見出し画像

私は発明家!

 私は大学に属する教員で、物理探査に関する教育と研究を担当としています。大学教員の研究成果は、通常は学術論文として発表されます。また、研究過程で新しく発見した技術や方法は、特許として登録される場合もあります。なので、私は研究者であるし、いくつかの特許を有する発明家でもあります。ただし、大学での発明のステータスは低く、学術論文(英文)のステータスとはかけ離れています。正直に言えば、発明はそれほど重要視されていません。

 「発明とは自然法則を利用した技術的思想の創作のうち高度のものをいう」と、特許権で保護される”発明”は定義されています。発明家(inventor)は、発明を行う個人を指します。その中には個人発明家と呼ばれる、組織に属さず個人で発明を行う人もいます。世界的な発明家と言えばエジソンです。私の発明は複数の研究者との研究成果なので、個人発明家ではありません。私が関係している特許は以下の6件ですが、国際特許を兼ねているものも3件あります。さらに、特許の出願だけなら20件くらいあります。

特許第6556516号 2019年8月 海洋探査装置及び海洋探査方法
特許第6419731号 2018年11月 地中掘削位置を計測する方法及び地中掘削位置計測装置
特許第5984576号 2016年9月 非開削掘削機の情報伝送装置
特許第5519204号 2014年11月 マリンホース
特許第5453611号 2014年1月 地下流体観測装置及び測定方法
特許第4644810号 2010年12月 地下埋設物探査装置及び地下埋設物探査方法

 大学に所属する教員の特許は大学に帰属するので、出願前に大学に譲渡します。運よく特許を取得できても、実用化されなければ利益(お金)を生みません。特許を継続するためには、特許を取得した後も権利の継続料を支払う必要があります。そのため、長期間利用されない特許は、個人に返却される場合があります。

 特許第5453611号『地下流体観測装置及び測定方法』は、個人に返却された特許で、私ともう一人の研究者で所有しています。しかし、この特許が返却された直後に、この特許を使ったプロジェクトが始まりました。それが、2021年度から始まったMT法の機器開発に関する大型プロジェクトです。皮肉なことに、”大学が不要だと返却した特許”が大型プロジェクトのキッカケを作りました。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?