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中世から重宝されていた!?“クラリセージ”というハーブ𓇗𝕳𝖎𝖑𝖉𝖊𝖌𝖆𝖗𝖙𝖊𝖓 𝕹𝖔𝖙𝖊𓇗

ヒルデガルテン(聖ヒルデガルトのお庭)にも植えている、クラリセージについて、中世時代からの歴史と共に、聖ヒルデガルトにもどのように薬草として認識されていたのかをまとめてみました。


〜目次〜
1 クラリセージについて
•名前の由来
•中世から使われていた?
•宗教と切り離せないクラリセージ?
2 クラリセージと聖ヒルデガルト


クラリセージ(Salvia sclarea)は、英語「clary sage」からの外来語。コモンセージと同様にサルビア属に属し、属名の「Salvia(サルビア)」はラテン語で 「救う」を意味する「Salvare(サルワーレ)」に由来するといわれ、英名の「Clary(クラリ)」は 「明るい」「清楚な」を意味するラテン語の「Clarus(クラルス)」が語源といわれています。 古代にはクラリセージが実際、植物の種子をまぶたの下に入れ、その滲み出る粘液で眼の中の異物を取り除き、眼の洗浄に利用されていたことから、「クリアーアイ」(Clear Eye)とも呼ばれてきました。

また、クラリセージは、地中海地域と南西アジアが原産です。しかし、中欧、特にワイン産地での栽培は中世初期から記録されています。

中世では、ワイン生産者が、高価なマスカットワインのような味を出すために、この甘い香りを利用して、マスカットワインの香り付けやリキュールの香料としていたようです。 そのため「マスカット・セージ」とも呼ばれています。ワインやビールは、植物の精油で味付けされ、飲み物の色を良くし、味を洗練させ、同時に酔わせる効果を高めていました。数十年前からワインにマスカットオイルを加えることが禁止され、現在では特に辛みの強いブドウの木からしかマスカットワインは造られなくなりました。

クラリセージは、812年にカール大帝の命で作成された「Capitulare de Villis」(領地で栽培すべき有用植物のリスト)の一部にもなっており、修道士ワリフリッド・スターボも、庭園詩『ホルトゥルス』の中でクラリセージに一節を捧げています

古代ギリシャ・ローマ時代から食用されていたことで知られるハーブですが、古くから宗教儀式にも使われていたといわれています。
七枝の燭台、メノーラをご存知ですか?3,000年以上にわたってユダヤ教の偉大なシンボルであり続けているものです。
このクラリセージが『出エジプト記』(25章31~35節)にて、7本の枝を持つ灯台のメノーラのモデルであったことが記されています。

主はモーセに言われた。

純金の燭台も作ってください。燭台、その枠、軸、聖杯、つぼみ、花は、一体で作られなければならない。その側面から6本の腕が出る。片側に3本、反対側に3本の燭台の腕が出る。
『出エジプト記』(25章31~35節)

ヒルデガルト・フォン・ビンゲンは、この薬草を消化を助け、食欲不振を改善し、胃腸の病気を治す万能薬として高く評価していました。

"胃腸が弱く、食べ物で簡単に病気になり、食べ物で膿んでしまう場合は、クラリセージを取り、これを良質のワインで一緒に煮込み、少量の蜂蜜を加えて飲む。布で漉して食後と夜によく飲むと、胃が優しく浄化され、食欲も出てくる。これらの薬草の良い温熱とワインや蜂蜜の温熱が混ざり合って、胃の中の古くてこびりついた粘液を追い出すからである。
ヒルデガルト•フォン•ビンゲン

聖ヒルデガルトは当時から「胃腸が弱く、食べ物で化膿しやすい人には、食後と夜によく飲ませなさい」と知っていました。“胃が治る、あるいは清められると、食べたくなる。これは、胃腸管の古くこびりついた粘液を追い出すためです。”と。

聖ヒルデガルトを研究していたヘルツカ博士は、クラリセージを次のように賞賛しています。

 "胃潰瘍になりやすく、胃癌に移行する恐れのある慢性胃炎を治す最も重要なレメディー"。
ヘルツカ博士
人が過度の食事をしたとき、生煮えか半煮えで、特に例外的に脂肪が多く重く、また汁気もなく乾燥していると、時に心臓、肝臓、肺、そして他の人間の体内にある熱の蓄積装置では、これらの食品が消費されるほど大量かつ強い熱で胃を助けることはできないのです。だから、胃の中で凝固して、固まってカビが生え、有害な超高濃度腸内ガスが...全身に送り出される。

民間薬用植物としての効果もコモンセージに匹敵するとされています。
クラリセージの使用は古代にさかのぼり、ローマ人が頭痛の治療に用いていたといいます。頭痛がある人は、クラリセージを水で煮て、水を絞った後、その温かいものを頭の周りに置き、布で頭を覆って寝ると、気分がよくなるとも。

葉は水溶液として、洗口液や傷口の洗浄に適しています。このハーブを手首に巻いて熱をさましたりしていたようです。

頭痛のする者は、クラリセージを水で煮て、水を絞り、熱いまま頭の周りに置き、布で頭を覆って寝ると、気分がよくなる。その良い熱は、頭を苦しめるものを減少させるからです。
民間療法より

ただいま、ヒルデガルテン®︎では、聖ヒルデガルトが中世で使っていたという薬草を植え、育てています。一緒に薬草園を作り、その後にハーブの使い方などを学ぶ会員募集をしております。是非、一緒に、ハーブを学んでみませんか?

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