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100年続くレストランを目指して vol.5

東京・港区白金のフレンチレストラン「ラ クレリエール」のオーナーシェフ柴田秀之が日々考えていることを綴っているnoteです。2020年10月「ミシュラン三つ星レストランへの挑戦」からスタートし、「クレリエールの料理」を経て、連載第3弾は「クレリエールを今から100年続くレストランにする」をテーマに食材や生産者さんとクレリエールのお話をしていきたいと思います。
★過去の連載は文末にリンクがございます。ご一読いただけたら嬉しいです。

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オキオリーブとクレリエールで行う体験イベントのお知らせ
記事の最後にございます。ぜひ併せてご覧ください!
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Vol.5 「オキオリーブ」の澳 OKI Olive (後編)

「澳 OKI Oliveを使いたい!」と僕に思わせてくれた「桃のガスパチョ」は、桃とトマトのガスパチョに桃のグラニテを加えた、レストラン ラ クレリエールの常連のお客様にもファンの多い夏の冷前菜です。レストランモナリザのシェフ時代から作っていたお料理で、クレリエールの料理としてさらに進化させたいと考えていました。桃の甘み、トマトやヨーグルトの酸味、コンソメのうま味、そしてグラニテの爽やかさがバランスよく調和した中に、何かもう一つアクセントが欲しい。でも、スパイスではない。試行錯誤する中で、試しに喉にピリッとくるギリシャのオリーブオイルを垂らしてみたら、合う。それならば国産のオリーブオイルで良いものはないか?と考えて、思い出したのが澳 OKI Oliveでした。
使ってみると、これがドンピシャ!僕の頭の中で、パズルの最後のピースがカチッと嵌る音が聞こえた気がしました。そして、ほんの数滴がもたらす効果に、価格への気がかりも吹き飛びました。

誤解していただきたくないのですが、僕には国産信仰みたいなものはありません。「ギリシャ産ではなく国産で」と考えたのは、日本の桃を使っていたからです。もし地中海の魚介類を使ったお料理だったら、そのままギリシャのオリーブオイルを使おうとしたでしょう。
もっと言うと、僕は「国内産か海外産か」より「安心安全であること」の方がずっと大事だと考えています。お客様が召し上がるお料理に使うものに少しでも不安や心配があったら、それはストレスになります。出来る限りストレスは排除して、お料理に集中し全力を傾けたいと考えているので、希少な澳 OKI Oliveが売切で手に入らない時は安心安全が確認できているギリシャ産を使うこともあります。

「桃のガスパチョ」は確かに澳 OKI Oliveを使うきっかけになりましたが、改めて考えると、日々の積み重ねの中で僕の料理観に様々な変化が起こったからこそ、きっかけになり得たように思います。その変化の一つが、調味料の考え方です。ここ数年で、塩や砂糖などのいわゆる調味料とは別に、「食材」を調味料として使うことが珍しくなくなりました。例えば、フォアグラ。一昔前まではフォアグラと言えば、塊でソテーしたものやテリーヌにしたものをどーんと出すお料理が主流でしたが、今ではビストロやブラッスリー以外では殆ど見かけなくなったと思いませんか?逆に、お料理にコクや油分を加える要素(調味料)として使われることが増えました。一方で、調味料を食材として使うことも珍しくなくなりましたよね。例えばハチミツやコショウがメイン食材として使われ、料理名に入っていたりもします。
そうした動きの中で僕自身も、オリーブオイルを単なる「調味料」ではなく「食材」として考えられるようになっていたのでしょう。だから「今までの8倍」という価格も、「食材の価格」として受け入れられたし、「オリーブオイル=料理の1ピース」として捉えられたのだと思います。
最初に澳 OKI Oliveに出会った時、料理の中でどのように使えば良いかが浮かばないこともあって「僕は使わないですね。」と澳さんにお伝えしましたが、実は、まだ僕自身が使える段階ではなかった、自分は気づいてなかったけれど「僕は使えないですね。」が本当だったのかもしれません。

「桃のガスパチョ」

澳 OKI Oliveを使い始めて今年で4年目になります。そして年々その使用量は増えています。それは「桃のガスパチョ」以外にも着々と食材としての1ピースを担い続けている証しです。僕は産地やブランドにはこだわりませんが、安全性と共に質の高さは追求します。そのためパワーのある食材を使いがちなのですが、その中で1ピースを担えているのも澳 OKI Oliveのポテンシャルの高さの現われなのだと思います。

これからもクレリエールでは澳 OKI Oliveを使ったお料理が誕生していくでしょう。それらがクレリエールのお客様に喜んでいただけるクオリティであることはもちろん、クレリエールのお料理に使われていることがオキオリーブさんのブランド力をさらに高まるようにならなきゃいけないですし、そのことに僕もスタッフも誇りを持ちたいと思っています。

前回、澳さんが元証券マンで、二足の草鞋で農園を始め、今ではオリーブオイルを作る以外にオリーブの葉を活用したビジネスを手掛けているとご紹介しましたが、今回、僕がこの連載でオキオリーブさんのことをお話しようと思ったのは、澳 OKI Oliveの魅力もさることながら、「澳さんも100年先を見ている人だから」というのが大きかったです。そして、知れば知るほど「100年続く農園」になれるだろうと感じますし、「クレリエールも!」という思いが強まります。
生産者さんとそういう関係を目指せるのも素敵だと思いませんか?

