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新型コロナと災害対応、情報発信連携の可能性②:双方の支援制度の共通点

前回、新型コロナと災害対応支援制度に関する違いについて説明しました。

一方で、新型コロナと災害対応支援制度は、特にそれらの情報発信においては共通している部分もあります。

今回は、それらの共通点について説明します。

どちらも、平時の支援制度とあわせた情報発信がカギ

まずどちらも、新型コロナによる影響が拡大した時、あるいは発災時の支援制度に加えて、平時の支援策に追加をしたり、拡充・要件緩和をしたりという形での、いわゆるパッケージ支援になっているという点は共通しています。

例えば、アスコエが東京都の新型コロナ支援情報ナビサイトで紹介している例では、中小企業向けのセーフティネット保証について、業績悪化による5号認定を受けられる業種が追加指定される形での拡充が行われました。
また、住民向けでは、働いている子育て世帯向けに学校の臨時休校や保育施設の臨時休園時の一時預かり事業やベビーシッター利用支援などの策が紹介されています。

一方、千葉市の被災者支援ナビサイトでは、平時でも利用できる雇用保険の失業等給付が紹介されていますし、平時であれば行わなければいけない税金や国民年金保険料の支払いが延期・減免されるなど、既存の行政制度・行政手続きと災害時の行政制度・行政手続きが一体的に紹介されています。

双方のデータ構造にも共通点

前回お話したように、新型コロナと自然災害に関する支援制度の中身は、もちろん異なります。
しかし、そのデータ構造に目を向けると、新型コロナの支援制度でも、災害関連の支援制度でも、似た構造を持っています。例えば、当該支援制度の「対象者」や「支給金額」「必要手続き」といった共通の説明項目を持っています。
また支援制度を検索するときの検索軸も、「給付」や「貸付」「減免」など似た項目が多々あります。
こうした共通の説明項目(=データ構造)を、いったんしっかり設計して活用することで、新型コロナ、災害関連の支援情報についての運用性が双方高まります。

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迅速な情報発信は、どちらも同じ

さらに、新型コロナ対応でも災害対応でも、双方の支援制度に共通することは、情報発信をいかに迅速に行うかがカギであるという点です。
その際、もちろん今現在はインターネットを活用した情報発信が基本ですが、突然の災害発生時に支援制度情報を一刻も早く、地域、住民、事業者に届けるための情報発信に関する事前の備えが大切という点はどちらも一致しています。

そこで、双方の支援制度に関する迅速な情報提供のため、具体的にどんなことが必要となるか、現在アスコエが様々な取り組みの中で実践している事をご紹介しながら、説明してみたいと思います。

アスコエでは、新型コロナと災害対策支援制度の情報発信双方を、パッケージで支援するWebサービスを提供しています。
新型コロナおよび災害に対する支援制度情報の発信サイトについては、次の3つの”迅速”がキーポイントになっています。

迅速な探索ができるナビゲーションがカギ
(リンク集の限界)

まず第1に、迅速という観点で大きな勘違いがあるのは、従来の方法での迅速な情報発信だけでは伝わらないという点です。
具体的には、迅速な情報発信に加えて、どちらの場合も非常にたくさんの支援制度があることから、住民や事業者にとって必要な支援情報を、“迅速に探す”ことができる環境を整える必要があります。

行政機関が提供する支援制度については、現在でも、国・都道府県・市区町村のサイトでたくさんの情報が発信されています。しかし、そのほとんどは、リンク集レベルのものになっています。
全体で何百という支援制度に関して、個別にリンクをたどって情報を収集することには限界があります。
リンクだけでは、迅速に情報発信はされたが、その中から必要な情報を迅速に探すことが出来ず、結局、必要な支援制度情報が、利用者に届かないという事態に陥ってしまいます。

こうした状況の解決策の一つが、ナビゲーションシステムです。
ここでは、単なるリンク集サイトではなく、利用者の状況やニーズに関する質問から対象となる支援制度を絞り込んでいく機能をナビゲーションと呼んでいます。

新型コロナにしても災害対応にしても、このナビゲーションが十分でないため、せっかくさまざまな支援制度があっても、必要な利用者に必要な支援制度の情報が届いていない例を数多く目の当たりにしてきました。

アスコエが構築してきたサイトでも、このナビゲーションの実現がカギとなっており、それを「支援ナビ」という名称で提供しています。

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この支援ナビ構築の時に、私たちアスコエが一番意識することは、「支援制度をよく理解する」ということです。支援制度を十分に理解しないと、それぞれの制度へ分岐し、導いていくナビゲーションが機能しません。地道な取り組みですが、そうした準備をしっかり行うことは、私たちが一番大切にしている点です。


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