日向登

ドリュ・ラ・ロシェルをはじめとしたコラボラトゥールの作家とそれに関連したフランス右翼、…

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ドリュ・ラ・ロシェルをはじめとしたコラボラトゥールの作家とそれに関連したフランス右翼、ファシズム、ナショナリズム運動に興味があります。

記事一覧

[書評]ユリウス・エヴォラ『大日本帝国思想の精神的基盤』

ユリウス・エヴォラ(1898年ー1974年)は、今なお欧米の新右翼やオルタナ右翼に多大な影響を与えているイタリアの思想家である。エヴォラの思想は反近代主義、反カトリック…

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1年前
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[書評]ロジェ・ニミエ『ぼくの剣』-憎悪の決断主義

軽騎兵の世代1945年に20歳を迎え、文学の領域ではサルトルの実存主義に反対し、政治の領域ではアルジェリアの独立に反対する右翼的な反ドゴール主義の立場に立った若手文学…

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1年前
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[サイト紹介]フランス右翼関連書籍を買おう!(体験談あり)

今回はフランス右翼関連の書籍が買えるおすすめ通販サイト二つを紹介します。実際にこの二つのサイトから私は書籍を数冊購入しているので体験談も交えていこうと思います。…

日向登
2年前
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[目指せインテリ右翼!]荒原朴水先生が勧める右翼理論書の紹介。

「右翼は感性、左翼は理性」と時折耳にする。この区別が正当なものであるかは別として右翼に理性が、さらに言えば「理論」が不足しているのはしばし指摘されることである。…

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2年前
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[書評]ドリュ・ラ・ロシェル『秘められた物語』

ドリュは、しじゅう後退しつづける将来を慮っていた。彼のナポレオンふうの冒険は、肝心の日が来たとき、灰をしか、そして死のなかでまた見出されたその青春をしか、彼に残…

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2年前
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[書評]リュシアン・ルバテ『日曜日に銃殺はない』

「私にとっては死刑宣告こそ人間を弁別する。それは金で買えない唯一のものだ」 これは『赤と黒』に登場するマルチド・ド・ラ・モールの言葉であり、そして死刑を待つ恐怖…

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2年前
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人物紹介)ドリュ・ラ・ロシェル(1)

私の好きな作家であるドリュ・ラ・ロシェルを、僭越ながら紹介したいと思います。今回は特にコラボトゥールの作家、ファシストとしてのドリュに重点を置いています。ただそ…

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2年前
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[書評]ユリウス・エヴォラ『大日本帝国思想の精神的基盤』

[書評]ユリウス・エヴォラ『大日本帝国思想の精神的基盤』

ユリウス・エヴォラ(1898年ー1974年)は、今なお欧米の新右翼やオルタナ右翼に多大な影響を与えているイタリアの思想家である。エヴォラの思想は反近代主義、反カトリック、反ユダヤ主義、神秘思想、伝統主義、ファシズムなどの要素が入り交じっており、ここで彼の思想をまとめるのは筆者の手に余る。今回はひとまずエヴォラの思想の全体像については触れないでおこうと思う。

今回紹介するのは1940年11月から1

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[書評]ロジェ・ニミエ『ぼくの剣』-憎悪の決断主義

[書評]ロジェ・ニミエ『ぼくの剣』-憎悪の決断主義

軽騎兵の世代1945年に20歳を迎え、文学の領域ではサルトルの実存主義に反対し、政治の領域ではアルジェリアの独立に反対する右翼的な反ドゴール主義の立場に立った若手文学者の世代を「軽騎兵の世代」と呼ぶそうである。そう呼ばれた若い作家たちは自分達を一括りにするようなレッテルを好まず、もっぱら批判者にこの名称は使われた。「軽騎兵の世代」の名付け親であるベルナール・フランクは若手世代の反戦後的特徴――例え

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[サイト紹介]フランス右翼関連書籍を買おう!(体験談あり)

[サイト紹介]フランス右翼関連書籍を買おう!(体験談あり)

今回はフランス右翼関連の書籍が買えるおすすめ通販サイト二つを紹介します。実際にこの二つのサイトから私は書籍を数冊購入しているので体験談も交えていこうと思います。

Librairie française
こちらの書店サイトは主に右翼やカトリック、王党派、ファシズム、現代政治などをテーマとした新品の書籍を取り扱っています。Amazonでも販売されているようなごく普通の本から、昔に絶版となり他では取り

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[目指せインテリ右翼!]荒原朴水先生が勧める右翼理論書の紹介。

[目指せインテリ右翼!]荒原朴水先生が勧める右翼理論書の紹介。

「右翼は感性、左翼は理性」と時折耳にする。この区別が正当なものであるかは別として右翼に理性が、さらに言えば「理論」が不足しているのはしばし指摘されることである。この場合の右翼は主に戦後の右翼である。なぜ戦後の右翼に理論が不足しているのか、またはそう思われているのかについて多くの指摘が可能であるがひとまず今回は置いておこう。

戦後右翼の理論の欠乏に憂いた荒原朴水先生によって編まれたのが『われらの教

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[書評]ドリュ・ラ・ロシェル『秘められた物語』

[書評]ドリュ・ラ・ロシェル『秘められた物語』

ドリュは、しじゅう後退しつづける将来を慮っていた。彼のナポレオンふうの冒険は、肝心の日が来たとき、灰をしか、そして死のなかでまた見出されたその青春をしか、彼に残さないであろう。
(ロジェ・ニミエ「ピエール・ドリュ・ラ・ロシェル」、菅野昭正訳)

2022年1月3日、ピエール・ドリュ・ラ・ロシェル生誕129周年を迎えた。来年の生誕130周年には本国フランスで節目を記念し、何かのイベント開催か、新しい

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[書評]リュシアン・ルバテ『日曜日に銃殺はない』

[書評]リュシアン・ルバテ『日曜日に銃殺はない』

「私にとっては死刑宣告こそ人間を弁別する。それは金で買えない唯一のものだ」

これは『赤と黒』に登場するマルチド・ド・ラ・モールの言葉であり、そして死刑を待つ恐怖から解放されたルバテが、死刑囚専用の独房五十六号室から出るときに壁に落書きしたものである。

戦勝国たるフランスは、自分たちが「勝者」の側にいるために、そして過去の忘れ去りたい「悪人」を抹殺するために無理矢理な裁判と、歴史修正に奔走する。

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人物紹介)ドリュ・ラ・ロシェル(1)

人物紹介)ドリュ・ラ・ロシェル(1)

私の好きな作家であるドリュ・ラ・ロシェルを、僭越ながら紹介したいと思います。今回は特にコラボトゥールの作家、ファシストとしてのドリュに重点を置いています。ただそれでも紹介したいことがたくさんあるので3回か4回くらいに分けたいと思います。今回は生まれから第一次世界大戦までを紹介します。
最後に参考文献も載せましたので、詳しく知りたい方はそちらも是非読んでみてください。なお素人が書いた文章ですので、誤

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