◆お知らせ!◆

オキオリーブとクレリエールでイベントを行うことになりました!

オキオリーブの畑でオリーブ収穫を体験していただき、昼と夜には澳 OKI Oliveを使って僕が作ったお料理を召し上がっていただきます。さらに自分たちで摘んだオリーブの搾りたての味見体験も!
上記でもお伝えしたようにオキオリーブでは果実がまだ青いうちに摘むため、収穫期間は1年の中で3週間ほどしかありません。そのうちの1日を使ってイベントを行います。
今回は澳さんと僕のトライアルイベントということで、人数を絞られていただいた代わりに採算度外視のご参加いただきやすい価格設定になっています。
いろいろな意味で貴重な体験ができるイベントだと思いますので、ご興味のある方はぜひご参加ください!

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10人限定!ミシュランシェフと体験する
澳オリーブの収穫と澳さんのオリーブオイル講座
@澳オリーブ

希少な澳オリーブを搾り立てで味見&シェフのお料理で堪能!

開 催 日:2022年9月29日(木)10時〜21時
集合場所:澳オリーブ「オキオリーブハウス」

     香川県高松市西植田町4532
<当日のスケジュール>
 10:00 集合、畑へ移動
 10:15 収穫レクチャー
 10:30 オリーブ収穫
 12:30〜13:30 シェフ特製ランチで昼食休憩
 13:30 オリーブ収穫
 16:00頃 収穫終了(お疲れ様でした!)
 〜休憩〜(オリーブの搾油所見学など)
 19:00 澳さんのオリーブオイル講座
  &澳オリーブを用いたシェフ特製ディナー(前菜・メイン・デザート) 
  &懇親会
 21:00 終了・解散
参加費用:1名様 22,000円(税込)
定  員:10名(申し込み多数の場合は抽選)
催行条件:雨天決行
参加申し込みこちらからお申込みください。

<お申し込み&その後のスケジュール>
お申込み受付期間:7月21日(木)~8月31日(水)
参加者決定:9月1日(木)参加者さまへ決定のご連絡
※抽選の場合は、当落ご連絡(当選者さまには決定のご連絡)
※参加者さまには9月8日(木)までに参加費をお振込みいただきます。

【キャンセルポリシー】
参加キャンセルは、メール連絡にて承ります。
ご連絡のタイミングにより参加費より以下の割合をキャンセル料として申し受けます。
9月26日(月)までにご連絡いただいた場合:キャンセル料 0%
9月28日(水)までご連絡いただいた場合:キャンセル料 50%
9月29日(木)当日、集合時間までにご連絡いただいた場合:キャンセル料 75%
当日まで連絡なしでの不参加の場合:キャンセル料 100%
※返金の際の振込手数料をご負担いただきます。
■お問合せ先 :contact@la-clairiere.tokyo

★過去の連載はコチラからご覧ください。

最初の連載「ミシュラン三つ星レストランへの挑戦」はコチラからどうぞ

 → 第一章 レストランのシェフになる
 → 第二章 プロの世界へ
 → 第三章 「料理長」を見据えて
 → 第四章 レストラン ラ クレリエール
 → 第五章 オーナーシェフの「仕事」
 → 第六章 ミシュラン三つ星を目指す

2つ目の連載「料理集」はコチラからどうぞ

 → 「ラ クレリエールの料理集1(第一皿~第五皿)」
 → 「ラ クレリエールの料理集1(第六皿~第十皿)」

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このnoteを初めて読んでくださった方へ
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はじめに初めまして。ラ クレリエールの柴田です。
白金でフレンチレストランのオーナーシェフをしています。
2020年のコロナ自粛の間、レストランのあり方や自分が今後進むべき道など色々と考えました。その中で「ミシュランで三つ星を獲得すること」を一つの指標として強く意識するようになりました。
そして、どのようにすれば三つ星を獲得できるのか、三つ星にふさわしいと皆様から認めていただけるのか、日々、考えたことや行動したことを記録に残そうと考えました。
ご興味を持っていただけたら幸いです。

お店の公式Facebook、youtubeチャンネルもご覧ください。


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