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【感覚を学ぼう!2】固有覚の機能について

前回の感覚を学ぼう!の「前庭覚」にも少し出てきた深部感覚。
深部感覚は固有覚という言い方をする方もいます。
「理学療法士」が主な体の感覚に対して専門のお仕事です。保育の勉強の範囲外とされていますが、これを知っているか知らないかで人への関わりの質が大きく変わります。専門用語が多いと分かりにくいので、例を挙げながら理解を深められたらと思います。専門の方が見たら、突っ込みどころがあるかも…ですがお付き合い下さい。

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固有覚とは

おおよその人は生活する上で「目で視て距離間を把握する」ことが出来ています。小さいうちは視る機能も未熟なので触ったりして距離間を確かめたりしながらその機能を高めていきます。おおよそ5歳で大人と同じ見え方になると言われています。触る遊びを通して皮膚の感覚も高めています。

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徐々に機能が高まると、見なくてもボタンをはめられるようになったり、下を見ないで階段を降りられるようになったりと無意識な状態(表面的な意味で)で身体を動かすことが出来ます。これは筋力が高まっているから成り立つわけではなく、身体の力の入れ具合の調整力や身体の角度などをコントロールする力も発達した上で成り立ちます。この、見なくても身体をうまく調整しているのは固有覚が身体の感覚を情報として受け取っているからなのです。

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ミラーリングと言って誰かの真似をするポーズや踊りをする遊びがあります。模倣遊びと言うのですが、真似をするのにも「腕をどの角度に向けるか」など見た情報を自分の身体で表現するために、1回ずつ鏡を見ずとも自分がどんな動きをしているかおおまかに理解して真似をします。

この遊びが苦手な子がクラスに何名かいると思うのですが、そのような子は固有覚の中にある、これから紹介する2つの感覚を感じにくい、感じているけど受け止め切れていないのかもしれないと考えられます。

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縄跳びをとぶのも「縄を見て、それに合わせて身体を動かします」が、筋肉が発達していてもこの感覚がうまく機能していないと、自分の身体の位置を把握できずタイミングがとれなかったり、他者から見て癖のある動きに見えたりします。

位置覚とは
四肢の相対的(他と比較した上で成り立つ様)位置関係を感知する感覚のことを言うのです。そのため位置覚の機能を確認する検査では関節の角度(鈍角or直角or鋭角)を目を閉じて答えてもらうものがあるようです。
引用:まっちゃんの理学療法ノート
運動覚とは
身体またはその部分の動きにより感じ取るものを言います。筋肉・懸・筋などの身体の中の運動動作を直接行うものが刺激されることで感知する感覚のことです。
止まるのも動作です。
意識すると「今、止まっている」と感じますね。その感覚です。

この2つは切っても切れない関係なのです。なので運動覚とは位置覚とは2つを切り離して解説するページが少ないと思います。
字を書く、ご飯を食べるにもこの2つの機能は活用されます。

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『スプーンを持って、落とさないように口へ運ぶ』

この「食べる」という行動に上の文の動作が付随します。
・指、手の位置を感じながら
・口の場所を把握して
・手前から口元に引き寄せる
という風に位置覚と運動覚を同時に機能させながら筋肉へ指示を送ります。

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イラスト引用:LITALICO 発達ナビ

このイラストは学習や運動の達成のための基礎を表した表です。第一段階には前庭覚・固有覚・触覚・聴覚・視覚があり、その上に筋力や運動コントロールが重なっています。つまり、この第一段階がうまく使われたうえで言語・手指や身体の運動・学習が積み重なっていくということを示しているのです。

人間は模倣をして学習する動物だと言われています。この機能がほかの動物にはあっても人間ほど緻密なものではないとされています。真似をすることでどんどん発達していき、生物的に自立していきます。

だから、乳児・幼児期の外遊びや水遊びなどの感覚を使った遊びが大切なんです!第一段階にある感覚を上手に使えているかどうか専門職としてアセスメントしていてから学習面・言語面へのアプローチが成り立つことがわかります。ただ、文字を教えるなどは学習にならないという人はこの感覚の話を言っているのです。

そして、位置覚・運動覚の機能を上手に使えるようになる遊びは平衡感覚を刺激する遊びです。

コメント 2020-03-31 211405

脇に手を入れて抱っこし、おしりをつけて座らせ弾ませるように遊ぶと乳児期からバランスボールを取り入れられます。

コメント 2020-03-31 211209


平均台はカニ歩きから始めて徐々に正面を向いて歩けるようにしていくと良いです。幼稚園・保育園にあるところも多いのでは?

コメント 2020-03-31 210447

運動だけが平衡感覚の刺激ではありません!ビー玉を傾かせるのも平衡感覚を利用した遊びです。

コメント 2020-03-31 211647

よく見かけるこれも実は平衡感覚を刺激する遊びでした。載るだけでなくて
弾ませると効果大です。


なんとな~く理解できたでしょうか?
自分でも体を動かしながら感覚を学ぶと理解しやすいですよ。

お掃除係の実習を体験した保育士さん、きちんとした指導・教育を受けられずも頑張る支援者さん…など現場に困り感を持っている方へサポートすることで、子どもたちに還元されるものがあるのではと信じています。よろしくお願いします。