見出し画像

人肌の温もりを大切に(カターレ富山/年頭インタビュー)

※本稿について
 先日発刊されたカターレ富山ファンクラブ会報誌に掲載した私の年頭所感インタビューです。代表3年目となり、このクラブのビジョンや目指す方向などを取り上げています。当note用として、少し加筆もしています。
よかったらご覧ください。

ーindexー 
🟦興行 : 集客の決め手
🟦スポンサー営業 : 感動はタダではjy買えない
🟦経営 : 伝える力の重要性
🟦 財務 : 県民クラブとしての財務基盤強化
🟦サッカー : ノンストップシームレスに
🟦チーム : 打たれ強く逞しく
🟦地域事業 : 県全体へ拡充
🟦VISION : 人肌の温もりを大切に

2023シーズンスタート❗️

 カターレ富山はJリーグ参入から15年目のシーズンを迎える。地域に愛されるクラブを目指し、さらに高く羽ばたきたい。左伴繁雄社長に新シーズンに向けた取り組みと抱負を聞いた。

🟦興行 : 集客の決め手


ー新しいシーズンが始まります。経営面でどんな取り組みを考えていますか。

 スタジアムに新たなファンを呼び込む努力をしなければなりません。昨年はホームゲーム1試合平均4千人の来場を目指しましたが、2872人に止まりました。試合開催日にスタジアム周辺がにぎわうヨーロッパのように、まずは多くの人に集まってもらおうと場外の催しや飲食を充実させてきましたがそれだけでは足りない。どうすればよいのかを考え、人が人を呼ぶ口コミの力に注目しています。浦和や松本などのクラブではファンやサポーターがその熱を周囲に伝えたことで、ある時点から加速度的に来場者数が増えました。居酒屋や喫茶店など人々が集い語り合う場所を拠点に輪が広がっています。実際にスタジアムに足を運び、「感動した」「楽しかった」という声が最も説得力があるからだと思います。カターレでも一昨年からアンバサダー制度を設けて約100人のみなさんに集客への支援をお願いしています。これをさらに推進し、より多くの方に、友人や知人に働きかけていただけるような仕組みづくりに力を入れます。認知度を高めるための発信、PRを継続しつつ、より多くの人に共感を広げるところで協力していただけたらと思います。

🟦スポンサー営業 : 感動はタダでは買えない

「YKK AP」ユニフォーム胸スポンサー決定記者会見

̶    売上増や増資によって財務基盤の強化は進んでいます。トップチームの胸スポンサーにYKK APが復帰することも決まりました。 

 J2に定着するにはクラブとしての年間収益10億円がひとつのラインになるとみています。リーグからの分配金を除くと約8億円の年商が必要です。カターレは21年度が約6億3千万円で、22年度は7億円に達する見込み。新年度は8億円に乗せたいと考えています。J2の上位に食い込み、J1昇格を目指すためにはさらにクラブの規模を大きくしなければなりません。スポンサーを増やすとともに、1社当たりの単価を上げていく努力も始めています。感動をタダで買うことはできません。地域の期待に応えられるように、カターレに投資していただきたいと思います。

🟦経営 : 伝える力の重要性

2023シーズン新体制発表会での所信表明

 クラブ経営において、収益とトップチームの成績には一定の法則があります。社長に就任して、カターレの株主やスポンサーにはそういったことに対する理解がまだまだ不足していると感じました。先ほどファン、サポーターのみなさんにカターレの魅力を周囲に伝えていただくように協力をお願いしましたが、わたし自身は昇格後のシナリオも示しながら企業の方々に資金面での支援とその必要性についてしっかり伝えていかなければなりません。以上事業面、経営面という2つの領域での「伝える力」が今年のテーマと言えるでしょう。

