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第十六話 音楽とバンドブーム

当時は空前のバンドブームの時期だった。名前を挙げればきりがないほどのバンドがデビューして、それぞれに熱狂的なファンがついていた。それに合わせて楽器や音楽が好きな若者たちが、自分たちが好きなバンドのコピーをして楽しむような時代だった。

やっぱBOØWYいいよな

Xのが良くね

おれはZIGGYがいいな

LINDBERGもいいよね!

等々、私たちも例にもれず、コピーバンドをやってみたいという思いをみんなが持っていた。

もちろん、それぞれ部活や塾や習い事などで時間がないため、すぐに、というのは難しい事ではあったのだが、「部活引退したらやってみようよ」といった感じで暇さえあればそんな話をしていた。

部活は、運動部のほとんどが三年生の夏の大会が終わった時点で引退だった。もちろん、ほとんどの生徒はその後は受験勉強で今まで以上に忙しくなるのが普通なのだが、私たちの共通の認識は、『今のままで入れる高校にいけばいいんじゃない』ってことだった。

その時点では、先の人生など全く考えていない、『今やりたいことを全力でやろう』という発想である。

私の祖母は、制服に染み付いたタバコの臭い、たまにするシンナーの臭い、帰りが遅い事や、無断外泊、等々、心配なことはたくさんあったようだが、それよりもまた不登校になることが怖かったようで、比較的他の家庭よりも自由にさせてくれていた。

予定メンバーは、ギターが趣味のタクロー、大の音楽好きでギターもベースもドラムも持っていたタカギ、単車とベースが趣味の走り屋のノリオ、仲がいい連中の中で一番歌が上手かったしまっさん、私も楽器には興味があったのだが、柔道三昧でやったこともなく、買ってもいなかったので「サポートメンバーでもやるよ!」と言っていたら、ノリオが「楽器は教えてやるし、キーボードもメンバーに欲しいからやってみれば?」と言ってくれた。てっちゃんや、やまちゃん達はサポートメンバーをやることになっていた。

それぞれ部活も引退し、中学生活も残り半年程度になった夏。いよいよバンドも結成することになった。毎日毎日、何のコピーをやるか、担当楽器、練習場所、等々の話し合いでいつまで話していても飽きなかった。

今回はコピーバンド結成までのエピソードでした。子供の頃から将来について考えることも大切、でもその時にしか出来ないことをやってみることも大切。わたしはそう思って子育てしています。

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次回に続く


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