植物学者に学ぶライフハック

先日、仕事で植物学者に会う機会がありました。
植物の「生き方」に興味があって、研究者になったという先生。道に咲いている花や、変わった環境で成長する樹木を見ると、「どうしてここで咲いているんだろう」「どうやって生きているんだろう」と気になって、飽きることがないと仰っていて、実際にとても楽しそうでした。

先生は植物だけでなく、変わった生き方や考え方をする知人や同僚に対しても、とても温かい視点を持っている方でした。きっと、植物の生き方を見つめるような眼差しで、人の生き方も興味を持って観察しているんだろうなぁと思います。

そして、先生の話を聞いてふと「これは…人生や人間関係にも応用できる!」と思ったことがいくつかあったので、ご紹介したいと思います。

それぞれ違う目的なのに、互いの役に立っている

例えば、蜂と花の関係。蜂は自分たちの食料にするために、花の蜜や花粉を集める。花は蜂が花粉を運ぶことで、新しい種ができる。花は子孫を残すために蜜を作り、蜂は食料を集めるために花粉を運ぶ。お互いが全く異なる目的で行動していて、相手の為に何かをしてあげようと思っている訳では無いのに、結果的に互いの役に立っている。

ここでのポイントは、結果としてWINーWINの関係である事なんだそうです。どちらかが搾取され続ける関係だと、長く続かない。互いが違う目的を持っているけど、相手にとっても良い効果がある。

自分を生かすために、相手にも生きていてもらう

ということですね。自分を押し殺すのでも、相手にひたすら言うことを聞かせるのでもなく、互いにとって心地よい関係を築く。会社においても、会社を存続するために、お客様の声を聞く。大企業は安定的に部品を得るために、下請けを大切にする。自分たちの利益だけを追求しすぎると、どこかで歪みが生じて、自分の首をも締めることになる。

一方で、花や蜂は互いの目的のために行動している訳ですから、互いが生き続けられれば、利他的になりすぎなくても良いんだよ、というメッセージにも感じました。

どんな行動もその人が生きる術

どうしてトマトは赤いのでしょうか?トマトは、光合成で葉を大きくし、実を増やす一方、紫外線によって発生する活性酸素を消すために、あのような色をしているそうです。真っ赤な色は、トマトの紫外線対策なんですね。

また沖縄でよく見るマングローブは、海水の中で生きるために、木の表面から不要な水分を捨てられる体をしているんだそうです。そう言えば、私たちが春先に嫌な思いをしているスギの花粉も杉の木にとっては生きるすべですね。

このように、変わった見た目や生態も、植物にとっては生きるための工夫だったりする。この話を聞いた帰り道、私がふと思い出したのは、会社の上司のことでした。社長や役員の顔色を伺い、会社という小さな組織での出世に躍起になって、家族や、時には読者も置き去りになっている。

そうした態度を見る度に、腹は立つし、うんざりもしてきました。でも、そうした行動すらも、彼らが必死に生きるすべなのかと思うと、ふっと怒りが収まりました。

〇〇課長 生態:怒鳴ることで自分の威厳を保つ
〇〇部長 生態:「社長がこういうの読みたいって!」が口癖


みたいに、脳内で図鑑を作ったら面白いかも。その上で、上手く仕事を回す術を考えればいいんですよね。

不登校や家出、引きこもりとか、いじめなどもその人が様々な環境の中でどうにか生きる術なのだと思います。だから、知らんぷりで良いということではなくて、どうしてそうした行動をしてしまうのかな?ということをまずは考えたいなぁと先生の話を聞いて思ったのでした。

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