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私へ

夜中に目覚める。
居ても立っても居られない。
布団から身体を引き剥がす。
部屋から漏れそうな泣き声を押し殺す。
冷たい床から伝う空気に足元はかじかむ。
涙があふれる夜はつまづいた記憶を呼び戻す。
醜い自分を見たくないから電気は点けられない。

そんな私にも生きる理由ができた。
それを伝えるには
あまりにも当たり前で
小っ恥ずかしいから言わない。

うれしいのに涙があふれるのは
自分が歩んできた道のりがちゃんとあったから。

消えたい気持ちは変わらないけれど
ここで諦めたら
今まで頑張ってきた自分が報われない。
あまりにも可哀想だ。
そう思えるようになってきた。

生きる理由なんて無いと思っていた。
他人が生きる理由も興味がなかった。

私を真っ直ぐに見てくれている。
これからもきっと。ずっと。
私は応えなければいけない。

私の中で芽生えてしまった。
この感情は消せない。
消えない。
私の生きる理由がようやく見つかった気がした。
それは大切な決して手放してはいけないものだ。

人は人で傷つく。
だけど皮肉なことに
その傷を癒やすのも、また人である。

向き合うことの方が怖いと
私は人から遠ざかってきた。

一人では生きられない。

そんな怖さも知っていても良いのではないか。
人を失うということ。
そんな辛さを覚悟するのも良いのではないか。

敏感で鈍感であれ。



















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