人材紹介と落語の共通点。最高の言葉で最高のサービスを。
FLUXの今野です。今日から四月、心機一転今日は私自身が人材業においての全てを教えて頂いた、敬愛する大師匠のお話ができればと考えております。
人材紹介の最大の武器は【言葉】
人材紹介の世界には様々なツールは存在しますが、人材紹介自体にプロダクトはほぼありません。案件の紹介、候補者の紹介、面接のFeedback、交渉などすべてメール、電話、対面コミュニケーションなど【言葉】を使い行っております。ヒアリングに関しては質問も多いのですが、この仕事のほとんどがしゃべることで前に進みます。
【活躍するコンサルタント】はこの【言葉】の使い方が秀逸で、相手が求めているコミュニケーションを即座に取ることができます。
そしてそんな人材の世界では【活躍するコンサルタント】がマネージャーとしてキャリアを歩んでいきます。
活躍するコンサルタント=良いマネージャーとは限らない!?
人材業界でマネジメントを目指す方であれば必ずしもこのフレーズを聞いたことがあるのではないでしょうか?
『あの人ってプレイヤーとしては優秀だけど~マネージャーとしてはね~..…』『売れてただけじゃいいマネージャにはなれないよ~』
こんなこと聞いたことがありませんか?ではよいマネージャーとは何が求められるのでしょうか?
こんな悩みにぶち当たった人材業4年目の私は、様々な本を買いあさり、いろいろな方に話をしてみたのですが、妙にアメリカナイズされていたり、0か100かみたいなものも多く、正直結論としてはケースバイケースであることがほとんどでした。
素晴らしい実績を誇った優秀な方が苦節の末マネジメントを学んだ~的なものが多く、その時はうまくいったかもしれませんが、再現性や、人材業界への転用はなかなかできませんでした。
淀五郎~そして三遊亭遊雀師匠との出会い
人材業界で迎えた8年目、私の中ではいまだに【マネジメントの正解】がわからず、悩んでいました。そんな時、ふとしたタイミングで新宿末廣亭に立ち寄りぼ~~っと落語を聞いていました。神田伯山さんが敬愛してやまないとよくラジオで話していた三遊亭遊雀師匠が神田伯山さんと交代でトリを飾るとのことでした。
10日間の興行の中で何度か通いっていた中、すべては9日目に起こりました。伯山さんがその日の様子を公開してくれていますので、今でも見れるという奇跡!
淀五郎の苦悩
あらすじは割愛させていただきますが、経験したことない役を演じきれずに悩んでいた淀五郎が、切腹をしようと最後の挨拶をしに中村仲蔵を訪れ、仲蔵よりもらったアドバイスで大化けする。といった話です。
やったことのない、経験したことのないことをするときに小手先でそれっぽいことをしてみたり、ほかの人間の言葉を使っていると、言葉に重みがなく人の心を動かせない。そこに苦しんでいた淀五郎。
経験したつもり、経験をしてそれに気持ちを乗せて演じろ!と仲蔵に諭されるシーンで、私はただただ立ち尽くすことしかできませんでした。
全身に電流が走るというか(実際にぎっくり腰になっていたのですが)、呼吸をするのも忘れるくらいでした。
AppleMusicで遊雀師匠の淀五郎が聞けるとは、、、この時代に生まれてよかった。
人材紹介のベンチマークは最高の話芸?
人材業界ではヒアリングにに関しては資格を取ることができます。キャリアカウンセリングの資格ですね。
ただこちらに関してはヒアリングに特化しているもので、企業の課題解決を人にお願いをするというコンサルテーションの要素が抜けています。
企業の面白さや、課題、悩みなどを初めて会った方に伝え、その方の心を動かす。心が動かなければ人は動きません。
そのために私たちがもっている唯一の武器は【言葉】と【伝え方】になります。【言葉】と【伝え方=伝承】には資格はありません。
資格がないということは、測ることができない。基準を決めることができていない。ということです。となると【教えること】に再現性はなく、感覚の世界になります。
しかしながら同じく、言葉で勝負をしている落語の世界には【人間国宝】が存在します。国が認めた無形文化財です。人ではなく、その人の話し方が文化財になっています。
また落語家の方々はお弟子さんをはじめとした方々に技を継承していきます。もちろん技の継承は【言葉】だけとなります。
つまり日本という国において最高峰の話し方は、ビジネス界でも、キャリアコンサルタントの資格保有者でもなく【落語家】の方々という見方を私はしております。
江戸時代の話を小学生でも笑える話に変え話す。人の心を動かす話を座布団一枚でしてみせる。私の人材紹介の話し方におけるベンチマークは落語家の先生方です。
人生の師:遊雀師匠との出会い
淀五郎で衝撃を受けた私は、より正しい人材紹介を突き詰めるために転職を決意しました。(大分すっ飛ばしてますが)
もともと迷っていた自分のキャリアでしたが、舞台から
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『いいかい、こっからだって。今までの苦労は、苦労じゃねえって。しっかりおやり!』
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とあたかも私自身に言っていただいているような喝を頂き、とことんやってやろうと決め、前職を退職し、自分が正しいと思う道で勝負をしようと思いました。
そのお礼をどうしても伝えないと気が済まず、出待ちや独演会などに通いつめ、ご一緒にお酒を交わす機会に恵まれました。
緊張と感動でうまく言葉が出てこずにめちゃめちゃな感謝の伝え方になりましたが、遊雀師匠はずっと笑顔で私の話を聞いてくれ、最後は外まで見送り来てくれ、『しっかりやれよ』と喝を入れてくれました。
師匠からの教え
この出会いの後、師匠から定期的に人生において大事なこと、また生き方の指南をいただけております。真打の大先生にも関わらず、毎回何十分も1オン1をしていただき、最近ではようやく師匠の目を見ながら話せるようになってきました。笑
32歳で真打になられた師匠から、その時の悩みや、どう乗り越えたかなども聞くことができて本当に感無量です。
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『俺も今野ちゃんと同じ年齢の時に真打になり、いろいろ怖かったけど小三治師匠からいろいろ教わった』
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その時のお話を聞いた時には自然と涙が止まりませんでした。
その中でも一番印象的なお話は、【覚悟】のお話でした。
前人未踏の領域に踏み込む際や、初めてやるときなど、はどれだけやっても緊張や、不安は消えないものです。
それをどうにかしてやわらげよう、ごまかそうとするのではなく、【覚悟】を決めること。決めの問題。と教わり、私自身気持ちが決まりました。
これからの進む道。
師匠との出会い、教え、周りにいてくれる仲間のためにも、覚悟を決め、比べるのは失礼ですが、人材紹介で最高【言葉】を使い、様々な企業の課題を人材の力で解決していこうと、改めて決めることができています。
4月から新しい1年が始まるな~と思いながら甲子園決勝を見ていたら、そのあとNHKで師匠が、淀五郎に惚れた男の話、【四段目】を披露されておりました。
あまり採用や、人事に関係のない話題とはなりましたが、ぜひ皆さんも気になった方は寄席に足を運んでみてください。思っているよりも気軽に行けますので!。
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