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教育と研究の狭間で

大学教員の重要な仕事は、教育と研究です。医学部や歯学部などの学生さんの大部分は医者/歯科医になるので、大学には”職業訓練的な側面”もありますが、その他の学部については将来の職業が決まっているわけではありません。ただし、工学部では産業に密接に関係した学部などもあります。

今でもそうですが、1年生や2年生の時には基礎的な学問を学びます。九大では昔は六本松地区に”教養部”というのがありましたが、今は教養部はなくなって、学生さんたちは基幹教育と言う名の下で基礎的な学問を学んでいます。

大学で教育が重要なのは当たり前ですが、大学の評価では”教育の質”より”研究の質”に重きが置かれている気がします。もちろん、キチンとした学問の背景を持った教員たちが居なければ学生に教えることは出来ませんが・・・。

昔ある先生からこんなことを聞かれました。「大学が大学であるための条件は何だと思うか?。もっと簡単な質問で言い換えると、何があれば大学と言えるのか?」。哲学的で答えに窮する質問なので、「よくわかりません」と答えると、その先生は「学生と教員だよ」と言いました。「大学に必要なのは、何かを学びたい学生と、その学生を教えることができる教員がいれば成立するんだよ。建物や研究設備は二の次なんだよ」と続けました。

これは極論かもしれませんが、大学の基盤は”学生と教員”です。つまり、教育こそが大学の根幹です。しかし、こんな事を書いている私も、最近は自分のリソースの大部分を研究につぎ込んでいます。”研究馬鹿”と言う言葉もありますが、それほど研究は魅力的です。ただし、教育を疎かにしては本末転倒です。自戒を込めて。

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