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不登校に関する備忘メモ②(取り得る選択肢と我が家の事例)

前回は、子どもが不登校になったときに知っておきたい「キーワード」等をまとめてみましたが、今回はそのキーワードを図に落とし込みながら、具体的に取り得る選択肢について整理してみました。パッと見で分かるような図って、意外となかったのではないかと思っていますので、同じ悩みをお持ちのご家族の方に少しでもお役に立てたら嬉しいです!
また、我が家の事例や近況にも触れてみたいと思います。

なお、前回同様、以下の記載は、あくまで自分たち家族の経験をもとに、現時点で把握した情報を元にしていますので、不十分または偏った部分もあるかと思います。不登校児も小学校中学年~中学生ぐらいをイメージしています。その点は、あらかじめご了承頂ければと思います。


1.子どもが不登校になった場合に取り得る選択肢

不登校児の取り得る選択肢

不登校がどの段階にあるかによっても対応が違ってくるかと思いますが、初期段階ということであれば、まずは「学校の先生」に相談したり、その延長線上で「スクールカウンセラー」の方に相談するということになるかと思います。

また、学校からは、地域の「教育支援センター(適応指導教室)」や「児童相談所」に相談することを勧められることもあるかと思います。

「教育支援センター(適応指導教室)」とは、「市町村の教育委員会が、長期欠席をしている不登校の小中学生を対象に、学籍のある学校とは別に、市町村の公的な施設のどこかに部屋を用意し、そこで学習の援助をしながら本籍校に復帰できることを目標に運営している教室」です。こちらは文部科学省の管轄のようです。

「児童相談所」とは、「児童福祉法第12条に基づき、各都道府県に設けられた児童福祉の専門機関」です。こちらは厚生労働省の管轄のようです。

ここまでは、基本的に「学校に復帰させること」が主な目的となっています。また、いずれも公的な機関であることから「無償」でサポートを受けることができます。

しかし、「学校」という仕組みそのものが合わないというお子さんもいらっしゃるかと思います。そういった場合には、「フリースクール(通学型)」を選択することになります。フリースクールの定義は難しいですが、ここでは「主に不登校の子どもを対象とした、既存の学校とは異なる機関や施設」と考えて頂ければと思います。例えば、有名なところでは、1985年から開設されている「東京シューレ」や、ネット高校で最近有名になった「N高」の中学校版である「N中等部」といったところがあります。一口にフリースクールと言っても、各施設が目標とするものは結構異なっていて、中には学校復帰を目的としているようなところもあるようです。そういう意味では、公的な支援機関と明確に線引きすることは難しいのかもしれません。また、公的な支援がないため、お金がかかるというところは特に注意が必要です。不登校は本当にお金がかかります・・・

さらに場合によっては、「メンタルクリニック」を活用するということも考えられるかと思います。実際、不登校が長期間にわたるようになってくると、学校の先生やスクールカウンセラーの方などからも、近くの医療機関の紹介を受けることになると思います。

以上は、いずれも子どもが「外出できる」といった前提に立っています。ところが、不登校が深刻になってくると、そもそも子どもが「家から出られない」「家から出るのが難しい」ということが生じてくるようになります。そうすると、取り得る選択肢も変わってきます。

例えば、単純に学校の友達と合わないから学校には行きたくないけど、学校の勉強は好きということであれば、「家庭教師」や「通信教育」、「タブレット学習」という選択肢もあるかと思います。

一方で、学校の仕組みそのものが合わなかったり、他人と直接接することに抵抗があったりするようであれば、「フリースクール(オンライン型)」という選択肢や、家庭に拠点を置いて学習を行う「ホームエデュケーション」や「ホームスクーリング」といった選択肢が考えられるかと思います。先ほどご紹介した「東京シューレ」の在宅版として「ホームシューレ」がありますし、「N中等部」には今春から待望の「ネットコース」ができました。

本当は、家から出ることが難しい子ども向けに医療機関のサポートも欲しいところですが、現状、「オンラインでのメンタル診療」は法律上行えないようなので、ここは法規制の緩和を強く望みたいところです。

上の図では、「外出が難しい」までしか記載していませんが、お子さんの状況によっては、自分の部屋に引きこもって「家族ですら顔を合わせることが難しい」といったこともあるかと思いますので、そうした場合には、またさらに取り得る選択肢は違ってくるかと思います。

