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7ヶ月振りに我が子に会って 〜「待つ」ことの重要さ〜

昨年6月に日本を発ち、今年1月に帰国。隔離を経て会うまでの7ヶ月間超、家族と離れて単身赴任をしていました。

「1歳」から飛んで、「1歳7ヶ月」となった我が子に会って感じたこと、そしてその成長を形作ってくれた妻の教育に対する感動について纏めてみました。

僕らの7ヶ月間

昨年ウクライナに戻った時点で妻は復職しており、この7ヶ月間は彼女にとって所謂「ワンオペ育児」の期間となりました。

実家も遠く、「日々完全ワンオペ育児を行いつつ総合商社の仕事をこなす」ということがどれだけ大変かは想像だに尽きません。

私に出来ることはたった二つ。

①電話やLINEで妻の相談相手になること
②iPadで日本の夕食に参加すること(私はちょうど昼食時)

特に②は、「遠く離れていても顔が見れて話ができた」という点で、物凄く大きなことでした。娘が泣いていても何もしてあげられない等の難しさ・もどかしさはあるものの、これがあるのと無いのとでは私の、そしてきっと妻の精神的ストレスも大きく違ったことでしょう。

昨今のテクノロジーの進化に感謝をすると共に、10年・20年前の海外単身赴任者の辛さをつい想像して胸が苦しくなりました。

想像を遥かに超えた、娘の進化

1月末にようやく再会。

0歳や1歳だと「数週間の出張でも忘れられてしまい、号泣されてショックだった」というような話を頻繁に聞いていたので、前日から大号泣される覚悟を持って臨みましたが、なんと最初から抱っこもさせてくれ、泣き喚かれることもありませんでした(!)。
(何故か、今の方が「ママー!」と逃げていくことが多く、どういうことかと首を捻っておりますが苦笑)

一緒に暮らし始めて娘の成長を目の当たりにすると、衝撃を受けることが多すぎました。歩き始めた頃に別れたので運動能力の進化は勿論ありますが、そこではなく、

①出したものは必ずしまう
②自分が出したゴミは自分で捨てに行く
③自分のではなくとも、落ちているゴミは捨てに行く
④1mmでも開いていたら、ドアを閉めに行く
⑤床に置きっぱなしになっているものがあったら、仕舞うべき場所を指差して、「しまって」と指示してくる
⑥玄関の鍵が空いていたら自分で閉めに行く
⑦お出かけの際は、親の靴を出して並べてくれる

という「姿勢」「マインド」に兎に角驚きました。俺、ほとんど出来てない笑

一人目の子供なので全く比較は出来ないですが、まだ生まれて19ヶ月目のホモサピエンスがここまで気を遣えるものとは全く思っておらず、最初の週は「マジか?!」を繰り返していました笑

しかし、流石に「我が娘天才キタコレ!!」となるほど親バカではありません。これは絶対にDNAの問題ではなく教育・躾の問題だと思い、妻の行動・言動をつぶさに観察してみることにしました。

するとそこには、驚くべき光景が広がっていました(ガチンコファイトクラブ風)

①言葉が伝わらないとは考えず、ちゃんとお願いする

1歳7ヶ月なんてまだ発する単語の数は知れてますし、単発です。発する内容よりは聞き取れる内容の方が高度なのでしょうが、どの程度かは分かりません。

だとしても、妻は全ての言葉が分かる前提で「お願い」をします。「〇〇を△△に持って行ってくれる?」「〇〇だから、△△を□□に片付けてくれる?」など。

これは私が日本にいた1歳0ヶ月の頃からずっとそうでした。勿論伝わらないことも多いので、その「お願い」は失敗に終わったり、事が成されるのに多大な時間を要します。

私だったら「どうせ伝わらないし」と思い、自分でやってしまったり、もっと赤ちゃん言葉に変えてしまいます。

相手を幼児扱いせず、失敗に終わっても何度もしっかりと「お願い」をすることで娘の理解力も上がり、結果として上記の素敵な行動たちに繋がっていると思います。

②やってあげない。やり終えるまで待つ。

服を着るのも、スプーンで食べるのも、靴下を履くのも、娘がやっているのを手伝ってあげることは基本しない。

「〇〇が食べたい」と言っても、それを取ってきてあげることはせず、取りに行かせる(例えば、冷蔵庫の上段に入ってるなら、冷蔵庫の前に行って上段を指さすまで開けてあげない。下段に入ってるなら、自分で持って来させる)。

