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父の命日にシンガポールでMegaDeathを、企画展「MINIMALISM: SPACE. LIGHT. OBJECT.」を見た時の話

父の命日に、シンガポールで宮島達男のMegaDeathを見た。シンガポールのNational Gallery SingaporeとArtScience Museumで始まった、東南アジア地域では初となるミニマリズムに関する企画展「MINIMALISM: SPACE. LIGHT. OBJECT.」を見た時の話。非常によく企画されたものだった。1950年代から現在に至るまでのミニマルアートの変遷、とりわけアジアのアートとの関係性に着目した構成は、シンガポールで開催されることの意義を大いに伝えてくれたような気がした。

順路通りに進むと、絵画的な表現を極限まで排除した、真っ黒に塗られたキャンバスを目の当たりにすることになるんだけれども、これらはMark RothkoやFrank Stella、そして桑山忠明という具合に、それぞれ別々のアーティストによるカラーフィールドペインティングの展示。その後に、連続性・反復性へと向かったDonal JuddやRobert Morrisなどが続き、個人的に好きなRichard Sellaの巨大彫刻以前の初期作品も。そして関根伸夫や李禹煥など、日本で出現した「もの派」についての展示があり、禅や仏教の精神性との関係を探る構成へと続く。ネオンや蛍光灯を使うDan Flavin、そしてOlafur EliassonやAnish Kapoorなど引っ張りだこのアーティストの作品も集められ、非常に見応えがあった。そういえばAi Weiweiの”Sunflower Seeds”含め、どうやって持ってきて、どうやって展示したのか、その仕様も気になって仕方がなかった。

ところで、本企画展も非常に面白いのでオススメなんだけれども、National Gallery Singaporeの存在自体もなかなか面白い。ここ、シンガポール最大のコレクションを誇る国立の美術館なんだけれども、シティホールと旧最高裁判所という二つの歴史的な建造物を公共美術館として大胆にリノベーションしてできたところなんですよね。既存建造物を美術館へと改装する事例でいうと、元火力発電所だったTate Modernやナビスコの工場だったDia:Beaconなどが挙げられるけれども、National Gallery Singaporeはそれに匹敵する好例なんじゃないでしょうか。

企画展「MINIMALISM: SPACE. LIGHT. OBJECT.」は、シンガポールのNational Gallery SingaporeとArtScience Museumで開催中。会期は2019年4月19日まで。



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