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創業2年目のスタートアップで感じた企業理念の重要性

株式会社ブレーンバディ執行役員CHROの永井です。
CHROに就任したこのタイミングで、これまでの組織の歩みを振り返っていこうと思いnoteを書き始めました。また、人材・組織開発に向き合う中での気づきや学びも今後記事としてまとめていきます。

3回目の今回は、MissionVisionなどの企業理念がいかに重要だと感じたか書いていきます。

そもそも企業理念って何?なんで重要なの?

企業理念は、会社経営の中で最も重要なものだと捉えています。
創業してから今に至るまでに、企業理念が如何に重要なものかを身にしみて感じてきました。
そもそも企業理念とは、「会社を営む目的」です。つまり、会社の向かう方向や何をするのかは、企業理念によって決められます。
組織に区切って考えた時も同じで、企業理念は最も重要なものだと思います。組織とは、「同一目的を実現するために協働する2人以上の集合体」です。その目的が企業理念となります。

企業理念をよく聞く言葉にすると

スタートアップやベンチャー企業では、よく企業理念をMissionやVisionと言う言葉で表現します。「色々あるけど一体どれが大切で何を作らないといけないのだろう?」と悩まれた方もいらっしゃるのではないでしょうか。
結論、正解は無いと思います。その組織、会社の状況や目指すべき方向性で必要なものは変わってきます。
ただ、それぞれの意味・役割は明確にした方が良いです。言葉が多くなると浸透から遠ざかります。僕は2年間を通して、意味役割を考える際に時間軸で考えるとわかり易いと思いました。時間軸で考えると以下のようになるのではないでしょうか?

当社の定義した概念図

MissionやVisionは未来。一方で、PurposeやValueは今を表現しています。この概念的な捉え方は、正直さまざまありますが、その会社で明確に定義することをおすすめします。そして、その構造を見える化しておくと社内浸透もしやすいと思います。

概念を整理する時の参考になる資料を紹介しておきます。

未来は今の積み重ね

MissionやVisionをつくり満足する企業があれば要注意です。MissionやVisionは、あくまで旗印だと認識した方が良いです。未来の抽象度が高い旗印だけでは、多くの人は何をやって良いのかわからなくなります。
ではどうしたら良いのか?とにかく、「今の行動」にフォーカスすることが重要です。一般的なお話しをしますが、未来は今の行動の積み重ねによって創り上げられます。つまり、今をデザインすることが創りたい未来をデザインすることにつながります。だからこそ、当社でも今の行動をデザインすることに注力しています。Purposeであり続けるために、Puroposeをより具体化し、行動レベルにまで落とし込んだValue(行動指針)を設け、Value浸透に最注力しています。

ブレーンバディの理念

ここで改めて当社の理念をご紹介します。時間軸もイメージしながら見ていただければ嬉しいです。

Mission/Vision/Purpose
6values

Mission:組織の目標
Vision:組織の目標が達成された先の社会
Purpose:組織の存在意義
Values:行動指針

企業理念浸透に必要な3つのポイント

企業理念が策定できたら次は浸透です。「なかなか浸透しない」「言葉だけ覚えてくれたけど本質を理解してくれない」などと悩まれる人事や経営者の方はたくさんいらっしゃるかと思います。今回は、僕の経験から理念浸透で重要だと感じたポイントを3つご紹介します。

<3つのポイント>
①採用
②関係性の質
③継続

この3つが何より大切だと考えています。理念浸透のために、これまで様々な施策に取り組んできました。他社の取り組みを参考にして取り組んだこともあります。ただ、この3つのポイントを抑えることが何より浸透を推進して行きます。なぜそう考えるか理由を書いて行きます。

理念浸透のポイント① 採用

やはり王道ですが、「誰をバスに乗せるか」は大切です。特にスタートアップの初期は、「美しいと思うものが同じ・似ている」人を集めないと理念浸透どころか組織が壊れます。
人間には個性があり何を美しいと思うか・何にモチベーティブされるか・何を実現したいかは様々です。そして、数十年の人生で培われたこの個性を、急に会社の枠にはめるというのは如何に乱暴で、難易度が高いことか察しがつくかと思います。だからこそ、まずは美しいと思うものが同じ・似ている人を集め、組織をつくっていくことで、スピード感を持って強度高く理念を浸透させ企業文化の土台を構築していけるのではないでしょうか。

