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娘にギャグを仕込む弊害

私は4歳の娘にギャグを仕込んでいる。


ギャグといってもオリジナルのものではなく、プロのお笑い芸人の方々の有名なモノである。

反復して何度も教えて定着するようになったものがいくつかある。


まず初めに仕込むことに成功したのが、元雨上がり決死隊の宮迫博之さんの「宮迫ですっ」である。

これは手の動き・セリフともに覚えるのが実に早かった、「みやさこ」と発声するのが若干難しいようで「みささこ」や「みかかそ」になることがあるが芯は捉えているので良しとしよう。

家族や友人からは「なぜ宮迫博之を選んだ」「そんなもの覚えさせるな」「縁起が悪い」と意見されたが何故かはわからない、失礼なひとたちである。


次に仕込んだのが、エドはるみさんの「グゥ~」である。これはやっている本人が非常に楽しそうで良い。ただ改善点をあげるのであれば、「グーグッグーググー」から「ッコー!!」にいくまでが早い。

「ッコー!!」はオチの部分なので可能であればもっと溜めてほしいのだが、この部分が一番愉快らしくすぐに「ッコー!!」してしまう。こればかりは子どもに求めるには酷だろう。



他にもダイアン津田さんの「ゴイゴイス」「スーを差し上げます」などいくつかのギャグを仕込んできた。

別に目的はない、ただただ私が愉快だからだ。


しかし、予想だにしていなかった問題が発生した。

その問題の要因となったギャグがこちらだ。

COWCOWの「当たり前体操」である。

問題となるのは、1:40頃の「やめろや、やめろや、やめろやっ!」の下りである。

娘は特にこのフレーズが気にいっており、シチュエーションに関わらず口ずさむほどだ。好きな音楽ができ、それを思わず口ずさむだなんて、とても素晴らしいことといえるだろう。私は娘の成長に喜んでいた。



しかし、時には問題を引き起こす鍵となることを知った。

それは今日の夕食の時間のことだ。

娘はいつも通り一人でスムーズに食事してくれることはなく、妻は訳もわからず拒否をする娘に食事をするように促していた。

カレーをすくったスプーンを口元に、何度も持っていっては

手を変え品を変え、食べてくれるようにアプローチをしていた。

その時だった。


やーめーろーや ♪

やーめーろーやー ♪

やめろやっ ♪





娘が歌い上げた瞬間だった。


先ほどまでの優しげな面影は微塵もない、冷たい表情で娘の口元を片手で掴んだ妻は、スプーンを口の中に捻じ込んだ。

「食べなさい」

私は確信した、妻はブチ切れている。

その後、娘は空気を察したのか一泣きしてから普通に飯を食ってくれた。ただそれからの妻の様子を見るにイライラが晴れていないのは明らかだった。

私はただ、愉快だからギャグを仕込んでいたのに…



確かにそうだ。

愉快なことができる=人を愉快にさせられる

ではない。

TPOってやつがある。

時と所と場合、それに応じた適当な「愉快」を提示することが愉快な人なのである。

このまま行けば、授業中だろうが、卒業式だろうが、葬式だろうがギャグを行ってしまうところだったかもしれない、危ないところであった。

私は狂ったギャグマシーンを作り出すところであった。



当たり前のことである、TPOだなんて。

そう、当たり前のことである。



大人がマジの時にふざけると~ ♪

キレられるっ ♪

当たり前体操~ ♪


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