🟦財務 : 県民クラブとしての財務基盤強化


 カターレは地元企業32社が応分に株を持ち合うかたちで発足しました。親会社はなく、赤字の際に損失補填を求めることはできません。スポーツビジネスは年度ごとの浮き沈みが大きいため、リスク管理のために増資が必要でした。また、真の県民クラブになるためにも株主の門戸を広げ、組織活性化につなげたいと考えています。ただ、22年度は当初想定した以上に赤字が膨らみました。新年度はコストを削減するために経費を細かく管理し、単年度黒字を達成したいと思います。

🟦サッカー : ノンストップシームレスに


ートップチームは昨季途中に就任した小田切道治監督が引き続き指揮を執ります。小田切監督への期待を聞かせてください。

 昨年はシーズン途中の難しい状況下で小田切監督に指揮を任せることになってしまいましたが、見ている人がワクワクする攻撃的なサッカーに大胆にチャレンジしてくれたと評価しています。チームをどのように強化していくかについて明確なビジョンを彼は持っており、今季も指揮をゆだねることを決めました。小田切監督は攻守の切り替えが早く、常に動きのあるシームレスなサッカーを志向しています。彼と話していて、わたしが湘南の取締役だったころトップチームを指揮していた曺貴裁監督が目指したサッカーと似たイメージを持ちました。戦力補強は控え目にみえるかもしれませんが、攻撃陣は活用の仕方で昨季以上の働きが見込める。コーチ時代から長く接してきて小田切監督が特性をよく把握している選手が多いことがチームづくりにおけるアドバンテージになると考えています。

🟦チーム ; 打たれ強く逞しく

ートップチームに対して何らかの要望は伝えていますか。 

 監督は理想のサッカーを追い求めるべきです。そのうえで地域の人々が望む結果を出すために方向性の調整が必要になる場合もあるでしょうが、その際の責任はクラブが負わなければなりません。クラブとして求めるのは、プロアスリートとして90分走り切ること、1対1と球際で負けないこと、最後まであきらめないことの4つだけ。しかし、これは必ずやってくれと伝えています。その上の段階として選手個々としてスキルを伸ばし、チームとして戦術を構築していかなければなりませんが、監督のサッカー観の下で選手それぞれが持ち味を発揮してくれたらよいと思います。昨年は試合ごとに発揮するパフォーマンスにぶれがあり、強い時と弱い時の差が大きかった。安っぽい失点も多かったように思います。それらも踏まえて小田切監督は打たれ強い雑草のようなチームを目指し、練習から細部にこだわっていく方針を示しています。

🟦地域事業 : 県全体へ拡充

インクルーシブフットボール in 高岡市

̶    カターレはどんなクラブを目指すのか。改めて抱負を聞かせてください。 

 富山に住んでいるみなさんに「カターレがあって良かった」と喜んでもらいたい。J2復帰もそのためにあります。サッカー以外にも喜んでいただける方法は多くあり、Jリーグのシャレンアウォーズで表彰された「Be supporters」は代表的なものです。健康、福祉、教育、環境を切り口に地域と協働してSDGs推進に取り組むカターレ・ザ・ユートピア事業にも多くの企業から賛同をいただいています。これらの地域貢献活動をさらに体系化して県内全域に広げながら、併せて収益にもつなげていきます。スクール事業もさらに充実させていきます。富山から日本代表選手を輩出したいですね。

🟦VISION : 人肌の温もりを大切に


 わたしたちは人肌の温もりを大切にした仕事を重ねていかなければなりません。人の気持ち、喜怒哀楽が分かるクラブでありたいと思っています。昨年はファン、サポーターのみなさんとの絆の深まりを感じたシーズンでした。リーグ終盤の藤枝戦で0-4の状況でも誰も席を立つことなく、最後に1点返した場面で大きな歓声が上がったのが印象深い。これまであまり経験したことのない雰囲気でした。家族のような関係ができつつあると感じます。そういったカターレファミリーをみなさんの力も借りながら増やし、クラブを大きくしていきたいと思います。求める結果を挙げるとするならJ1優勝しかありません。シャーレのアルプス越えはカターレが成し遂げるんだという気概を持って取り組んでいきます。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?