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雑記コラム

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物理探査に関係が薄い雑多なコラムをまとめました。
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#大学

みんなオジイちゃんに見えました

私が大学に入学した頃は、国立大学の先生や職員は国家公務員でした。その頃の先生たちの正式な身分は、『文部教官』でした。この頃はまだ、文部省と科学技術庁は独立した省庁でした。教授・助教授・助手は昔の呼び名で、今では教授・准教授・助教になっています。その他には、機械工作や実験補助をメインとした技術スタッフである技官がいました。技官の今の名称は技術職員です。 定年退職のことを昔は”退官”と言いましたが、これは国家公務員である”教官”が辞めるためです。今は国立大学法人というチョッと特

ひっそりした伊都キャンパス

この時期、どこの大学キャンパスも同じだと思いますが、一年で一番ひっそりとしています。少し前には定期試験が有ったり、卒論/修論の試問があったり、はたまた大学入試の二次試験があったりと、キャンパス内は賑やかでした。 しかし、全てのビッグイベントがほぼ終わった今の時期、大学に出てくる学生さんたちもマバラで、キャンパス内はとても静かです。ただし静かなのは今だけで、4月に入ると賑やかなキャンパスに戻ります。 それでは、教員や職員は暇なのかというと、実はその反対です。大学の暦は、4月

卒業式の思い出

今の時期は、中学校や高校の卒業式のシーズンです。もともとセレモニー的なものは苦手なので、小学校の卒業式を除けば、卒業式に思い出はほとんどありません。 小学校の卒業式は、何度も予行演習(卒業式の練習)をさせられたので、印象には残っています。ただし、何度も練習させられて本番の感動が殆どありませんでした。しかし、同級生の女子たちは結構泣いていて、すすり泣く声や、目を赤く腫らせた同級生が記憶にあります。私は、眼球がサハラ砂漠のように一滴も涙は出ませんでした。 中学校と高校の卒業式

教育と研究の狭間で

大学教員の重要な仕事は、教育と研究です。医学部や歯学部などの学生さんの大部分は医者/歯科医になるので、大学には”職業訓練的な側面”もありますが、その他の学部については将来の職業が決まっているわけではありません。ただし、工学部では産業に密接に関係した学部などもあります。 今でもそうですが、1年生や2年生の時には基礎的な学問を学びます。九大では昔は六本松地区に”教養部”というのがありましたが、今は教養部はなくなって、学生さんたちは基幹教育と言う名の下で基礎的な学問を学んでいます

教える方も楽じゃない

今日、半年ぶりくらいで学部の授業を行ないました。最近はオムニバス形式の講義も増えて、単発の授業は実施していましたが、通常の授業は久しぶりでした。九大はクォーター制(4学期制)を採用しているので、12月から1月にかけてが冬学期の講義になります。 以前のように前期と後期の二学期制なら、1コマの授業は週1回の授業で良かったのですが、4学期制だと週に2回も授業をする必要があります。曜日を変えて授業をする講義もありますが、私の場合は1日に2回の講義が組まれています。今日は2時間目(1

アジアの大学ランキング

人間は、何にでも順位を付けたがる動物のようです。昔は音楽業界でも、テレビやラジオでのランキング番組は当り前でした。しかし最近は、ランキング番組はあまり知りません。御多分に漏れず、大学にもランキングがつけられています。別にこちらからお願いした訳ではないようですが・・・。 イギリスの教育誌、タイムズ・ハイヤー・エデュケーション(略称THE)が、6月22日に、今年の『アジアの大学ランキング』を発表しました。トップ3は4年連続変化がなく、1位は清華大(中国)、2位は北京大(中国)、

”教えない教育”もある!?

九州大学の工学部では、数年前に改組があって、第Ⅰ群からⅥ群までの6つの学科のグループに分けました。私が授業を担当する地球資源システム工学科は、Ⅳ群に属しています。また、Ⅵ群はチョッと特殊で、大学に入学した後で希望の学科を選べるようになっています。ただし、希望が多いと成績順になってしまいますが・・・。 先週末にⅣ群の学生向けのオムニバス形式の授業をしてきました。これはⅣ群の学生がどの学科を選ぶのかをサポートする”学科/研究室紹介”の授業です。私は『地球を読み解く科学の眼鏡』と

東西南北+九州大学

まずは問題です。次の大学の中で実在しない大学はどれでしょう? 1) 東九州大学 2) 西九州大学 3) 南九州大学 4) 北九州大学 5) 九州大学 さて、わかりましたか?。 無印の九州大学は、もちろん実在します。私が努めている九州大学は、九州帝國大学を起源とする歴史ある大学で、現在の正式名称は『国立大学法人九州大学』です。九州大学は福岡市西区元岡に本部を置いていて、略称は九大です。もっと詳しく知りたい方は、大学のWEBサイトで。 西九州大学は、佐賀県神埼市

行ったことがある大学

大学の教員は、大学に所属しているだけではなく、自身の研究に関係する学会にも会員として所属しています。私も国内外の5つの学会の会員になっています。学会では、年に1-2回の学術講演会(研究の発表会)が開催されます。幕張メッセみたいな大きな会場を借りて開催される場合もありますが、大学の教室や講堂を借りて開催される場合もあります。 そのため、日本各地の大学にお邪魔しました。北は北海道から、南は沖縄までです。自分でもよく覚えていないかもしれないので、北から順番に思い出してみます。

大学入試は最重要の仕事です。

昨日と一昨日、大学入試共通試験が全国一斉に行われました。全国一斉に実施するので、多少のトラブルはあったようですが、何とか無事に終わったようです。あまり知られていないかもしれませんが、試験監督は大学の教授や准教授が担当しています。どこかの会社にアウトソーシングして、大学に無関係な人達が実施しているのではないのです。 大学教員の主な仕事は、教育と研究です。しかし、普段あまり意識されない、大事な仕事があります。それは、”大学入試に関する仕事”です。入試業務では、大学の教員は主に試

学歴マウントの根底にあるもの

そもそもの話、実生活で充実している人は、自分から”学歴マウント”を取りに行く必要がありません。しかし厄介なのは、”もらい事故”のように他の人から学歴マウントを受けてしまうことです。 学歴マウントの根底には、”自分が納得できる大学に入れなかった”という劣等感が隠れている可能性があります。ひょっとすると、自分の納得する結果(第一希望の大学)を得られなかったから、自分より劣っている(と勝手に思い込んで)他人を攻撃することで、心の平静を保っているのかもしれません。 明白な事実です

学歴マウントについて

そもそも、”マウントを取る”というのは、自分が相手より勝っている要素を持ち出して、相手より優位に立とうとする行為のことです。その中でも、自分が高学歴であることを自慢したり、反対に相手の学歴が低いことをけなしたりすることを”学歴マウント(を取る)”と言います。例えば、大卒の人が中卒・高卒、短大や専門卒を馬鹿にしたり、高学歴の人が自分の学歴を自慢して、周囲を不快にさせることです。 幸い、個人的には学歴マウントを受けた記憶は一回だけです。同じ大学でも偏差値によって、トップの医学部

私は発明家!

 私は大学に属する教員で、物理探査に関する教育と研究を担当としています。大学教員の研究成果は、通常は学術論文として発表されます。また、研究過程で新しく発見した技術や方法は、特許として登録される場合もあります。なので、私は研究者であるし、いくつかの特許を有する発明家でもあります。ただし、大学での発明のステータスは低く、学術論文(英文)のステータスとはかけ離れています。正直に言えば、発明はそれほど重要視されていません。  「発明とは自然法則を利用した技術的思想の創作のうち高度の