理念浸透のポイント② 関係性の質

理念に共感した人達が集まったとしても、何もしなければ理念浸透は実現できません。
浸透施策は色々あると思いますが、まずやるべきことは「関係性の質を高めること」です。一般的に理念浸透という結果にフォーカスしがちですが、人が集まる組織である以上、関係性の質は無視できません。

<関係性の質って?>

成功循環モデル / MITダニエル・キム氏 『引用:図解 組織開発入門』

ここで言っている関係性の質とは、MIT組織学習センターのダニエル・キム氏が提唱している成功循環モデルのことです。このモデルは、組織の成果を上げるためには、KPIや行動では無く、関係の質を育むことで「思考の質→行動の質→結果の質」の順に質を高め結果(成果)を高められるというものです。

<なぜ関係性の質が理念浸透を推進するのか?>
結論から言うと、関係性の質を高めることで健全な対話が生まれ、対話を通して企業理念が浸透していくためです。
創業期は、理念を浸透させ企業文化の土台を創るフェーズです。そのため、HOWを決めるだけの議論では無く、WHYから対話し共創することが幾度もあります。その対話を通して理念に対する解像度が上がり、自分ごと化していきます。
だからこそ、「対話」できる環境であるかは非常に重要なポイントです。
では、対話できる環境とはどのような環境でしょうか?それは心理的安全性が高い環境です。心理的安全性とは、単に優しく受け入れられる環境では無く、率直に意見が言い合える環境だと考えています。心理的安全性を高い状態で作るために、関係性の質を高めることは何より大切です。そのため、関係性の質を高めることが、理念浸透を推進すると考えています。

<どうやって関係性の質を高めたら良いか?>
創業初期の理想状態は、一緒に働くメンバーが相互依存関係になることだと考えています。相互依存関係の基盤は信頼であり、まずは「相手のことを理解する」ことから始まります。
当社でも相互理解はとても大切にしています。創業メンバーの3人は、創業直前に、現在までの人生と会社を創って何をやりたいかを開示し合いました。
中途メンバーが一気に入り始めたタイミングには、正社員全員と入社予定メンバーが人生ストーリーを開示し合いました。そこで、お互いの人生に興味を持ち、その人の人柄や価値観、ブレーンバディで働く理由を知りました。もちろん、1回の場で相互理解が完結し、関係性の質を高め切れる訳ではないです。以降も定期的にお互いの人生の話を共有し合う場や、コミュニケーションを活性化させる施策を意図的に設計しています。
もちろん、個人間の関係性の質だけではなく、会社と個人の関係性の質を高めるために、会社の情報もオープンに開示し続けています。

<関係性の質を高めてどうなったか>

相手に対する無駄な思考が圧倒的に減ります。それは会社に対してもです。結果、健全な対話ができるようになり、企業文化に真っ直ぐ向き合うことができています。企業理念についてWHYから考え、対話しながら自分ごと化していくことができ始めていると思います。

理念浸透のポイント③ 継続

最後のポイントは「継続」です。採用、関係性の質を高めること、浸透させるために考え行動することは、一過性のものでは意味がありません。本気で浸透させたいと思い続け、採用・関係性の質・その他の施策も継続し続けることで理念は組織に浸透して行きます。
「当たり前のことでは?」と思われる方もいると思います。ただ、スタートアップで生き死にがかかっている状況下で継続することはとても難しいです。ただ、継続しないと意味がないです。また、理念浸透ができず優れた企業文化を醸成することもできません。組織は不可逆になることが多いからこそ、採用も関係性の質もその他施策も信念を持って継続的に実行し続けることが非常に重要です。

これから企業理念をどう浸透させていきたいか

企業理念を軸にメンバーが自分で意思決定できるようになっていきたいです。企業理念は、創業者より偉く尊いものだと考えています。全員が企業理念を軸に意思決定し行動できるようになれば、組織の拡大ともに意思決定スピードが遅くなり成長スピードの鈍化が生まれることもないと思います。そして、いわゆる組織の壁を越えられる要素になるとも考えています。

次回は、ブレーンバディで働く人に対する考え方

相互理解の文化や、人生ストーリーを共有し合うという少し独特な文化を持っている当社。そんなブレーンバディが、人をどのように捉えて向き合っているのかまとめていければと思います。


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