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2022年教育ニュースまとめ Part-2

2022年を振り返ります。私が個人的に重要だと感じた2022年の教育ニュースを月ごとに集めてみました。また、各ニュースに対する私の感想も加えています。こちらは後半です(Part-2)。どれも今の教育の現状を反映しているものですね。それぞれの概要を見ていきましょう。

7月:教員免許更新廃止 生涯有効な免許状に

悪名高い免許更新制度がとうとう廃止されました。文言として『発展的解消』という表現が使われた背景には、研修履歴管理システムの導入や教員免許更新講習に代わる新たな研修制度あり方を検討しているためのようです。

教員免許更新制度は、一度教員免許を取得しても、10年で失効してしまうというものでした。更新するには30時間の研修と3万円を支払わなければなりませんでした。この3万円は教員の自腹でした。講習自体希望したものを受けられるとも限らず、専門外の内容の講習をお金を払って夏休みや休日に受けざるを得ないこともあるという状況でした。

8月:埼玉超勤訴訟 二審判決も原告教員敗訴で最高裁上告へ

埼玉県内の公立小学校の教諭が長時間労働に対して県に残業代の支払いを求めていました。裁判所は、『校長が授業の進め方などについて、具体的な指示をしたことはない。繁忙期には法定の労働時間を超過しているが、その状況が常態化していたともいえない』との見解を示し、原告の訴えを退けました。

この一連の裁判で、教員のやっていることの多くは労働とは認められないことが改めて明らかになりました。学級通信や教室の環境整備などは、管理職が明確に職務命令したものではないため、労働でなく自発的にやっていることにすぎないと扱われることが判明しました。保護者対応など時間外に及びやらざるを得ない業務は多々あるのに『労働として扱われないならばもうやらない』との怒りの声も聞かれました。

9月:公立学校教員採用試験、過去最低3.7倍(文科省調査)

二次試験まで全ての教員採用選考の過程が終了し、最終的な倍率が発表されました。公立学校全体としては、過去最低の1991年に並ぶ結果になりました。

低倍率の要因としては教職不人気も一つ挙げられると考えられます。しかし、文科省は『採用選考の実施時期を早めて民間と競うべき』との見解を示して選考スケジュール前倒しを検討し始めています。これが見当違いをしていなければよいのですが…。

10月:「ペーパーティーチャー」講座 各自治体県で盛んに開催

免許更新制度がなくなり、免許が恒久化したことで、今まで免許が失効していて教壇に立てなかった人材の発掘が始まりました。

学校は教職不人気のために常に人手不足であり、教員定数を満たせていないこともあります。免許が蘇ったことで、新たな人材獲得と免許だけ持っていて指導経験のない人材(ペーパーティーチャー)への講習が盛んに行われるようになりました。現場で活躍してくれる人材を確保するのは急務です。

11月:東京都立高校入試で英語スピーチテスト(ESAT-J)実施

半年以上前から批判や制度的欠陥が指摘されていた都立高校入試での英語スピーキングテストが実施されました。実施後には、受験者に問題が漏れていた、試験監督者がマニュアルを遵守していなかった、公開された問題が中学校の学習内容から逸脱している、模範解答に誤りがある、などさらに問題点が指摘されるようになり、大きな関心の的になりました。

実施された問題には、少なくとも中学校学習指導要領から外れた問題がありました。しかし、都教育庁は『今回の問題についてはmay、have、seenのいずれの単語も既習事項であり、問題があるものとは認識していない』など苦しい言い訳を繰り返すのみで、詭弁を弄する姿は不信感をさらに強める結果になってしまいました。

12月:文科省『中学校部活の地域移行 完了期限未定で先延ばし』

長時間労働の原因として教員の負担になっている部活動を地域へ移行する取り組みが大きく停滞することになりました。文科相は地域移行の完了時期について当初予定されていた『25年度末に終了というのは考えていない』と発言しました。地域移行の完了時期は未定になったのです。

このことにより、部活の地域移行は来年度からスタートするものの、期限が無くなりました。期限が未定の課題なら、やらなくてもよいということになりかねないため、非難や落胆の声が多く聞かれました。

まとめ

教育政策として、方向を誤った方向へ修正してしまったり、誤りを認めずに詭弁を弄するような出来事が目立ったように思えます。来年は、良い教育ニュースがあることを願っています。

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