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スタートアップの人事評価

株式会社ブレーンバディ執行役員CHROの永井です。今回は、人事評価・報酬をテーマにした第2回目として、当社事例を用いてより具体的に人事評価・報酬制度について考えていければと思います。スタートアップのリアルと向き合う中での評価・報酬制度設計について、引き続き皆さんと一緒に考えられたら嬉しいです。

人事評価・報酬制度の考え方

人事評価・報酬制度の考え方については、前回のnoteで僕の考え方をまとめているので、ご興味がある方はご一読いただければ嬉しいです。

簡単にまとめると、人事評価・報酬制度で重要なことは、「納得感を醸成すること」です。評価・報酬制度は、内発的に動機付けをするものではなく、外発的な動機付けをするものです。また、衛生要因(不満の要素)を引き起こす要因となります。
人事評価・報酬制度が納得感あるものとして機能すれば、利益分配の公平性に限らず、企業文化の醸成や社員育成にも役立てることができると考えています。

ブレーンバディの人事評価・報酬制度

それでは早速、ブレーンバディの人事評価・報酬制度についてご紹介していきます。
今回は、敢えて現状(最新)のものではなく初期に作成した人事評価・報酬制度を取り上げて行きます。

当社では、人事評価・報酬制度の土台として人材に対してこのように考えを持っています。

ブレーンバディの人材ポリシー

人材ポリシーの起点は会社の理念です。理念と一貫性を持たせた人材ポリシーを設定し人事評価・報酬を含めた人事機能を有機的に作用させるようにしています。
当社の人事評価制度は、ブレーンバディとしてのあるべき姿を体現するための行動指針であるValuesを起点とした指標と、個人の市場価値を上げるためのビジネスグレードをベースに設計しました。

評価制度概要

階層は12階層(グレード1~12)で設計しています。組織状況に応じてどれくらい階層を設けるかは変わってくるかと思います。これは人材ポートフォリオ戦略にも関わってくるので、現在の組織規模と中長期(評価制度を運用する想定期間)の組織拡大を想定し、どれくらいの階層が適切か検討されると良いと思います。
また、評価の方針も会社によって異なって当然だと思います。期待役割でグレードを決める・定量の成果(実績)のみを評価するなど様々だと思います。評価軸(項目)も同様に異なって当然だと思います。

ただ、ここで注意したいのは黙示的な契約との一貫性です。黙示的契約は2つあります。

<2つの黙示的契約>
①ブランド契約:企業ブランドや業界の一般的な水準、口コミなどから読み取る黙示的契約
②心理的契約:非感情的で個人の解釈によって生まれる契約


特にスタートアップ企業は、採用ブランディングとして、会社の理念を全面に押し出し、アトラクトしているケースが多いと思います。そのため、理念(企業文化)が一種の契約となり、働く人は評価や報酬にも反映されると期待するものです。企業文化は全てに影響すると言われますが、評価・報酬にも当然のことながら影響します。

当社では、理念から人材ポリシーを設定し、評価・報酬制度を設計することで大筋の一貫性を持たせています。また、評価軸をValuesとビジネスグレードにすることも同様に会社からの黙示的契約に一貫性を持たせています。
バリューグレードは、「組織で勝つためにValuesを体現した組織づくりをしていく」という会社からの日々のメッセージングに対する一貫性。ビジネスグレードは、個人の自己実現に向けて市場価値を上げる支援をするというメッセージングに対する一貫性です。

設計以上に難しい実際の運用

評価制度には一貫性があるのになぜか不満が耐えない。という企業も多くあると思います。その場合は、運用に問題を抱えているケースが多いのではないでしょうか。どれだけ制度に一貫性があっても、評価者からの評価面談・伝達タイミングのコミュニケーションやメッセージングを間違えると、受けてはネガティブな気持ちになるものです。そのため評価面談の際に、納得感を確実に醸成することが重要です。納得感醸成のポイントは以下です。

<納得感醸成のポイント>
①公平性:他社と比較し分配が公平であるか
②明確性:評価基準が明確であるか
③共感:評価基準に共感できるか
④予測可能性:自分の行動や成果に対してサプライズ評価にならないか
⑤透明性:評価の内容とプロセスが透明であるか

当社では運用の際に、予測可能性を高めることに注意しています。予測可能性が低い状況とはサプライズ評価が発生する状態です。日常的に会話をする上で有効な手段として、評価制度を育成に活用することが有益ではないかと考えています。本人の自己実現にむけて、「この水準まで成長したいね」と会話をし、結果を定点で振り返っていくことで評価制度が育成に作用し、評価制度がより日常と密接になります。そうすると、評価者と被評家者の基準を日常的にすり合わせることができ、サプライズを防ぐことができると考えています。

評価・報酬制度も会社の企業文化によって変わるもの

ここまで全2回で人事評価・報酬についてまとめてきました。僕自身も、他社事例など様々な人事評価制度を見てきました。社員が一定納得感を持ち、有機的に機能してしている人事評価・報酬制度は、どれも企業文化との一貫性が非常に高いです。企業がどのような人を育成していきたいのか、どのような当たり前基準を設けたいのかが人事評価では見えてきます。当社も今後の組織拡大と共に評価・報酬制度をアップデートし続けたいと考えています。


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