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「かわいい後輩」より「頼れる若手」を目指せ

2022年に入って既に相当数の書籍を読みましたが、現時点で今年最も「その通りーー!!」と頷きながら読んだ本は、「佐久間宣行のずるい仕事術」でした(佐久間さんは私が今一番好きな業界人(?)で、ラジオを毎週欠かさず聴いています)。

この本を読んでの感想は、「新卒研修と新任リーダーシップ研修はもうこの一冊でいいじゃん」。

そのくらい、実用的で的確な内容に溢れています。231ページの中で取り上げたいフレーズは沢山あるのですが、今回は自分の実体験にも通じる表題フレーズを取り上げたいと思います。

商社的な上下関係に全く合わなかった自分

過去のNote(デブのマーケティング)でも書きましたが、青春時代を大デブで過ごしたこともあり、大きく偏った人間が形成。

大学に入り体育会で矯正されたものの、所謂「大学生的なノリ」にはついぞ合わず。合コンはおろか、部活以外の飲み会にもほぼ行かずに4年間を終えました。

そして、2009年に住友商事入社。若手による新人歓迎会の衝撃は今でも覚えています。テキーラにタバコ、コールに一気飲み。行かないと言っているのに、超強制的に二次会・三次会に連れて行かれ、カラオケオール。先輩の下手くそな歌を全力でヨイショする若者たちに耐えられず、人目を忍んで帰りました。

彼らから見れば、完全に私が「異端児」だったでしょう。「ノリわりーな、お前」と5分に一度言われ、その度に「いや、連れてきたのお前だろ」と心の中で思ってた13年前が今となっては懐かしいです笑

でも、心の底から「そんなのどうでもいい」と思っていた

会社の中で「誰に権限があって、誰に無いか」というのは、社内資料を読み、会議やメール交信を眺めていればすぐにわかります。結論、

一切の権限は部長以上にしかなく、課長以下、即ち40歳以下には全くありませんでした。

私に「ノリわりーな、お前」と偉ぶっていた先輩も、完全な「持たざる者」であり、何者でも無かったのです。つまりは、彼も常に誰かの承認が必要であって意思決定者ではない。そして仕事で成果を残さなければ、自身の上司から評価されず、オモロい仕事が回って来なくなって困るわけです。

ここに入社後1ヶ月で気がついた私は、

オフの場で好かれなくても、仕事で認められれば自分のキャリアに全く問題はない。時間が無駄なので、自分が「不快な」場には行かないようにしよう。

と決め、今日に至るまでずっとその通りにしています。

当時周囲を見渡すと、自分が不快な場に時間とエネルギーを消費している人も少なくありませんでした。入社して早い段階で、俯瞰して会社の構造を見ることが出来たのは良かったと思います。

当たり前だけど、全てはトレードオフ

当たり前すぎてわざわざ書くことでもない、でも実はつい意識から漏れがちなのが「1日は24時間しかなく、それは皆平等である」、そして「OutputにはInputが必要である」の2点。

当時は、私を含めて多くの新入社員が大学であまり勉強をしていませんでした(今は違いますねー。隔世の感があります)。ということは、Outputのクオリティは入社後のInputの量と質次第。この分かりやすい構造の中では、

①自分が不快な場に行って二日酔いになり、Inputの機会を二日潰した人
②Outputの目標イメージを持ってInputを二日間した人

はこの二日で明確な差が付きます。これが数年続けば、もう挽回が難しくなるでしょう。

私自身、最初の3年間で勉強した証券アナリストや各種Inputが最初の10年間を大いに支えてくれました。一方、飲み会を断って言われた嫌味など1・2日で忘れます。

365日勉強しようとは言ってません。が、「トレードオフ」という信じられないくらい当たり前のことを、意思決定の時に想起できるといいですよね。

「定食に必ずつく味噌汁」は喜ばれない

見出しの「定食〜」はこの本に出てくる表現ですが、本当にその通り。誘われるがままに行っていると、

「行っても喜ばれないのに、行かないと怒られる」

という立ち位置になります。これが最悪。それでも本人が楽しいならいいですが、この不均衡の元では長続きしないでしょうし、何より不健全です。

自分がいないと成り立たない飲み会や集まりなんてありません。あるとすれば主賓か幹事の時だけ。

「行けば行くほど自分の価値が下がる」、そんなバカみたいなことがありますか?合理的に考えて、好かれたいなら、価値を維持したいなら、行かない方がいいんです

「嫌いなもの」「苦手なもの」を遠ざければいい、わけじゃない

このNoteが一つ誤解を招きそうな点があるので、触れておきます。私は「好かれるため、という理由だけで不快な場所に行く必要はない」と言っているのであって、「好きなことをやり、好きな人とだけいればいい」と言っていません。

自分の「好き」にだけ従って行動していると、自分のDotsを打つ場所が全く広がりません。似たような情報と似たような人と似たような仕事に触れる毎日には、刺激も成長もありません。

例えば、

①人間的には少し合わないけれど、自分のやりたい仕事をバンバンやってる人に会いに行く
②人前で話すことが苦手な人が、プレゼンの仕事に手を挙げる
③本を読むのが苦手な人が、人から勧められた本を読んでみる
….etc

こういった行動は「無駄」ではなく、「チャレンジ」です。

なぜ最後にこれを書いたかというと、コロナ禍になり、リモートワークが広がり、「他人との接点を避けようと思えば、かなり避けられる世の中」になってしまったことがあります。

「コロナ」という免罪符が出来てしまったことにより、人と会うことが強制されなくなった。私はこの状況をかなり危機的に見ています。

国籍で括るのは余り好きではありませんが、世界数十ヵ国を回った人間の肌感覚として、日本人は他者とのコミュニケーションに億劫であり臆病です。

そんな国民に免罪符が与えられてしまったこの環境は、自動的に

「チャレンジ数の減少→成長の鈍化」

を生み出しかねないと思っています。ぜひ、社会に飛び込んだ皆様は「優先順位を付けつつ、必要と思うものから逃げない」という激ムズミッションをこなしていただけたらと思います。もちろん、私も。

おわりに

ここ2年間に入社した人達からすると、「なんのこっちゃ」という内容でしょう。だって、強制的に飲み会に連れて行かれることなんて無いから。

逆に、「そういう場を求めている」という声もよく聞きます。生々流転というか諸行無常というか、世の中の価値観は変わりますね。

僕は、「自分の知らない選択肢を知る偶発性」の大事さに気づくのが結構遅かったなと思います。

つまり、「見えている選択肢からベストなものを選ぶ」ことに集中しすぎて、「自分の知らない選択肢(生き方)が、星の数ほどある」ことに気付くのが遅かったのです。

なので、「好かれるために行く場」は無意味ですが、「何が起こるか分からない場」(パルプンテ的な)は大切にし続けたいな、と思ってます。

何か「オモロい」イベントとか集まりあれば、ぜひ教えてください。

では、また来週。

細田 薫

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