①と同じで、私だったらついつい途中で手を出してしまいます。特に、出来なくてイラついていたり、ぐずっていたりしたら余計に。

そこを「成功するか、助けを求めるまで」ちゃんと待ち、結果が出るまで待ってあげるその忍耐力と信じる気持ちには尊敬しかありません。

③察してあげない。思いを伝えてくるまで待つ。

私が一番凄いと思うのはこれ。

娘は何か自分の願いが叶わなかったら、ぐずりますし、泣きます。私だったら、慌てて「これかな?」「あれかな?」と彼女の求めるものを探してしまいます。

しかし、妻はほぼしない。相手が数少ない語彙力しか有さなくとも、「何がしたいの?言ってごらん?」と問いかけ続け、言葉でもボディランゲージでもいいから、自分の求めるものを主張するまで待ちます。

勿論、最後まで泣き喚いてFile closeになることもままありますが、最終的に「こっこ」(抱っこのこと)と言ったり、食べたい食べ物の方を指差したりして主張することも少なくありません

正直選択肢はそこまで多く無いので、状況に鑑みたら候補は2−3に絞られ、当てるのは容易いことです。しかし、敢えてそれをせずに「自分で言わないと伝わらないよ」というメッセージを日頃から伝えるその姿勢と根気は心から凄いと思います。

相手を大人扱いするとは、そういうこと

私の「一人っ子の育て方」noteにも書きましたが、一人っ子家庭での子育てでは「子を親(大人)の立場に引き上げる」ことがとても重要だと考えています。
(一人っ子で無くとも大事ですが、「特に」という意味で)

と言っておきながら、私より遥かにそれが出来ている妻のアプローチを見て、「まさにこれだ・・・」と思いました。

相手が「出来ない」と思って接するのではなく、「出来る」と思って接する

コーチングの基本思想にも繋がってくる話ですが、「彼女なら出来る」と心から信じているからこそ、上記①〜③が出来るのであり、一体どこでそのマインドを身につけたんじゃとツッコみたくなります。

「待てる」かどうか

「お願いをして、やってくれるまで」「やってることを完了してくれるまで」「自分の要求を言ってくれるまで」、結構な時間が掛かります。また、何回目のトライで上手く行くかもわかりません。

更に、日々、特に平日は時間に追われていることも少なくありません。そうなるとついつい「察してあげてしまうし、やってあげてしまう」。しかしそれでは子供の成功体験は醸成されず、結果的に成長を妨げている可能性が高い。

ここをどれだけ我慢出来るか、というのは子供が何歳になっても同じなのだろうなと想像しています。漫画「二月の勝者」でも黒木先生が言っていましたね

・「待つ」ことが「親の仕事」では無いでしょうか。
・「待つ」ことのエキスパートなれ

「大人扱いする」「待つ」・・・社会人も同じ

NETFLIXが大事にするテーマの一つに「社員を大人扱いする」というものがあります。めちゃくちゃ当たり前のことですが、実は日本企業の多くが出来ていないことです。

馬鹿馬鹿しいほどに細かく規定したルールを作り、そこから少しでもはみ出したら注意をする。これは「社員を子供扱いしている」ことに他なりません。

そして「待つ」ことも同じ。後輩や部下に対し、現状より高いレベルに到達することを求めて指示を出したりタスクを投げたりすることは、多くの人がやっているでしょう。

しかし、どれだけの人が十分に待てているでしょうか。正直、周囲を見渡してみて、「いやいや、Give up早すぎでしょ」というケースが多いです。すぐに答えを言ってしまうか、自分でやってしまう。

ここにはもう一つ問題があり、「正解のないビジネスという世界にいるのに、中々自分の正解に辿り着けなかったら、痺れを切らして自分の正解に導いてしまう」ということ、そしてそこから派生する「イノベーション機会の喪失」という点です。

「もしかすると、彼は自分と違う正解に向かって歩を進めているかもしれない」という点を考慮せず、自分起点でその進捗を測ってしまう。これではただの過去の踏襲で、小さなイノベーションすら起こる余地はありません。

イノベーションが生まれる会社にする、人が育つ会社にする、心理的安全性のある会社にする。。。。これらを達成するために必要なことが、子育てに詰まっているのかも知れません。

おわりに

他の子育ては知りません。もっと素敵でワンダブルでマーベラスな子育てがあるのかもしれません。それでも、「尊敬出来る19ヶ月の娘」に育ててくれた妻の姿勢は自分にとって余りに学びの多い事象でした。

そして改めて、「人を育てることに互いの年齢は関係ない」ことも確信しました。日々の社会生活と子育ては、それぞれの学びを行ったり来たりさせられるものであり、互いに独立したものではない、ということも。

「信じて、待つ」

私も決して得意ではないこのマインド。35歳になろうとするこのタイミングで、社会と子育て、どちらも通じて身につけていきたいと思います。




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