察してみると、いい面が見えてきたりもする(私も実践しています。)。

共存の場では、お互いの理解がとても必要で、その理解し合える優しさが、自分も心地よく、同じ場にいる他者も気持ちよく過ごせる場になる第一歩だと考えている。


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