みんなの声はネズミ色
みんなの声はネズミ色
誰もがチュウチュウ鳴いている
僕の声は透明で
空気のように存在しない
そんなことを思っていた頃
僕の目に映っていたのは
水色の空と白い雲
もしも僕が鳥だったら
誰より早く
山のてっぺん 目指して飛ぶ
両手の翼を羽ばたかせ
突き出た口ばし上に向け
山のてっぺん たどり着く
そうして下界を見下ろしたなら
静かに体を横たえて
黙って瞳を閉じるだろう
だあれもいない この世界
笑われたって
怒られたって
もう僕はひとりきり
幸せだった記憶を胸に
ああ僕はひとりきり
真珠のような涙を一粒こぼしたら
みるみる体は溶けていき
大地の中に染み込むだろう
みんなの声はネズミ色
僕の声は透明だった
それでも誰もが大地にかえる
悲しいねって泣いたって
それでもみんな大地にかえる
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