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あの瞬間、大好きな彼を捨てた

(4月28日までにいいねをいただいた方、内容を大幅に加筆修正させていただいております。そして再度タイムラインに流れてしまい、すみません。)

最近わたしがこだわっているのは、いかにして男を捨てるか、ということ。

一見、男なんて選び放題のモテモテ強気女子発言のように見えるけれど、わたしの場合、決してそんな潔い意味ではなくて。わたしを振った彼をしっかり忘れて、復縁も望まない状態を作るということ。

同じ相手と4回も復縁をすると、もうほんとうに終わりだなと感じながらも、今回もどうにかなるんじゃないかと思っているところがある。もう一度話し合って、思い違いを紐解けば、ああそういうことだったんだねってなると、そんなシミュレーションをしたりした。

何度かそれらしい原因を掘り起こしては、こんなふうに解決するのはどうかと彼にプレゼンを持ちかけてみたが、結果は惨敗。別れの理由はロジックではなく、「好きかどうか」がすべてだと言われた。

好きでいれくれたときにも、答えたくないことに対して散々無視をしてきた彼に、これまで分の怒りが一気にあふれ出した。好きでも好きじゃなくても、話し合う気などどこにもないじゃないか。

楽しいときも幸せなときも確かにあった。けれど、たくさんのかけがえのないものをありがとうだなんて、去り際かっこよく、きれいごとで締めくくることはどうしてもできない。

嫌っていたい。許したくない。

どう考えても幸せな思考ではないけれど、それがいちばん無理のない気持ちだった。


***


一度ハマりはじめると、結果が欲しくて苦しいほうへと突き進む。それがもっぱらわたしの恋愛スタイル。入り口からして、すでによくない感じがする。

恋愛は苦しいのが当たり前で、常に何かを我慢してきた。言いたいことがあると、大好きな彼の機嫌を損ねないよう最大限に気をつけながら伝えるも、遠回しすぎて話し合いにもならず。そして特に、怒ることができなかった。意味の分からない駄々のこね方なら、天才的だったけれど。

そんなんだから、いつも勝手に振り回されている気分でいた。わたしの恋愛なのに、主人公はいつも彼。自分で選んで愛するというより、彼がくれる愛をただ無限に欲しがるだけだった。

それはそれでとても幸せだったけれど、30を目前にして身に付けたいと思うようになったのは、自分で選んで愛した男を捨てられる強さだった。

最終的に男を捨てられる女がいちばん強くて、幸せになる速度も速い。少なくともわたしの見ている世界ではそう。正解でも間違いでもない、本当の恋愛ができるのも、そんな女なのだと思う。

自分主体の女子の感覚では、追いかけると逃げるのが男。無論、逃げるような男は相手にするべきでないと判断する。

一方、わたしの感覚では、追いかけないと捕まえておけないのが男。無論、もう一度自分を選んで欲しくて、逃げる男をどこまでも追いかけていく。

運命は自分で変えられる、縁は作るものと、怖いくらいストイックに、そこに恋愛を生み出そうとしてしまう。恋愛はがんばったらうまくいかないと、どれだけ口酸っぱく言われたとしても、どうにも落ちてこない。

安心と、揺るぎない愛情が欲しいはずが、恋愛をがんばりたい自分もいる。

理想を捨てきれない。もっとずっと遠くへ行きたい。

もしかすると結婚向きではないのかもしれない。それでも帰る場所はひたすらに欲しかった。


***


これで終わり、復縁は望まないと言いながらも、何度も彼の気持ちを確かめるような質問を続けた。相当めんどくさい女だっただろうけれど、これまで無視を得意としてきた彼は、最後の最後で逃げなかった。何でいま?と思ったら、嫌でも涙が出てくるもので。

そのときには、友達で居続けることも、復縁をすることも、どうでもよくなっていた。

結婚を言い出しておきながら、一瞬で考えを変えた彼への怒りと、結婚を逃すきっかけになった(勝手にそう思い込んでいるだけかもしれない)仕事のことを、会話の流れなんてまるで無視で、長文のLINEを送った。

それから、2人で一緒にいる未来を諦めてしまった自分の弱さを、あの日からずっと後悔していることも。

これまで、傷ついたことや後悔を伝えることは、2人の危機を解決するためには必要のないことだと思っていた。だからはしょってきたけれど、一瞬でも思い描いた彼との未来を、彼ともども捨てることに決めたから、言わない美徳よりも1つ残らずぶつけておくことを選んだ。

どれだけ悲しかったかを伝えてみたら、自分の感情を初めて大事にできたような気持ちになった。凄惨な夜にも、思わぬところで得るものがあった。


***


捨てる、ということは、彼に便乗したのではなく自分で選んだということ。後悔もきっと今よりも薄くなって、すっかりきれいなだけになった思い出も手放せる。

彼を捨ててからのわたしは、生きる目標を失ったおぼつかなさと、もう一度どこへでもいける自由さに、よく分からない高揚感と寂しさを感じている。

大好きな彼を捨てること、楽しい恋の潮時は、これからも見定めていくつもりでいるけれど、できればこれが最後でありますように。












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