1993年冬、北京―モスクワ国際列車 女二人の珍道中 時々行商人⑪
1993年1月23日 4日目その4 売って売って売りまくれええええ!
ロシア領内に入って最初の夜、それまでの食っちゃ寝生活が激変した。車両全体が春節のお祭り気分に包まれていた前夜と打って変わって、騒然とした雰囲気が充満している。日本のそれよりも背の高い列車が駅に到着するたびにホームと車窓を喧騒がつなぎ、見上げる人と見下ろす人の間で大声、怒号、罵声が飛び交った。あの餃子、もうちょっと食べときゃよかったなあ腹減ったーと、ほんの二十四時間前のできごとを昔のことのように思い出したの