また、分かりやすくするために、図では分類分けを行っていますが、実際にはキレイには分けれなかったり、重なってくるような部分もあるかと思います。いずれにしろ、選択肢は必ずしも「外出ができる」「外出が難しい」かで、図の上側と下側とで分ける必要もないですし、どれか一つに絞る必要もなく、色々と併用してみながら、自分の子どもに合ったものを選択していくしかないのかなと思っています。ただ、一つ大きなポイントとしては、学校に戻ることを目指すかどうかというところはあるのかもしれません。

※上記内の言葉の説明は、wikipediaから引用している部分があります。


2.我が家の事例と近況

ちなみに我が家では、学校の先生、スクールカウンセラーさん、教育支援センター、メンタルクリニック等、色々と経験していく中で、いわゆる普通の学校に戻るという選択肢を考えることがなくなり、N中等部(通学コース)に辿り着きましたが、それでもやはり「通学する」ということが難しかったため、ホームエデューケーションを行っていく方向に舵を切り、その手段の一つとして、今は今春から開校したN中等部のネットコースを活用することにしています。

奇しくも、世の中はコロナ騒動で、既存の学校が休校となる中、元々オンラインが前提のN中は、入学式以外は通常通りの授業を開始し、息子のKも約1年半ぶりに初めて授業に参加することができました。

初日の入学ガイダンスは全国で約300人程の中学生がZoomにて参加し、次の日からはクラスごとに30人程度で授業を受けました。Kは自分の顔を映すことはできませんでしたが、Macに映る先生や仲間の顔を見て、声を聞いて、滝のように流れてくるチャットを見ながら楽しんでいました。先生側も、顔を出せない生徒に気を遣ってくれているようで、案内も丁寧でしたし、優しく対応してくれていて、有難い限りでした。

普通の家庭から見れば、オンラインなのに顔出しもできなくて・・・と思われるかもしれませんが、我が家では相当大きな一歩です。赤ちゃんに例えるなら、初めて寝返りをしたときのように。初めて寝返りをしたときは、あんなに褒めていたのに、いつの間にかそういうこともなくなってしまい、あれもして欲しい、こうなって欲しいなど、ついつい親としての欲が出てきてしまう・・・。そりゃあ、当然、子どもも息苦しくなりますよね(-_-;)
そこで今は、足を骨折して入院した患者のリハビリ期間と考えるようにしようと思いました。骨折したんだから歩けなくて当然。ベッドから起き上がれるだけでも相当スゴイ。心のキズは身体みたいに見えないから、その深さは分からない。本当は骨折レベルじゃ済んでいないのかもしれない。だから、当面は、こういった調子で子どもを見守っていきたいと思っています。

ホームエデュケーションを選択する場合、本当に家庭だけで一人前の子どもに育つのか(独り立ちできるようになるのか)、どうしても心配になるかと思いますが、そこは「子どもは家庭でじゅうぶん育つ(NPO法人東京シューレ編)」という本の中で、不登校の子どもと長年向き合ってこられた奥地圭子さんが「社会性の基礎は、家庭にある」「ホームエデュケーションを選ぶ最大のメリットは、家にいて育つことを罪悪視、劣等視しないで、自分に自信と誇りをもって成長していくこと」と記されていましたので、それを心の支えにしていこうと思っています。

日本では、「不登校」という言葉がどうしてもマイナスイメージを伴ってしまうので、「ホームエデュケーション」という積極的な言葉をもっと広げていきたいですね。そのためには、ホームエデュケーションの成功事例がもっともっと共有されていく必要がありそうですね。


3.コロナを通して

コロナは、我が家の不登校の子どもに関してのみ言えば、正直、ほとんど何の影響もありません(今、世の中が大変なことは度外視して書いていますのでご容赦ください)。
なぜなら、ほぼ家を出ない生活スタイルなので感染リスクもほとんどないですし、学校の休校も全く関係ありません。
むしろ、世の中が我が家の状態に近づいてきたとすら感じていました。
子どもが一日中家にいてストレスになる、一日中ゲームばかりしていて困る、学校の給食がなくて食事の準備が大変、運動しないから太る、お互い家にいるストレスで家庭内不和が増える。そういったコロナ関連のニュース記事を見る度に、少し前にまさしく自分たちが経験してきたことだと思いました。
そのように思っていた矢先、会社の人がシェアしてくれた乙武さんのこちらの記事を見て、本当に的を射ているなと思いました。

「少数派」になってみないと分からないことって、やっぱりありますよね。
「当たり前」と思っていたことって、何の疑問も持とうとしないですよね。でも、それが突然、当たり前じゃなくなると、自分はなぜそんなに固執していたんだろう?と思いますよね。

このコロナ騒動を通して、物事をどう捉えられるようになるか。これからの世の中は、それがますます大事になっていきそうですね。

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