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うつ病患者の自死

私がうつ病になってから十数年が経つ。今になって思えば幼い頃から、人の顔色を窺ったり、人に嫌われないようにしよう、という気持ちが強かったように思う。家庭環境のせいと言ってしまえばそれまでなのだが、人にはそれぞれ個性があり、私はそういった部類の個性の持ち主だったのだろう。よく「元うつ病患者が教える!うつ病は治ります」という記事や書籍を見るが、その人は社会復帰していける個性の持ち主だっただけの話なのである。

前回も書いたことだが、うつ病と言っても様々であり、私の症状でいうならば、希死念慮・動悸・手の震え・眩暈・極度の緊張状態・不安感・対人恐怖・発汗、等々挙げだすとキリがなくなってしまうが、とても辛い症状である。その症状を抑えるために私の場合はOD(薬の過剰摂取)を繰り返してしまうことが癖になってしまった。もう薬との付き合いも長い、どれくらいの量なら大丈夫なのかもわかったうえでやっている。首を絞めて自死しようとしたことも何度かある。それでも私は死にきることは出来なかったが、自死してしまった友人は数人いる。

子供の事を考えて死ねないと自分に言い聞かせているが、本当は死ぬことが怖いのである。生きていたいと思っている自分が心の中に居るのだ。

その状態で社会生活に入っていく事は並大抵の覚悟ではできない。しかし、うつ病を経験したことのない人のほとんどは『自分に甘い、怠けている、自覚が足りない、気の持ちようだ』等と言ってくる。

うつ病も一つの病気である。自殺者の統計を見ていても精神疾患を持つ人間の自殺率が一番高いのである。厚労省が約10年前に出した、死因別の死亡者数の5歳階級年齢別では、15歳から39歳5階級で自殺が1位となっている。

そういった事実を知ってか知らずか、良かれと思ってだろうが、社会生活を送らせるために、背中を強く押したり、手を取って強く引いて前に前にと進めようとする人がたくさんいる。それをされて倒れてしまったら、もう立ち上がることが出来なくなってしまい、自死をするしかなくなってしまう。

苦しみながらも社会に馴染もうとしている精神疾患者も多い。もしあなたが精神疾患者と関わっていくならば、背中を押すのでもなく、手を引っ張っていくのでもなく、倒れそうになったら支えられる位置にいてそっと見守ってほしいのである。そうすれば私たちは、一歩一歩まではいかなくても、半歩半歩なら前に進んでいけるかもしれない。


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